◇◆ Gaël ◆◇
今日は快晴。もう3月ということもあって、花香る気持ちの良い気候になりつつあった。一日快晴で過ごしやすい日だったけど、そんなことにもお構いなしに俺は大学の付属図書館にこもって論文を書いている。だって全然進まないんだもん。
どうしようかな……と進まない論文を見ながら、夕方にでもまたあの大聖堂へ行こうかなと思っていたところに突如轟音が鳴り響いた。
俺は、近くに雷が落ちたのだと思った。……が、外は前述のような、快晴。
疲れてんのかなと思ったが、直後、全構内に逼迫したアナウンスが流れた。
「現在、別棟にて雷が落ちたような爆発が起こりました。場所は別棟8階とみられます。テロの可能性あり。繰り返す、テロの可能性あり。学生は至急安全な場所へ避難するように」
別棟……8階……?
俺は嫌な予感がした……が、その予感は見事に的中していた。
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◇◆ Frédéric ◆◇
エルヴェ・マティス教授
放っておけば、大変なことが起こる。
奴が研究所の人間を使ってリラとリスのストーカーをさせていたことも知っていた。
……その研究所の人間というのは、俺が天に召される直前に魔法で攻撃したやつらだった。
どうしても、許せなかった。
それにあいつらはリラとリスだけではなく、エリックにまで手を出そうとしていた。この未来を知ったときは臓腑が凍てつくかと思うほどに激しい憎悪を感じた。
……だから俺は決めたんだ。消えるならばいっそこいつらに報復して、俺自身現界から去ろうと。
そうして、この報復はまだ終わっていない。
……。
これはゼノ様のご意向でもある。なぜなら魔術師を守るための絶対的なルールそれは
たった、これだけ。なぜなら、魔術師の魔法はすべてゼノ様が与えたものとされるからだ。
ゼノ様の怒りはまさに雷霆の如き眩い閃光。……すべては一瞬で、終わった。
人間の生死を決めるのは神の役割。ゼノ様は魔法だけでなく、命だって剥奪する。
……俺たちの仕事は、これからだ。
魂すらも許しはしない。
魔術師を、優しい非魔術師を守るために。
だから悪いやつなんて、現界に、いらない。……それは死者になったとしても。
俺は死神の如き大きな鎌を振りかざす。これは、魂に対する断罪
「エルヴェ・マティス……お前は、冥界で永遠の地獄を味わったらいい」