2回目となる今回の紹介記事では、七瀬みおさん作の王道的恋愛ファンタジー『波乱の黒騎士は我がまま聖女を蕩けるほどに甘やかす〜ループ二度目なので溺愛は拒否させていただきます!』を取り上げます。漫画原作をされている七瀬みおさんの作品をしがない作者の私が紹介するのもおこがましいのですが、イケメン騎士レオヴァルト様を皆様に紹介したくてたまらなかったんですよね。
この記事の最後、------の後はネタバレ(結構盛大かも、すみません)になりますので、作品を読んでいない方は飛ばしていただけると幸いです。
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紹介No. 2
URL:https://www.neopage.com/book/30529291221356200
ジャンル/サブジャンル:異世界恋愛/ロマファン
話数:32話(2025/2/3現在)
文字数:73,911文字(2025/2/3現在)
投稿状態:連載中
セルフレイティング:残酷描写有り、暴力描写有り、性描写有り
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本作を知ったきっかけは間接的にですが、私が各小説投稿サイトで交流させていただいている碓氷シモンさん(本エッセイの紹介No. 1『マルベリーの木の下で、あなたはわたしの全てを奪う』の作者さん)を通じてでした。カクヨムで碓氷シモンさんの作品や近況ノートのコメント欄で七瀬みおさんのお名前を何度も拝見し、ある日七瀬さんのプロフィールページを訪れてみて本作を知った次第です。
実は私がネオページに登録したのも、七瀬さんとのご縁がきっかけでした。正直を言わせていただくと、2024年9月初めに七瀬さんのカクヨムの近況ノートを読むまで、ネオページのことを聞いたことがありませんでした。でもネオページは資金力があってすぐに撤退するようなことがなさそうだし、意欲的に契約作品を採用して投稿作品も募集しており、編集部が作家に寄り添ってサポートしてくださっていると知って魅力的に感じました。それから1週間余りでネオページに登録して作品投稿も始めて今に至っています。
それでは本題の作品紹介に話を戻し、早速粗筋を紹介させていただきます。なお、まだ連載中ですので溺愛以降の粗筋は七瀬さんの作品紹介文に基づいています。
【粗筋】
強力な癒しの力「グラシア」を持つ聖女ユフィリアは、彼女の愛する夫となった王弟レオヴァルトが死んでしまう予知夢を何度も見ていた。その悲劇を避けるため、故意に「無能なクズ聖女」を演じ、王族との婚約を避けられた。ところが、彼は黒騎士の姿で彼女の目の前に婚約者として現れた。当初、彼の正体を知らないユフィリアと彼女の悪い噂を信じていたレオヴァルトは反目し合うが、レオヴァルトにはこの婚約を続けなければならないある事情があった。
婚約者としてユフィリアと接するうちに、レオヴァルトは彼女の本当の姿が見えてきて次第に彼女を愛するようになっていく。それに対してユフィリアは予知夢の悲劇を避けるために彼に嫌われなければならないと信じて我儘を加速させていったが、なぜかレオヴァルトの溺愛もそれに比例するかのように加速していくのだった。
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私は理由なくいきなり溺愛になる物語にすごく違和感を覚えるので、当初のレオヴァルトのユフィリアに対する塩対応が徐々に変わっていくこの作品の展開が自然で好きです。本作に甘々が足りないと言う感想サービスの判定を読みましたが、速攻溺愛になったらつまらないですよね。溺愛はこれからなのですから、まだまだ甘くないのは当然です。それこそが本作の魅力として理解すると楽しんで読めるはずです。
それに加えて、レオヴァルトのイケメン振りも堪能すると、最高に楽しめます。レオヴァルトは、登場時にはくたびれた恰好をしていたのですが、かえって危険な香りがして野性味のあふれる姿に惹かれました。でも華やかな格好をしてももちろん素敵で胸がズキュンと撃ち抜かれること間違いなしですよ!
