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第57話 ユニークレアの変化

俺は寮へと戻った後タブレット端末を起動して昨日の争奪戦で手に入れた大量のポイントから新規の情報が解禁されてないか調べていた


軽く見てみるだけでかなりの項目が新しく解禁されており、その中にこの学園が何故こんなギガフロートに設立されたのか……その理由が載せられていた


どうやらこのギガフロート自体がこの学園を創設する……いや、学園というよりも実験場を設立する為にこの場所を選んで作られた所であり、どうやらこの場所であること自体に大きな意味があるらしい


詳しい部分まではまだ解禁されてないがここまで来れば粗方予想は出来る。

恐らくこの場所はこの世界とデュエル世界との境目のような場所なのだろう……そうでなければあのブランクカードが来た件のように空間に穴を開けるような事そう簡単に出来るとも思えない


少なくとも他の場所でそんな実験や体験をしているなんて例は一度も聞いたことが無かった


恐らくこの学園自体はエネルギーやデータを効率よく集める為の収集施設としての役割のが強いのだろう


ここにいる先生も7割くらいは研究者としての側面を持っている


もしかしたらこの学園の設立された最大の目的はデュエル世界について研究する為なのでは無いだろうか?


俺の中で色々と点と点が繋がり様々な仮説が生まれてくるがそれを裏付ける程の情報はまだ解禁とまでは流石にいかなかった


「もしかしたらこの学園……最終的にデュエル世界の人が誰かしら迷い込むかこっち側の人間がデュエル世界側に迷い込む事になるかも……いや、既に起きているのかもしれないな」


