体から煙を出しながら、プーパとビベレは地面に座り込んでいる。
結局あの後、二匹は追加で三回ほど雷に打たれていた。
反省の色が見えないプーパと、共同責任で打たれ続けるビベレ。
流石に限界を迎えたのか、ぐったりした二匹を監視しながら、
「どうだった?」
「上に確認中だって」
「はっ。どうせ結果は分かりきってんのにな。
「もう少しの辛抱だよ。連絡が来たらすぐに済ませて、みんなでアパートに帰ろう」
「そりゃ無理な話だと思うぜ?」
唐突に響いた声と、その場に充満する
空間を
「おっと」
「燕!」
燕を抱えて地面に倒れ込む。
時雨が燕の名前を呼んだのと、ほぼ同時の出来事だった。
腕の辺りに痛みが走る。
目を向けると、破れたローブから流れてくる赤い液体が見えた。
「おいおい、危ねぇな
「睦月ちゃん、腕が……っ!」
「このくらい大丈夫」
褐色の肌にくすんだ白髪。
初めて見るその悪魔は、以前出会った悪魔よりもさらに
「へえ。嬢ちゃんは新人の死神って聞いてたんだがな。意外と根性あるじゃねぇか」
「それはどうも」
今にも飛び出していきそうな時雨を腕で制し、悪魔の挙動を注視する。
先ほど燕がいた場所には、鋭い槍のようなものがいくつも突き刺さっていた。
おそらく、その一つが腕を
「あ、貴方様は……!」
「こうしゃくさま!」
「よおプーパ。お前の失態で、レインが黒焦げになってたぞ」
「はわ……! ごしゅじんが、くろこげに……!」
どうやら、プーパとあの悪魔は知り合いだったらしい。
呆れた顔で話す悪魔に、プーパはしょんぼりと
「侯爵ってことは、かなりの高位悪魔じゃねぇか。しかもあの気配……」
「……だね。暗黒将の悪魔だと思う」
「暗黒将?」
今の状況が極めて悪いことは分かっていた。
少しも気の抜けない空気が漂う中、時雨が悪魔から目を離すことなく、私の問いかけに答えてくれる。
「魔王の次に力のある悪魔たちのことだ。全部で六将いる」
「正解だぜ小僧。当てた褒美に教えてやるよ。俺様の名はアヴァリー。魔王様に最も近く仕える悪魔であり、侯爵の位を持つ悪魔でもある」
アヴァリーはそのまま地面に降り立つと、こちらを見下ろしながら話しかけてきた。
「で、だ。俺様は回りくどいのが嫌いでな。簡潔に話してやるから、よーく聞いとけよ」
こちらを見るアヴァリーの目には、間違いなく私が映っている。
つまり、この悪魔の
「そこにいる死神の嬢ちゃんを、魔界へ連れていく。俺様がここに来た目的はそれだけだ」