「体中が痛い……」
「お疲れ〜。今日はここまでにしておこうか」
ぐったりとテーブルに突っ伏した
「そういえば、霜月がこっちに戻ってきてるんだけどさ。今回は睦月ちゃんと別行動みたいなんだよね。威吹は何か聞いてたりしない?」
「いえ、特に何も。というより、戻ってきてるのも今知りました」
「あー、うん。そっか。そうだよね。……ゴメン」
気まずそうな顔で謝ってくる明鷹に、威吹は慌てた様子で手を振った。
「いつものことですし、俺も気にしてないんで!」
「威吹ってさ……、ほんと良い子だよね」
感動で目頭を抑えた明鷹は、「他の隊員もこんな感じだったらなぁ〜」などと呟いている。
しかし突然、何かを
「せっかくだし、会いにいってきたら?」
「え? それは、その……霜月にってことですか?」
「そーそー」
威吹の表情が明るくなっていく。
「あの、俺! 今から行ってきます!」
「帰りはそのまま退勤していいからね〜」
勢いよく頭を下げると、そのまま駆け出していく威吹を見て、明鷹は小さく笑みを浮かべた。
「若いねぇ」
さっきまで疲れ果てていたのが嘘のように、威吹の後ろ姿はあっという間に視界から消え去っていった。
◆ ◆ ◇ ◇
情報管理課の
珍しい死神の来訪に、情報管理課では様々な
けれど、今のリーネアにそんなことを気にする余裕はなかった。
ただ来訪者に会いたい一心で、入り口付近の
「霜月くん!」
名前を呼びながら近寄るリーネアに、同じ所属課の死神たちがぎょっとした表情を浮かべている。
「久しぶり。元気にしてた?」
「……」
頬を
興味がないというより、まるでそこに居ないかのような態度を取る霜月に、周囲の死神からはやっぱり……という空気が流れていく。
「あの……、霜月くん?」
周りの様子には気づいていないのだろう。
さらに話しかけようとするリーネアを、同僚の死神が止めようとした時だった。
「おーい! 霜月!」
その場に、明るい声が響き渡る。
風のように駆け寄ってきた威吹は、霜月を見るなり満面の笑みを浮かべた。
「久しぶり! ってほどでもないか。元気にしてた?」
「……」
無言な点は変わらないものの、見たら分かるだろと言わんばかりの霜月の態度に、周りの死神から驚いた声が上がっていく。
ほとんどの死神がリーネアのような反応をされる中、威吹に向ける態度がいかに珍しいものか。
ニューフェイスの登場に、情報管理課の面々は
「そういえば、霜月はここで何してんの?」
「ミントを待ってる」
「え? 待ってるって……」
霜月の視線の先を
「作業中。絶対に開けるな……ミント」
思わず口に出して読み上げた威吹だったが、それで大体の事情は把握できたらしい。
「じゃあさ、終わるまで一緒に待っててもいい?」
「……好きにしろ」
霜月が許可したことにより、周囲で大きなどよめきが起こった。
「あの死神、どこの所属?」
「新しく特別警備課に入った死神がいるって聞いたけど」
「たしかに見た目の特徴も一致するな……」
口々に話し始めた情報管理課の面々は、新たな話のネタに浮き足立っているようだ。
威吹を観察しながら、情報網を
「ぐすっ……」
「へ?」
すぐ近くで聞こえた泣き声に、威吹は声のする方へ視線を下ろした。
霜月を挟んだ向こう側で、小刻みに震えるリーネアが立っている。
「あー、えっと。久しぶりだなリーネア。候補生以来か?」
「……っ、ううう〜」
「ええー!?」
泣き出してしまったリーネアに、威吹は慌てて謝罪をした。
「ごめんリーネア! まじで気づいてなくてさ。ほんとにごめん!」
「……ぐすっ。いえ、いいんです……。私の方こそすみません……」
ひとまずは泣き止んだリーネアを見て、威吹の口から