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第52話 辛勝

「……MPを10消費してアクションカード《緊急出撃》を発動!空いている場の全てに《マシンガード》を召喚」


《マシンガード》3/2

《マシンガード》3/2

《マシンガード》3/2

《マシンガード》3/2

《マシンガード》3/2

《マシンガード》3/2


盤面を一気に埋めてきたか……確かにこれじゃ攻撃は出来ないが奥の手はまだまだ終わってない


それに山札の枚数的にそろそろデッキアウトも視野に入ってくる


「ターンエンド」

「俺のターン、《文明の破壊神・ロストディザスター》で前列中央の《マシンガード》を攻撃」


《マシンガード》3/2→死亡

《文明の破壊神・ロストディザスター》12/12→12/9



「再度MPを6消費してアクションカード《盗賊の逃げ足》を使用する。

《文明の破壊神・ロストディザスター》を手札へとコストマイナス3して戻して同じ場所に再召喚する!」

「やはりまだ持ってた!」

『ーーーーーー!!!』


《文明の破壊神・ロストディザスター》12/12


《マシンガード》3/2→除外

《マシンガード》3/2→除外

《マシンガード》3/2→除外

《マシンガード》3/2→除外

《マシンガード》3/2→除外


「更に職業アビリティ『奪う』を使用して先輩のデッキから更に2枚ドロー、MPをアビリティポイントへと変換してターンエンド」


これでもう先輩のデッキの残り枚数は6枚、次のターン初めで1枚ドローするからほぼ手詰まりのはずだ


「僕のターン、MPを10消費してアクションカード《緊急出撃》を再発動!もう一度盤面の全てに《マシンガード》を召喚してターンエンド!」


《マシンガード》3/2

《マシンガード》3/2

《マシンガード》3/2

《マシンガード》3/2

《マシンガード》3/2

《マシンガード》3/2


2枚採用!?いや、フィクスシャッフルなら終盤に引けるように位置を調整するだけだからコストが重くても何も問題はないからか!


お互いに持久戦になってきたな……


「俺のターン、コストとしてMPを3消費してアクションカード《粗悪な模造品》を《文明の破壊神・ロストディザスター》へと使用する。

《文明の破壊神・ロストディザスター》を手札に攻撃力とHPをマイナス2した状態で2枚加える」


攻撃力とHPが下がるのはちょっと良くないがこのカードならば元の数値が馬鹿げた高さの為に多少下がったとしても十分過ぎる能力だ


それにユニットが死亡すればするほどコストが下がる都合上こっちは後半になればなるほどより自由に動ける


「《文明の破壊神・ロストディザスター》で前列中央の《マシンガード》を攻撃」


《マシンガード》3/2→死亡

《文明の破壊神・ロストディザスター》12/12→12/9


「MPを4消費して後列中央に《文明の破壊神・ロストディザスターコピー》を召喚する!」


《文明の破壊神・ロストディザスターコピー》10/10


「《文明の破壊神・ロストディザスターコピー》の能力で俺の手札にあるユニットカード及びお互いの場に存在するこのユニット以外の全てのユニットを除外する」


《マシンガード》3/2→除外

《マシンガード》3/2→除外

《マシンガード》3/2→除外

《マシンガード》3/2→除外

《マシンガード》3/2→除外


更に手札からもう一枚のロストディザスターコピーが除外されるがこればかりはこのカードの能力との噛み合わせの問題な為に仕方ない、とはいえこれで2枚目の《緊急出撃》は乗り切った為に余程のことでもない限りは盤面を埋め尽くされることは無いだろう


「ターンエンド」

「僕のターン……」


すると先輩はかなり悩む素振りを見せている


下手に一気に出せばこっちとしてはもう一度粗悪な模造品でロストディザスターをコピーするだけ、逆に盤面を埋めるなり《挑発》持ちを出すなりしなければ今度はロストディザスターによって一撃でHPを半分以上持っていかれる


そして山札にはもうカードは5枚も残っていない、このまま持久戦に持ち込まれたとしても俺はは対策としてデメリットカードによる相手へのドロー供給がある為最終的にデッキ切れによるダメージがどんどん飛んでいく


「…………ダメだな、この状況を覆すのは無理そうだ。

降参させて貰うよ」


《泡瀬 ツクル》surrender


《浅麦 誠》win






「ハァ……ハァ……ハァ……!」


俺はバトル空間から元の潜伏場所に戻った後、一気に崩れ落ちる


あまりにも危なかった……!

