点と点が繋がっていく。
そして、それを待っていたかのように、いきなり空間が崩れ始めた。
足元が無くなり、私の身体も下へ落ちていく中、満月をしっかりと抱きしめる。
顔はよく見えなかった。
けれど、あの紅い目だけは鮮明に記憶されている。
もし私の記憶を消したのがあの死神だとすれば──また、会えるだろうか。
視界の先が徐々に黒く染まっていく。
同時に、私の意識も黒へと飲み込まれていった。
◆ ◆ ◆ ◇
「おかえり」
空から降り注ぐ、日差しのような声だ。
目を開けると、上から覗き込む転幽の姿が見えた。
穏やかに微笑む転幽は、私に向かって手を差し出してくる。
「ただいま」
横になっていた身体を起こすと、傍にいた満月が嬉しそうに擦り寄ってきた。
「これで、この扉の役目も終わりだ」
「他の扉にもそれぞれ役目があるの?」
「そうだよ。扉はどれも、睦月のために存在しているからね」
転幽の言葉が、澄み渡る青空のように沁みていく。
扉の先で取り戻した過去の記憶。
朧月は、私の「視る力」が真実を探すためにあるのだと言っていた。
死神でも見えないものを、視ることのできる力。
私がこの力を持って生まれた理由は、きっと
「転幽は、私を助ける人格だって言ってたよね」
「睦月の言う通りだよ」
私の問いかけに、転幽は真っ直ぐこちらを見つめてくる。
「それなら、もしもこの先……私が危険な状況に
◆ ◆ ◇ ◇
「睦月」
霜月の声に、
「どうしたの?」
「もうすぐ転移地点に着く。……睦月、もしかして疲れてる?」
「平気だよ。少し考え事をしてただけ」
心配そうな霜月の頭を撫でると、目が猫のように細まっていく。
無抵抗で撫でられ続ける霜月の姿に、何だか手を離し難くなってしまった。
「
扉の空間へ行く前と、ほんの少しも変わらない光景。
死界や現世だろうと関係ない。
あの空間にいる間、私は全ての世界から
転移先で死局を眺めながら、私はこれから会う上司や、警備課のことについて頭を悩ませていた。