「更に俺自身でダイレクトアタック!
ハァァァ!!」
『ヌゥゥゥ!?』
《スパルタンソルジャー》HP18→17《常時武器攻撃力+2》《行動不能》
《盗賊のナイフ》耐久力1→破壊
「続けて《盗賊のナイフ》の破壊時効果によりデッキからカードを更に1枚奪う。」
これでカウントは7、《強欲のトリックスター・アルセーヌ=グリード》の最大効果起動まであと3、職業アビリティ『奪う』は何時でも起動出来るためそれを使えば残り1だ。
とはいえ今は手札が若干圧迫されているから少し処理する必要がある。
「ターンエンド。」
『ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!!!!!』
《スパルタンソルジャー》はまるで怒りを表すように今までで一番の叫びを上げると手札のカードを力強く叩きつけてユニットを召喚する。
前列中央からかなり巨大な魔法陣が現れ、そこからフルプレートメイルと大盾を装備した巨人が現れる。
『ーーーーッ!!!』
《スパルタンガーディアン》3/7《挑発》《被ダメージ1化》
《スパルタンガーディアン》か……かなり厄介な能力持ちを出してきたな……
このユニットが所持する《被ダメージ1化》の能力はありとあらゆるダメージを1にしてしまうという恐ろしい能力だ。
攻撃力こそ低いが8コストに見合う耐久性能をしており、ほぼ確実に1ターンの間自身以外を守る程の耐久で、相手の攻撃力を無視するという耐久性能は連続でダメージを与えるような能力が無ければ1ターンで落とされるような事は確実に無いと言える。
《簒奪者・アーマゲドン》は今は《全体攻撃》持ちの為このユニットを無視して《スパルタンソルジャー》を攻撃する事は出来るがここで攻撃して《簒奪者・アーマゲドン》のHPを削られれば流石に落とされる可能性が出てくる。
だがここで攻撃すれば《スパルタンソルジャー》の残りHPは11か……ここは《簒奪者・アーマゲドン》を取られるリスク込みでも倒すべきか……
『ォォォォオ……』
《スパルタンソルジャー》HP17《常時武器攻撃力+2》→《行動不能解除》
「俺のターン」
問題としては《スパルタンガーディアン》をどう落とすべきかだがこれにかんしては俺の山札の中に対処可能なカードが存在していた。
「コストとしてMPを2支払ってアクションカード《切り捨てた選択肢》を使用する。
このカードを使う際自分の手札化好きなだけカードを捨てて、捨てた枚数以下のカードを好きにドローする!」
俺は今手元にある盗んだカード5枚を即座に捨てる。
流石に手札に5枚は圧迫しすぎているからな。
「俺は山札から3枚だけドローし、更にコストを6支払い前列中央に《簒奪者の眷属》を召喚する。」
『ジャラララララ……』
《簒奪者の眷属》2/1
前列中央から鎖で出来た狼のようなユニットが現れる。
これはアーマゲドンを手に入れてから出るようになったカードだ。
この世界でユニークレアを手に入れるとそのカードの世界に関わるカードを新たに手に入れる場合がある。
これらのようなユニークレアのカードと深く関わるカードを『眷属カード』と呼ぶ時もあるが正直俺の場合はこの『眷属カード』がかなりの枚数になっているので正直まだ完全に把握しきれていない。
特に世界で一人しか持っていない『眷属カード』のシリーズのんかも珍しくない為に把握する事が難しいのだ。
そして俺が手に入れた《簒奪者》シリーズの『眷属カード』の特徴はただ一つ……
「《簒奪者の眷属》の召喚時効果発動。
目の前にいるユニットからランダムに1体を選択し、そのユニットのHPを奪う!」
『ジャララララ!!!』
『ーーーーッ!?!?』
《スパルタンガーディアン》3/10→3/1《挑発》《被ダメージ1化》
《簒奪者の眷属》2/1→2/11
