『ォォォォ……』
《スパルタンソルジャー》は少し悩むような素振りをしながらカードを選択する。
そして《スパルタンソルジャー》がその手に持って握り潰して発動させたのはコスト6のアクションカードだった。
「……!《スパルタンウォー》か!」
『ォォォォオオオオ!!!』
《スパルタン兵》1/1
《スパルタン兵》1/1
《スパルタン兵》1/1
《スパルタン兵》1/1
《スパルタン兵》1/1
《スパルタン兵》1/1
不味いな……俺は範囲殲滅系は基本採用していないからこれを一度に覆すのは厳しいぞ。
《スパルタンウォー》……1/1のユニットで自分の盤面の空いているマスを全て埋めるという物だがこの種族デッキにおいてはかなり厄介なアクションカードだ。
殲滅出来なかった場合ほぼ確実に《騎乗》の対象になる《スパルタン兵》が残ってしまう為、次のターンに一気に《騎乗》持ちによる総攻撃を食らってしまう恐れがある。
とはいえ今の俺の手札と盤面では殲滅は不可能だ、そうなると対処はかなり難しいな。
『ォォォオオ……』
《スパルタンソルジャー》HP24《常時武器攻撃力+2》→《行動不能解除》
それにタイミングの悪い事に次のターンは《スパルタンソルジャー》本体からの攻撃も飛んでくる。
合計8点……流石に食らいたくないな。
「俺のターン。
MPを2消費して《盗賊のナイフ》を装備する」
《盗賊のナイフ》攻撃力1 耐久力2 《反撃ダメージ−1》
「さらにMPを4消費して前列右側に《盗人ガードナー》を召喚。」
《盗人ガードナー》2/1《挑発》
《盗人ガードナー》……最近手に入れたスーパーレアの盗賊専用カードであり、その能力は非常に俺のデッキと噛み合いが良かった為に採用したカードの一つだ。
一見コストの割に能力が弱すぎると思うかもしれないがこのユニットはかなり強力な能力を持っている
「《盗人ガードナー》の能力発動。
このユニットはプレイヤーの手札に加わったデッキに入っていないカードの枚数分HPを+1する」
《盗人ガードナー》2/1→2/4《挑発》
このユニットは本来大器晩成型の為にあまりこのタイミングでは使いたくは無いのだが今はそうも言っていられない状況の為勿体ないが使う他無い。
「更に職業アビリティ『奪う』を使用してデッキからカードを2枚奪い取る。
更にこれをトリガーに《盗人ガードナー》のHPを+2する!」
『クックック……』
《盗人ガードナー》2/4→2/6《挑発》
「更に俺自身で前列中央の《スパルタン兵》を攻撃し、前列右側の《スパルタン兵》を《怪盗キャット》で攻撃。
ハァ!」
『追撃も任せろにゃ!』
『『ォォォォオオオ!?!?』』
《スパルタン兵》1/1→死亡
《スパルタン兵》1/1→死亡
《盗賊のナイフ》耐久力2→1《反撃ダメージ−1》
《怪盗キャット》4/5→4/4
ここで後列を狙わず前列を二体削ったのは《先制攻撃》持ちの《騎乗》ユニットに対する牽制だ。
だが『スパルタン』の種族デッキには《騎乗》以外にも合体能力があり、それは《騎乗》とは真逆に後列にいるユニットに対して機能する為あまり油断は出来ない。
「ターンエンドと同時に《盗人ガードナー》の能力発動。
デッキからカードを1枚盗み、HPを+1する。
更に続いて《怪盗キャット》の能力によりカードを1枚捨てる。」
『ガラ空きじゃねぇか!』
『貰ってくにゃ〜♪』
《盗人ガードナー》2/6→2/7《挑発》
これでデッキに入っていないカードのカウントは6。
あと少しだな……。
とはいえ盗んだカード以外の手札がいい加減限界だ、そろそろドローカードを使う必要がある。
『ォォォオオ!!』
『ウォォォォオオオオ!!!』
《スパルタンソルジャー》の咆哮に呼応するように後列左側の《スパルタン兵》が《盗人ガードナー》へと突っ込んでくる。
『その程度かよ?』
『ッ!?!?』
《盗人ガードナー》2/7→2/6
《スパルタン兵》1/1→死亡
あー、後列のそれも左側のやつのみを突っ込ませたって時点で何をするつもりなのかは明白だなこれ……
『ォォォオオ!!』
『ヒヒィィィィイン!!!』
《スパルタン兵器・木馬タンク》5/8《騎乗》
《スパルタン兵》が排除された後列左側に新たにコスト7の大型ユニットである巨大な木馬型の戦車のような見た目をした《スパルタン兵器・木馬タンク》が現れる。
よりにもよってユニークレア……流石にこれは想定してなかったな。
前列にいた《スパルタン兵》は《スパルタン兵器・木馬タンク》へと乗り込み、次々と木馬部分が展開され始めて無数の砲台と中から多数の弓兵が現れる。
《スパルタン兵器・木馬タンク》6/8《先制攻撃》《全体攻撃》《挑発》
しまった!?《全体攻撃》!?
