ムラムラを必死に抑えながら、柊が髪を乾かすのを待つ。
柊はドライヤーを片付けてから洗面台をきれいにして、それから風呂掃除を念入りに始めた。ベランダの鉢植えに水をやり、戸締りを確認する。
「何か他にやることあるのか? 俺も手伝うけど」
さすがにもう、ムラムラが限界だ。
「え、えっと、今から家計簿をつけて、献立を考えて、それから……それから……」
「そんなの明日でもいいだろ」
「で、でも……」
柊はモジモジしながら俯いている。
もしかして、嫌なのか……?
「嫌なら、別に……」
「そ、そういうわけじゃなくって……そ、その、恥ずかしくて」
よく見ると顔が赤い。
まぁ、ヒート以外でするのは初めてだしな。
でも、もう俺が限界だ。
「嫌じゃないなら、いいよな?」
柊の肩を抱いて、有無を言わせず寝室に連れて行く。
部屋の扉を閉めて、柊を抱きあげた。
額に口づけをしてからベッドに寝かせる。柊は視線を彷徨わせていた。伸し掛かると、恥ずかしそうに俺を見る。
石鹸の香りに混じって、ふわりと甘いにおいがした。ヒートの時とは違う香りだ。これが柊自身のにおいなのだろう。
もっと柊のにおいを嗅ぎたい。執拗に首筋をクンクンしていると、柊の手が俺の後頭部をさらりと撫でた。
「もう恥ずかしくないか?」
「……まだ恥ずかしいです」
瞬きする目にわずかに涙が浮かんでいる。頬にキスしながら髪を梳くと、柊がぎゅっと抱き着いてきた。
小さな顎を片手で掴み、人差し指でくちびるを撫でる。柔らかなそこをふにふにしていると、柊が薄く口を開いた。
「宗一郎さん……」
濡れた目で見られて、胸の奥がきゅうっとなった。
柊のくちびるに自分のくちびるを合わせる。重なる寸前、柊が目を閉じるのが分かった。
何度か押し当てるようにした後、柊のくちびるを食んだ。ちゅっとついばむようにキスをすると「ん」と甘い吐息が漏れる。
ゆっくりと舌を侵入させると、体がびくりと震えた。
そういえば、こんな風にキスをしたことも無かった。怖がらせないように、やさしく上顎を舐める。
「ふぁ……、ん……ぁ……ぅん」
小さな舌が遠慮がちに俺の舌に巻き付いてくる。ぬるぬるした感触が驚くほど気持ち良かった。
舌の裏をぐりぐり舐められて、背筋に快感が走る。思わずぐっと奥まで舌を入れると、柊が苦しそうな声を漏らす。
「んぐ……ぅ……んぅ」
「……悪い、苦しかったな」
くちびるを離すと、柊はとろんとした目をしていた。
「くるし……けど、ひもち、いい……れす」
はぁはぁと荒い息を吐きながら、口を開けて舌を覗かせる。その誘うような仕草に興奮して、再び喉の奥にまで舌をねじ込む。
柊は涙をぽろぽろこぼしながら、俺の舌を受け入れていた。細い腰を抱くと、下半身が熱を持っているのが分かった。
柊が、ぎこちなく俺に身を寄せてくる。それを見ていると、たまらない気持ちになった。
可愛いと愛しいが過ぎて、胸がぎゅんぎゅんする。
「柊は可愛いな……」
柔らかい耳たぶを舐めながらつぶやくと、柊の体がぶるりと震えた。
柊がとろとろの目で、ぼんやりと俺を見ている。