一気に俺の服装の袖口に広がっていた変化が両腕にまで現れ、俺の服装の袖が盗賊風の物からアルセーヌ=グリードのような物へと変化していく。
やっぱり俺のなろうとしている上級職は《強欲のトリックスター・アルセーヌ=グリード》が深く関わっているらしい。
更に胸ポケットに大事にしまっているブランクカードが呼応するように光り始めている。
おそらくだが俺が完全に上級職へと目覚めればこのカードも使えるようになるのだろう。
「《簒奪者・アーマゲドン》で《スパルタンガーディアン》へと全体攻撃!」
『ジャラララァァァァアアア!!!!』
『ーーーーッ!?!?!?』
『ヌゥゥゥゥ!?!?』
《スパルタンガーディアン》3/1→死亡
《スパルタンソルジャー》HP17→11《常時武器攻撃力+2》
俺が《簒奪者》シリーズのカードを手に入れた時思った感想としては対単体に対する性能があまりにも高いということだ。
流石に低コストカードなんかは奪える条件なんかの制約や奪える数値にも上限があったりするので高コストのユニット相手にはあまり使えないのだが6コスト辺りになってくると無条件で奪い取るレベルにまでなる為非常に強力だ。
「更に職業アビリティ『奪う』によりデッキから更に2枚のカードを盗み、前列左右に《古の山賊王》を二体ノーコスト召喚する!」
『『ォォォォォォォ………!!!』』
《古の山賊王》3/6《2回攻撃》
《古の山賊王》3/6《2回攻撃》
正直このタイミングで無理やり《古の山賊王》を出す理由は無いのだがもしもう1
「ターンエンド!」
『ォォォォ……』
すると《スパルタンソルジャー》はその場に崩れ落ちる。
どうやらこれ以上この盤面を覆すだけのカードが無いようだ。
《スパルタンソルジャー》は潔くトドメを刺してくれとばかりに抵抗せずそのままターンを終了させる。
正直リタイアすれば良いとも思わなくもないが逃げたくないとでも感じているのだろうか?
喋らない為にコイツが何を考えているのかは正直読めないが少なくとも《スパルタンガーディアン》は無かったのだろうな。
「俺のターン、コストとしてMPを8支払い《強欲なトリックスター・アルセーヌ=グリード》を召喚する!」
『フハハハハハハハ!!!!』
《強欲なトリックスター・アルセーヌ=グリード》2/2
今回のカウント数は9の為相手から奪っての召喚はしないがトドメを刺すだけならこれで十分だろう。
「《強欲なトリックスター・アルセーヌ=グリード》の召喚時能力発動。
俺がこのゲーム中手札に加えたデッキ外のカードの枚数によって様々な能力を得る。」
《強欲なトリックスター・アルセーヌ=グリード》2/2→5/5《先制攻撃》
「《簒奪者・アーマゲドン》でダイレクトアタック!」
『ジャラララララ!!!』
『ぬぅぅぅう!?!?』
《スパルタンソルジャー》HP11→5《常時武器攻撃力+2》
「《強欲なトリックスター・アルセーヌ=グリード》でトドメだ!!」
『それでは……御機嫌よう!!』
『ォォォォォォォォオオオオオオ!?!?!?!?』
《強欲なトリックスター・アルセーヌ=グリード》はその手に持った銃で《スパルタンソルジャー》の眉間を撃ち抜いた。
《スパルタンソルジャー》HP5→0
《浅麦 誠》win
「ふぅ……」
「あっ!浅麦君!無事だったんですね!」
俺の意識が現実へと戻ると俺を何故か膝枕していた久慈川さんが嬉しそうに言う。
俺は状況を確認するべくターゲットとしてロックしたはずの《スパルタンソルジャー》だった生徒を監視カメラで確認してみる。
「…………なんだこれは?」
そこには《スパルタンソルジャー》だった生徒の姿は無くなっており、落ちた制服と無数のカードが散らばっていたのだった。
まさかカードが大量に融合してあの姿になっていたとでも言うのか……?
正直わからないことだらけである為に俺は一度状況を確認していくことにした。
一体あのテロリスト連中は何を使っていたんだ……?