「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……」
倒れて動かなくなったクラントスを見つめながらレオナルドは
だがそんなことはどうでもいい。もう敵はいないのだから。
息を
セレナリーゼはまだ意識がないようだ。ただその表情はとても
次に、開け放たれた扉の方を見る。外は静かでまだ騎士達が来る
この辺りではケンカなどの
レオナルドは
「こんなこと二度とご
今日一日にあった
気を取り直してレオナルドはこの後のことを考えた。
もうすぐ来るであろう騎士達が到着するのを待ってもいいが、具体的にいつ来るかはわからないし、できることなら早くここから出たい。自分は傷だらけだし、セレナリーゼは意識がない状態で
セレナリーゼを早くちゃんとしたベッドで休ませてあげたいという思いもある。
レオナルドは一度自分の
するとどういうことだろうか。
先ほどまでの明らかに強化された肉体の件も含めて自分の身体のことなのに訳がわからない。ゲームになかったことばかりだ。
ただ動けるというのは好都合だった。
レオナルドは
そしてレオナルドはセレナリーゼを背負い、家屋を後にした。
「レオナルド様ーーー!」
セレナリーゼを背負っているため、体勢的に視線を足元にやりながらレオナルドが貧民街を歩いていると、前方から大声でレオナルドを呼ぶ声がした。
その声にレオナルドが顔を上げると、五人の騎士とミレーネが
騎士の中には騎士団長とアレンもいた。顔ぶれを見るに
レオナルドの中にようやく本当の意味で
「レオナルド様!?そのお怪我は!?」
先頭に立つ騎士団長がレオナルドの状態を見て目を見開いた。大丈夫ですか?という言葉はもちろん、どうやってセレナリーゼを
アレンを含めた一緒にやって来た騎士達とミレーネも
「ああ、
レオナルドは皆を安心させるように笑ってみせた。
確かに傷は浅いように見えるが、騎士ならともかく、大貴族の
ちなみにこちらこそ本当に大したことではないが、レオナルドは騎士やミレーネの前で初めて自分のことを俺と言っている。ただ、本人は気づいていないし、誰もそんな
「レオナルド様……。すぐにレオナルド様に回復魔法を!それとセレナリーゼ様を」
「「はっ!」」
五人の騎士のうち、回復魔法の使い手がレオナルドの前に進み出る。そしてアレンがレオナルドからセレナリーゼをそっと受け取った。その際、レオナルドの背中側が血だらけになっていることに一同はさらに驚く。見えていた小さな傷とは明らかに違う出血量だ。服は大きく裂けているし腰の辺りには穴も開いている。こんなもの大丈夫な訳がない。どうしてレオナルドはこれほど
「ありがとう。けどその前に。ミレーネ」
セレナリーゼのことはアレンに
「はい」
「
自分に回復魔法が
「っ、……レオナルド様はやはり……」
ミレーネが驚きと納得が
「悪いんだけど、騎士の何人かはセレナが
続けてレオナルドは騎士団長に向けてそんな依頼をした。家屋までの道順も合わせて説明する。
「もしやそこにまだ賊共が?」
早く回復魔法を受けてほしいが、レオナルドの言葉は無視できないものだった。賊がいるのなら捕まえて
「いや、そこに魔物が倒れてるから後の処理を頼む」
「魔物ですと!?」
「ああ…そ…な……だ……」
(あ、ヤバい……)
そこでレオナルドは突然力が抜けたように前のめりに倒れ込んだ。
「レオナルド様!?」
「…………」
レオナルドの意識はすでに途切れていた。皆と合流できて気が
意識を失ったレオナルドの口元にはやりきったとでもいうような笑みが浮かんでいた。
「レオナルド様にすぐに回復魔法を!我々はレオナルド様とセレナリーゼ様をお運びして
レオナルドを抱きかかえながら、騎士団長はテキパキと指示を出した。事情を聞くのは後でいくらでもできる。
こうしてセレナリーゼが