俺はデッキの最終調整を行っていくとちょうど手元に持っていたかつ《いたずらの化身・ランタン王ジャック》が光を放ち始める


「うぉっ!?なんだ!?」


光が収まると《いたずらの化身・ランタン王ジャック》のカードの絵柄や効果が大きく変化していた


しかも周囲の《いたずら系》のカードがかなりの数なくなっており、恐らくだがコイツが吸収したものと思われる


「こりゃ組み直しだな……」

『ケケケケ〜♪』


なぜかカードから声が聞こえた気がするが気の所為だろう


コストは少し重くなったがこれはこれで面白そうなカードだな……






翌日の昼休み、俺は久慈川さんと倉木と共に昼食を食べながら午後の事について話し合っていた


「しっかしまぁ相変わらずよく絡まれるよなぁ浅麦は」

「ほっとけ」

「私もそれなりに絡まれるほうですけど浅麦君が絡まれる回数は異常だと思います……」

「久慈川さんもか……」


いやまぁ俺の場合返り討ちにしている逆恨みもあるんだろうがな……入学当初に比べてかなり回数は落ち着いてきているがまぁめんどくさいことこの上ない


「それで?浅麦は結局どのデッキでやるんだ?」

「あぁ、それなんだがな。

完全新規デッキの実験台にしようと思ってる」

「一昨日買ったカードを使ったデッキですか?」

「まぁそれだけってわけでもないけどな」


俺がそう言うと久慈川さんは首を傾げた


「まぁちょっとしたサプライズって奴だよ」

「ん?なんで久慈川が浅麦が一昨日カード買ったって知ってんだ?」

「そ、そそそそそれは!?」

「慌てすぎだろ、一昨日の争奪戦帰りにカードショップ寄ったってだけだよ」

「ふーーーん、それってデーt」

「ちちちち違いますからぁぁぁあああ!?!?」


倉木からジト目を向けられるが俺は目を逸らす


「そんで相手は?」

「1-Bの郷田」

「誰だっけ……あー、前にお前にデッキ破壊されて若干泣いてたあいつか」

「そういうの言うなよな……やった俺が言うのもなんだけど」

「いやまぁ結局浅麦が元凶みたいなもんだからな……」


デッキ破壊という部分でクラスの数名がビクッとしていた


なんというか俺のデッキの中で一番精神的にダメージが来るのがデッキ破壊らしく数名はこのデッキに対してトラウマを覚えているらしい


なんというか俺への反感はこのデッキのおかげでだいぶ減るんだがこれはこれでめんどくさいな……


「んで?採用したユニークレアの枚数は?」

「3枚」

「そりゃまた大盤振る舞いなこって……」


流石に相手も俺と一回やり合ってるからかなり警戒してくるだろうしな


「そんなにいっぱい入れられるのは浅麦君だけですよ……」

「盗賊系だけなら俺も納得してたけど共通系のユニークレアまである辺りがずるいよなぁ……」

「こればかりは自分のプレイスタイルを見直すなり突き通し続けるしか無いんじゃないか?」

「それは戦術コロコロ変えまくるお前に言われても説得力ねぇよ!?」

「ごめんなさい、私も同意見です」


解せぬ……と言いたいが事実の為に否定できない


「そう言えば一昨日の争奪戦ですけど倉木君居なかったですよね?」

「ん?あぁ、どうせお前らが出てるからまず優勝無理だろうし俺のデッキはお前らのと違ってまだ勝率安定してないからな」


まぁ少なくとも2年や3年の先輩が出てる時点で勝率が怪しいとなると確かにリスクのが大きい分けか……結局は勝てなければ失うだけだしな


「それで?争奪戦はどんなデッキだったんだよ?」

「ん?俺か?デッキ破壊をオマケで狙った『盗む』デッキ+盤面破壊のロストディザスター連続再召喚」

「うわエグッ……」

「浅麦君に見つからなくて良かったです……」

「見つけても狙う気は無かったけどな、ポイント的に先輩狙った方が効率良かったし」


まぁ何回か負けたのもあって結構ガッツリポイント持ってかれてるんだがな


「ってことは3年生の先輩とかともやりあったのか?

どうだった?」

「少なくともまともに挑んで勝てるレベルじゃない、相性的に有利なはずのデッキで挑んでギリギリの運勝ちの時点でもう素の実力もカードパワーもデッキ構築もレベルが違う。

それ以前に上級職を1年使い続けている人相手に勝てた時点でミラクルだよ」

「珍しいな、浅麦がそこまで言うなんて」

「私も正直物凄くきつかったです……たまたま《守護神像・セフィロトガード》を対象出来るカードを先輩が持ってなかったから勝てましたけどHPを50は削られました……」

「「むしろなんで耐えれてんだよ……」」


少なくとも久慈川さんは自分のHPを21以上回復した上でダメージ軽減までやってるって事になるんだが本気でどうなってるんだ彼女の耐久力……


俺は時間を見てみるとそろそろ実技棟へ移動しなければならない時間なのに気付く


「っと、そろそろ時間だから先行ってるぞ」

「あれ?でもまだお昼休憩は時間ありますよ?」

「先生に40分頃に先に到着しておいてくれと言われててな」


まぁ大方またあの巨大な闘技場型『デュエルフィールド』を起動するのだろう


「そうでしたか、頑張ってくださいね!」

「まぁ程々にな……」

「またトラウマ植え付けるんじゃねぇぞ?」

「倉木は俺の事なんだと思ってるんだ?」

「手段を選ばないキリングマシーン」

「よし来い、一回嵌めてやる」

「そろそろ時間なんじゃなかったか!?」


俺はこの二人と軽く話してから実技棟へと向かい、その地下へと進んでいった






『思ったより遅かったな浅麦』

「これでも言われた時間より早く来てるんですけど……?」

『お前ならもっと早く到着してデッキの最終調整してもおかしくないと思っていたんだがな』

「まぁ普段なら確かにそうですけどさっきまで久慈川さんと倉木の二人と話してましたからね」

『そうか、まぁお前に友達が二人も出来て先生は嬉しいぞ。

なにせ学園の中で特に評判が悪いからな……正直最初は友人とかも出来ないんじゃないかとヒヤヒヤしてたくらいだ』

「それ本心ですか?」

『半分建前だが?』


でしょうね……


この学園に入学してから葉風先生とはそこそこの付き合いはあるが……この人俺達の事半分くらいはモルモットとして見てるからな


割と自分の研究ファーストな所もあるせいでなんというか色々と残念なんだよなぁこの人……しかも苗字と性格が嫌な意味でマッチしてるし……


『あぁそうそう、これは私からの善意の忠告だけど……今回のは油断しないほうが良いかもね?』


…………一気にきな臭くなったな。

前回戦った時とは全く違うスタイルになっている可能性が出てきたか


気を引き締めないとな






午後の授業開始のチャイムが鳴ると同時に控室の『デュエルフィールド』としての機能が起動し、俺の服装が制服から盗賊としての衣装に変化する


俺は脚に装着した回転式のデッキケースから今回使うデッキを選択して取り外し、デッキそのものを読み込ませる


「柄じゃないが……いたずらの時間といこうか」

『ケーッケケケケケッ!!』




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