「
この日の講義が終わり、みなが帰り仕度を始めたその時、隠然とした口調で
「はい」
と、
一瞬室内が静止したかの様にみながその動向に注視していたが、
帰り際、
「先生、どういった御用向きでしょうか?」
教室から他の門弟がすべて去ってから、
「ん……まあ、特に用と言う程のものでも無いのだが」
視線を宙に漂わせながら、不明瞭な物言いで答える
ムダを好まずいつも
「
師の言葉に
「オヌシら三人はいつも率先して門弟達を引っ張ってくれた。しかし、夏の休暇から帰って来た頃からだろうか、お互い避けている様に感じたのだ」
──先生はすべてお見通し、か。
「先生のお気づかい、真に痛み入ります。たしかに、今わたし達は微妙な関係にあります。しかし、これはわたし達三人の気持ちの問題でございます」
「そうか。うむ、そうであるなら私が出張る事では無いな」
──先生の態度、やはりおかしい。
どうも普段とは違う師の所作に不審を感じた
「先生、本題は他にあるのではありませんか?」
と切りこんだ。
その言葉に
「そのとおりだ、
と観念したように答えるのだった。
「しかし、オヌシら三人の関係を心配したのも事実だ」
「ありがたいことでございます」
師の言葉に
そして
「……【
感情の無い静かな声でそう告げた。
「……やはりその件でしたか」
しかし
「ほう。その口ぶりでは、すでに知っておったということか?」
「つい昨日の事ですが、
「ふむ……私は今朝知った。諜報には多少の自信を持っておったのだが……商人の
一驚と共に
「しかし、
「
ひと息入れてから
「……行くのか?」
と一言問う。
「……はい」
師の言葉に
「もう覚悟は決めていた、という事か……。いつ
「三日後に」
「そうか。さみしくなるな……」
窓の方に顔を向けて、
ちょうど顔の上部に斜陽が差しており、
「学業を断念せねばならぬ事、まさに断腸の思いでございます」
こうべを垂れ、
そして翌日、