ゆっくりと、確かめるように大きな手が僕の体を這う。
二の腕や肩、背中を何度も撫でられる。鎖骨の辺りを吸われて、体がジンと震えた。
ぼんやりしていた頭が、少しだけクリアになった。自分の状況は分かっている。周期の乱れていた発情期がやって来たのだ。
それに反応して、宗一郎さんは我を忘れたみたいになっている。
嫌じゃない。僕はずっとこうしたかった。宗一郎さんと、こうなりたかった。
ただ、肌を見られることが凄く恥ずかしい。初めてだし、貧相に思われるのだろうかと考えたら悲しくなった。
獣みたいに荒い息をして自分を見下ろす宗一郎さんが、少しだけ怖い。
鎖骨の窪みに、舌をグリグリとねじ込まれる。肌が粟立って、全身がビクビクと震えた。
太ももを掴まれて、足を大きく開かされる。中からドロリと何かが漏れた。
透明の分泌液だ……。
Ωである証の。
そういえば、下半身が濡れている感触があった。粗相をしたのかと思ったけれど、分泌液だったのか。
よく見れば太ももにまで、透明でぬるぬるした液体が付着している。
「凄い量だな」
感じれば感じるほど、溢れてくると言われている透明の分泌液。
自分でも、こんなに出るなんて想像していなかった。いやらしいΩだと、そう思われたんだろうか。
「あ……み、みないで。みないで、ください……」
見られたくない。宗一郎さんに、いやらしい奴だと思われたくない。
宗一郎さんが、パジャマ代わりにしているTシャツを脱いだ。逞しい体が、目の前であらわになる。
僕の体とは、何もかもが違っていた。美しく筋肉が隆起している。野生動物のようだと思った。
ぎゅっと目を瞑ると、両目からポロリと涙が零れたのが分かった。
気持ち悪いのに、気持ち良い。わけが分からなくて、混乱して、涙が止まらない。
甘いにおいが、ふわりと鼻をかすめた。頭がとろりと溶けていく。
これ、気持ちいい。怖いのに、気持ち悪いのに、好き。
気持ちいい。頭がふわふわして、目の前が真っ白になった。僕は、いつの間にか気を失っていた。