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第91話 進化したカード達


俺は桜木先輩からの用件を聞き、病み上がりというのもあり比較的すぐに自室へと戻されていった。


北海道か……確かに隠れるには色々と都合が良いんだろうな……


あそこにはまだ人の手の入っていない場所がチラホラある上に気候の影響もあり、冬の時期なんかで雲隠れされると確実に手掛かりすら見つからないだろう。


ひとまずはコンディションを整えるのとデッキのバランス調整が急務だな……


まずは一通り俺の持っているユニークレアカード達の変化を色々と確認するとしよう。




まず1枚目、俺がこの世界で初めて手に入れたユニークレアであり、俺の職業に特に深く関わるカードである《強欲なトリックスター・アルセーヌ=グリード》が変化した《強欲の化身・アルセーヌ=グリード=ルパン》……相変わらず名前が長いな。


スタッツは3/3でコストは8……変化した事で若干コストが重くはなったがそのかわりに《強欲》が追加されている。


奪った枚数での能力上昇及び相手のデッキからのユニット強奪、さらに《先制攻撃》の付与がなくなった代わりに《強欲》のカウントを10溜める事で相手の盤面にいるランダムなユニット3体と武器を奪い、こちらの盤面に入り切らないユニットは強制的に『除外』するという能力だ。


しかも奪ったユニットは攻撃力とHPを-1されるが《先制攻撃》可能になっている。


盤面への圧力を考えると凄まじい性能であることは間違いないだろう。


ネックなのはスタッツが低いくらいだがそこはアクションカードなりで相手の能力を奪って付与してやれば強化可能なのでなんの問題もない。




次になんだかんだでかなり頼っていた《簒奪者・アーマゲドン》が変化した《簒奪獣・アーマゲドンビースト》。


スタッツは0/1のコスト7と普通に考えれば有り得ない能力をしているが召喚時の能力により"味方含めた"あらゆるユニットのスタッツを奪って0/1にし、奪った総攻撃力及び総HPの半分を自身の能力として加算するというさらに尖った性能のカードに変化している。


変化した事によるデメリットは相手のスタッツはともかく能力を奪ったりする事が出来なくなり、味方を全員巻き込む事……そして何よりもお互いの盤面がしっかりと揃っていないとあまりにも使いにくい能力である事だ。


やはり能力が能力の為にお互いの合計スタッツが低いとどうしても腐りやすくなってしまう。


特に新たに付与された《全体攻撃》は強力ではあるが盤面を制圧し続けることを考えると最低でも攻撃力を14は奪っておかないと安心は出来ない。


しかも味方も必然的に脆くなる為にこちら側も盤面を制圧されやすく、《封印》されてしまえば最後0/1のユニットへと成り下がると言う点がかなり痛い。


《強欲》の必要カウント数は《強欲の化身・アルセーヌ=グリード=ルパン》と同じ10であり、その能力は召喚時能力の再発動……つまりは全体能力を奪ってしまう事が出来る。


さらにこの2体が番に揃っている時、本来はデッキに入れることができない特殊なトークンカードである《強欲獣・マモン》を課題召喚出来る。




そして《強欲獣・マモン》……俺が新しく得たデッキに"加える事が出来ない"超特殊カードであり、俺の新たなる切り札。


コストは実質15であり、スタッツは10/10。


合体元の《強欲》のカウントを引き継ぎ、召喚した瞬間自分以外の全てを死亡させて耐久力を伸ばしつつ、カウントを増やす条件の変化した《強欲》のカウントを進める凄まじい能力のユニットだ。


ただこのユニットの厄介な部分として味方をも死亡させる上に一度出してしまえば自分以外が味方の場に出る事が出来なくなる。


なんというか全体的に味方ごと巻き込むタイプのユニットが増えた気がするな……




能力としては《簒奪獣・アーマゲドンビースト》から引き継いだような《全体攻撃》、合体時に合体元のユニットのいずれかが行動していなければ《先制攻撃》を得る能力だ。


ただこっちは場合によっては普通に《簒奪獣・アーマゲドンビースト》で殴った方が良い場面もある為どちらが良いかと言われると若干微妙なところがある。


そして一番注意しなければならない点として《強欲獣・マモン》の《強欲》効果である《再行動》はまだ行動していない時に発動してしまうと2回攻撃になる訳ではなく不発に終わってしまうのだ。