ここまでレオヴァルトのことだけ書いてきましたが、ヒロインのユフィリアも魅力的です。彼女は人を救うことをいつも考えており、予知夢の中の愛する人を守りたいという健気な気持ちに私は胸を打たれました。でもかと言って理不尽な仕打ちにひたすら耐えるだけの弱い女性ではなく、元気で頑張る姿にも共感を覚えます。同僚聖女のグレースとの友情も素敵です。
現在(最新話は第3章第29話「レオヴァルトと謎の《声》」)、徐々に溺愛モードになってきて胸キュン場面が増えてきましたが、ユフィリアがレオヴァルトの溺愛を受け入れたとして、予知夢の悲劇は避けられるのか、もしそうならどうやればそれが可能なのか、そもそも予知夢の悲劇を引き起こした背景は何だったのか、続きでこれらの謎が解明されるのを楽しみにしています。
更に本作の他にも七瀬さんは、ネオページでしか読めない『悩める王太子の癒し係~貧しさゆえに身売りをしたら、お忍びの王子様に買われました。』、現在コミック版が配信中の『雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!』、他サイトコンテスト入賞作の改稿版『蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました。』という素敵な胸キュン恋愛ファンタジーもネオページで公開されていて、こちらもお勧めです。
『悩める王太子の癒し係~貧しさゆえに身売りをしたら、お忍びの王子様に買われました。』(連載中、ネオページオンリー)
https://www.neopage.com/book/30676506512046500
『雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!』(連載中)
https://www.neopage.com/book/31412756018749900
『蟲姫は美しい蝶に夢を見る〜夜伽侍女が超絶鈍感を貫いたら、皇太子の溺愛が待っていました。』(連載中)
https://www.neopage.com/book/30167308310093600
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↓まだ読んでいない方はネタバレがあるので、飛ばして下さい↓
プロローグの前と第3章で引用されている『自由になった聖女様』の聖女様や、聖女ステラ、ユフィリアは、自由への渇望を持っている点で共通しています。聖女は人々を救う崇高な存在であるべきという建前に対して、自由になりたいという自分のためだけの望みを言えないと聖女ステラが葛藤する姿が切なかったです。ユフィリアが今後、自由になって教会と無関係になってもグラシアを使って人々を救うことはできるんですよね。そうなることを祈っています。
ユフィリアが多額の献金と引き換えに治癒を願う裕福な貴族の治療を拒否することに対し、彼らも同じく救いを求めているのになぜ拒否するんだとレオヴァルトがユフィリアに矛盾を指摘した点は私も同様のことを思いました。でも裕福な人は別の聖女でもグラシアの恵みを授けてもらうことができるから、あえて彼らの求めを断って貧しい人々を救うための余力をユフィリアは残しているんですよね。
聖女が結婚して夫と交わるとグラシアの力が強くなるという設定を知り、ユフィリアとレオヴァルトが結ばれた暁には、デロデロな大人ラブシーンがあるといいなと思ってしまいました。それに色気満々のレオヴァルトへの照れ隠しで、ユフィリアは都度都度「エロ黒騎士」と彼を呼んでいますが、「エロ黒騎士」の本気のエロも見たいです! もちろんR15では無理なことは分かっているので、ない物ねだりですが、ギリギリ攻めをお願いします!
レイモンドとイザベラが徹底してあくどい悪役ですが、2人の印象は微妙に違います。レイモンドの悪行はひたすら気分が悪いヘンタイなのですが、イザベラの悪行は清々しい程です。私はヘンタイ好きを自認していますが、レイモンドみたいに人を傷つけるヘンタイはいけません。
イザベラは、清く美しい崇高な聖女の振りをして心の中は真っ黒、他人のものがすぐによく見えて欲しくなって横取りしようとします。そんな究極の我儘悪女振りを発揮していて、ここまでよくやるなと逆に変な感心をしてしまう程です。
今度こそ、レオヴァルトがルグランみたいにユフィリアからイザベラに略奪されないようにと祈っていたので、第27話「イザベラ、砕ける。」は拍手喝采でした。でも当て馬悪女好きな私は、いつも持ち上げられているワル美女イザベラが人前でこっぴどく振られちゃって相当ショック受けただろうなとほんのちょっぴりかわいそうになってしまいました。最後には是非改心して気弱ルグランを尻に敷いて幸せになってくれるように祈っています。その時は、キモクズ叔父レイモンドをもちろん見捨ててほしいです。
ユフィリアの元恋人ルグランは華やかなイケメンだけど、当て馬に相応しく、意志薄弱な感じで情けない印象を持ちました。逆にレオヴァルトはワイルドなイケメン振りで登場してきて私の心をぎゅっと鷲掴みにしました。ボロを纏っていてもイケメン黒騎士は野性味ある魅力にあふれているんですが、髪を整えて煌びやかな騎士服を着た超絶美麗騎士になったレオヴァルトもとても素敵です。「円錐形の柱に背を預け、腕を組んだ《黒騎士》が佇んでいる」というくだりでは、眼福な姿が瞼の裏に浮かんできて身悶えしました。『傲慢なだけのくだらない女に、万能の私が妻になって欲しいなんて頼むと思うか』と言い切れる程、傲岸不遜なレオヴァルト様(もう「様」をつけたくなる!)のワイルドな魅力とイケメンエロボイスにイチコロです!
本作はイケメン好きな方に特に刺さると思いますが、特に第26話「鳥籠の小鳥」は胸キュン神回! ユフィリアの怪我を心配する自分の気持ちが何なのか分からないレオヴァルトに胸をズキュンと撃ち抜かれました。レオヴァルトはユフィリアが心配のあまり焦って自問します:『これほど焦るのは……。私はいったい、どうしてしまったんだ……?』答えは簡単です! ユフィリアを愛してしまったからですね♡
ユフィリアにいい男ばかり集まると嫉妬した他の聖女達が彼女の悪口を言っている時に「グラシアの代わりにイケメン収集能力を授かったんじゃないの」と誰かが言いましたが、すごく笑えました。私もイケメン収集能力が欲しいです!
本作には、ユフィリアに懐いている