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033話 ルーシファス・ゼブフ・アスタロッド(03)

(ひえ~! お、お母様! 糸目いとめが! 糸目が開きましたー!!)


 私はパニック気味に狼狽えました。


(糸目? 開く? なんじゃそれは? 目が開くなぞ当たり前のことではないか)


 お母様は何も意に介されていないようです。


(お母様! 違います! 糸目キャラの目が開くのは、本気と書いてマジになった時と、良い人だと思ってた人が本性をあらわして極悪人だったことが判明したりする時なんです!)


 必死に訴えましたが、お母様は「意味が分からん」といった様子でした。


(とにかくわらわだと言い張れ。それしかない)


(し、しかし、それで糸目が閉じますでしょうか?)


(目が閉じようが開こうがどうでもよい。ヤツが言う通り、おぬしがわらわでないことはバレておる。元より妾もおぬしが誤魔化し切れるとは思っておらぬ)


 ───……へ? そ、そうなんですか?


 必死にバレないように頑張っていたつもりの私は少し拍子抜けしました。

 お母様に最初から期待されていなかったという事実に少し胸がチクッとしましたが、しかしそのおかげで私は肩の力が抜けるのを感じました。


(わ、わかりました、お母様。それではとにかく言い張ります……!)

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