特に一番警戒したいのが盤面に大量展開されている状態で合体元の強欲がある程度溜まっている時だ。


この時に召喚してしまうと召喚時効果で《強欲》が貯まりきってしまい、《再行動》が暴発してしまう恐れがある。


「ほんっと癖が強いなぁ……」

『えへへ〜』

「褒めてないからな?」

『キュッ!?』


なんというか卵から誕生したばかりだからなのか若干ペットっぽさが強いんだよなぁこいつ……めちゃくちゃ頼りになるんだが。




次は《文明の破壊神・ロストディザスター》が変化した《文明の特異点・ポストディザスター》。


失われる文明から災厄後の文明の遺物のような印象になったな。


ユニットの見た目としては元々瓦礫の集合体のような巨人の中身の幾何学模様のラインの入った巨人が大量の浮遊した瓦礫を周囲に漂わせているような感じだ。


そしてコイツもコイツでかなり癖が強くなっている。


コストは相変わらずの"20"でコストダウン条件は変わらないが、召喚時に盤面の敵味方の全てと手札のユニットカード全てを『除外』した上で除外した枚数分お互いの場にランダムに0/5《瓦礫》を召喚するという能力になっている。


ただ厄介な事に変化した事で味方ユニットへのコストアップは消えたのだが《強欲》が発動しないと解除されない特殊な《行動不可》状態を付与されている。


ただ《瓦礫》が存在する場合全ての敵に3ダメージを与える能力もある為完全に動けないわけでもない。


しかも相手の盤面にも《瓦礫》が設置されるのでユニットを出そうにもかなり邪魔になる仕様だ。


更に言えば《瓦礫》と《文明の特異点・ポストディザスター》に《隠れ身》を付与すれば常に敵全体に3ダメージを与え続ける化け物になる為にこれもこれでかなり強い。


ただ今までのように手札に戻して再召喚と言う手は少し使いにくくなってしまった……ここも要調整だな。




次にデッキ破壊のみのデッキでしか使えなかった《呪われし宝物》、こっちは変化した事でようやく隠された名前が判明し《代価の呪宝具・アストレア》。


こっちは正直かなり使いやすくなった。


デメリットである自身のHP減少が無くなりった代わりに味方ユニットの《強欲》の発動回数が装備条件として追加された。


《強欲》を5回以上発動で装備可能でコストは6,攻撃力0の耐久値1という武器としては何とも言えない性能なのは相変わらずだが毎ターン終了時に味方全員の強欲のカウントを1進め、このカードの《強欲》カウントが5貯まる毎に敵味方全体の攻撃力を-3するという能力に変化している。


まぁ結局癖が強い事に変わらない為に使い所は難しい……それ予備プランの特殊勝利カードを久慈川さんにあげてしまった為に若干詰みやすいのがネックだな……これも要調整が必要だ。


『なんか影薄かったよねぇ〜』

「言うな……自分でもこのデッキの使い所すげぇ迷ってたから」


正直自分でもだいぶネタ寄りな部類だとは思っている。




そして《いたずらの化身・ランタン王ジャック》は《強欲の宴・いたずらサーカス》へと変化しており、完全な分裂型のユニットになっていた。


お陰でカードの合体変化なんかは出来なくなったが使い勝手は正直分裂型の方が上だったので割とありがたい。


更に調べてみると分裂したユニットの全てに《強欲》がある為に実は《代価の呪宝具・アストレア》との相性がかなり良い事が判明した。


こいつらでデッキを組んでみても面白いかもしれないな……




―――――コンコンッ―――――




「浅麦君〜!ちょっと今良いですか〜!」


ん?久慈川さんか……まだ確認し終わってないやつもそれなりにあるが一旦中断するか……




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