流石にその攻撃力の《全体攻撃》は不味すぎる!
『『『ォォォォォオオオオオ!!!!!』』』
『キャァァァァア!?!?』
『ヌォォォォォォオオオ!?!?』
「うぐぁぁあっ!?」
《盗人ガードナー》2/6→死亡
《怪盗キャット》4/4→死亡
《浅麦 誠》HP23→17
《スパルタン兵器・木馬タンク》6/8→6/6《先制攻撃》《全体攻撃》《挑発》
多数の『スパルタン兵』の咆哮と共に俺の盤面へ向けて無数の砲撃と矢がまるで雨のように降り注ぐ。
反撃とばかりに《盗人ガードナー》が爆弾を投げつけるが《スパルタン兵器・木馬タンク》の装甲にはあまりダメージが入らなかった。
しかも《全体攻撃》のせいでこっち側にまでダメージが通る、流石に6ダメージは洒落にならない。
更に続けて《スパルタンソルジャー》が剣を大きく掲げながらこちらへと向かってくる。
『ォォォオオオオオオ!!!』
「がっ!?」
《浅麦 誠》HP17→15
《スパルタンソルジャー》HP24《常時武器攻撃力+2》+《行動不能》
不味いな……HPがのこり半分を切ってしまった。
それに加えてまだ生き残っている《スパルタン兵》二体による追撃が来る。
『『ォォォオオ!!!』』
「くっ!?あがっ!?」
《浅麦 誠》HP15→14→13
「俺のターン」
俺は山札からカードを1枚引き、予定通りのカードを手札へと加えた。
正直仕掛けるとしたらここしか無いよな……出来ればあいつの後にも何かしらユニットが居てくれたら良かったんだが……
「あんまり状況を整えられなくてすまんが初陣だ!
コストとしてMPを6支払い後列右側に《簒奪者・アーマゲドン》を召喚する!」
『ヒャーッハハハハハハハ!!!!』
《簒奪者・アーマゲドン》0/1
後列右側……ちょうど《スパルタン兵器・木馬タンク》の対称となる位置に全身を鎖で雁字搦めにされ、全身が細長く痩せ細った男が狂ったように嗤い声を上げながら現れる。
「《簒奪者・アーマゲドン》の召喚時能力発動。
このユニットは自身の前方に存在するユニットの能力を全て奪い、0/1にする!」
『てめえらの力も全部俺様の物だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
『っ!?!?』
《スパルタン兵器・木馬タンク》6/6→0/1+《先制攻撃解除》《全体攻撃解除》《挑発解除》
《簒奪者・アーマゲドン》0/1→6/9+《先制攻撃》《全体攻撃》《挑発》
《簒奪者・アーマゲドン》の全身を拘束する鎖が外れたと思ったら前方にいる《スパルタン兵器・木馬タンク》へと絡みつき、そのエネルギーを一気に吸い上げて《簒奪者・アーマゲドン》へと供給していく。
エネルギーを根こそぎ奪われた《スパルタン兵器・木馬タンク》は一瞬にしてボロボロの姿へと変わり、少し小突いただけで砕け散りそうな程だ。
対する《簒奪者・アーマゲドン》は鎖が尋常じゃない長さになるまで伸びて巨大な鎖の獣へと姿を変えた。
後列に出したのが原因で《挑発》は発動していないが《全体攻撃》持ちを前列に出す理由は正直一つもない。
そして
「残りのMPをアビリティポイントへと変換して《簒奪者・アーマゲドン》で《スパルタン兵器・木馬タンク》を対象に全体攻撃!!」
『ジャララララララララララララ!!!!』
『『『『ォォォォオオオオ!?!?』』』』
《スパルタン兵器・木馬タンク》0/1→死亡
《スパルタン兵》1/1→死亡
《スパルタン兵》1/1→死亡
《スパルタンソルジャー》HP24→18《常時武器攻撃力+2》《行動不能》
《簒奪者・アーマゲドン》が鎖で出来た巨大な右前脚を大きく地面へと叩き付けるとそれは巨大な鎖の津波となって《スパルタンソルジャー》のフィールドの全てを飲み込んだ。
ユニット達は大量の鎖に飲まれてすり潰されていき、《スパルタンソルジャー》は防御フィールドが守っているとはいえ鎖がフィールドをガリガリと嫌な音を立てながら削っていき、連続して凄まじい衝撃を中にいる《スパルタンソルジャー》へと与えていっている。
ここまで来れば後は《簒奪者・アーマゲドン》をひたすら守るだけだ……!