今回のは実力じゃない、ただの運勝ちでしか無かった!


あまりにも素の実力もデッキ内のカードパワーも違いすぎる


今回はたまたまフィクスシャッフルを使う先輩相手に盗むが刺さっただけだ、確実に通常通りの運用をされていれば手も足もでなかった


相性が良いはずのデッキと職業でこれだ……やはり基本職と上級職との間には絶対的とは言えないが相当な壁がある


「流石にこれ以上は無理だな……」


正直最初から最後までずっと気を引き締めていたせいか戻った途端身体に全く力が入らない


「前世のカードゲーム物のアニメなんかじゃゲームやってるだけなのにめちゃくちゃ疲れてるみたいな表現はあったがまさか自分が同じ体験をすることになるなんてな……人生何があるか分からないな」


俺は木の幹に身体を預けながら端末を操作してポイントを確認する事にする、だが確認した瞬間妙な事になっている事に気が付いた


「ん?泡瀬先輩がリタイア?

どういうことだ?」


ポイントランキングを見てみると総獲得量3位の泡瀬先輩がリタイア状態となっており、争奪戦から脱落していた


なお俺は泡瀬先輩のポイントの3割という凄まじいポイントを得たことによってポイント獲得量が1位となっており、少なくともかなり安全圏に到達していると思えるくらいにはポイントを稼げていた


「たった一戦で20万近く稼げるって事は少なくとも泡瀬先輩のバウンティポイント6〜70万はあったってことだよな……本気で運が良かったとしか言いようがないな」


そして俺が先程得たポイント量で一つ確信した事がある


「やっぱり3年生の先輩方……同学年同士でやり合ってないな、たった一戦でこんな量のポイントが得られると分かっているなら普通に考えれば同学年同士て潰しあってポイントを増やしていったほうが圧倒的に効率が良い」


ついでに言えば今回参加している先輩方の得ているポイントはせいぜい400000くらいであり、確かに稼いで入るのだが今まで俺が覗き見していた限り先輩方は積極的に稼ぎに行っている様子はなかった


もしかしなくても暗黙の了解的な奴があるのか?


「久慈川さんは……3位か、またジャイアントキリングしたっぽいな」


この分だと久慈川さんの方も案外もう50万まで稼いでいそうだな


これだけポイントも稼げたとなれば端末で調べられる学園の情報も増えているだろう


流石にこの学園に来てからそこそこ面倒事に巻き込まれているからな……いい加減何か情報を掴みたい所だな


俺はひとまず残り時間とポイントのランキングにだけ警戒をしながら争奪戦が終わるまで隠れることにした


もう残り時間も2時間程だ、見た限り基本的に隠れながら獲物を探している人が多い上に下手に出ようものならポイントの少ない1年生に狙われる状況が出来上がっている以上先輩方も上手くポイントを集めるのは難しいだろう


それに俺にも言えることだが単純に体力がもう限界だ。

これ以上デュエルする気力のある奴はそうそう居ないだろう


「このままだとダメだな……確実に何処かで詰まる」


今回調整してきたデッキはかなり本気で組んできたネタ無しのガチデッキだった


俺の使える全てのカードから相性の良いカードを他のデッキから引き抜いてまで組み合わせた完全な現時点での最高。

だがその最高をもってしても3年生相手には惨敗、それも泡瀬先輩との戦いですら相性が良いはずなのに辛勝だった


未だ上級職への道が見え無い現状この壁を乗り越えるには何か別のアプローチが必要なのは間違いない、一度他の特殊な能力を持ったカードを探してみるしかないか


俺は頭の中で新しいデッキについて思考しながら時間が過ぎるのを待っているとブザーが会場中に鳴り響いていき、景色がどんどん切り替わっていく


どうやら時間が来たようだ


果たして何がもらえるのやら



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