そんなわけで、私達は再び村を訪れていた。
ジョルジュさんや仲間のアコライトさんは洞窟に調査に行っているということで、しばらく帰りを待つことになる。
「にーちゃん、足をマッサージしてほしいな」
「リカードにだけってことはないよね?」
「お前達、ちょっと図々しくないか?」
リカードの言葉にレイが続き、フランツが注意してくれる。
もはや、いつもの光景という感じである。
「じゃあ、フランツは遠慮しておけば?」
「なっ」
「全員、ちゃんとマッサージしてあげるからね」
フランツがレイの冷たい言葉に言葉を失ってしまったのでフォローしてやる。
結局、いつも通り三人を足裏マッサージすることになるのだった。
「にーちゃん、気持ちい〜よ〜」
「相変わらず、テクニシャンだよね」
「いつもすみません。でも、本当に気持ちいいです」
リカード、レイ、フランツを順に足裏マッサージすると、三者三様の労いの言葉がかけられてくる。
なお、相変わらずブーツを履いているし、水分量が多くて滑りが良い感じのリカード、細くて繊細ながらすべすべな肌をしているレイ、一番がっしりしているものの、まだまだ大人に比べれば足裏も小柄なフランツという感じで、私は私で三者三様な足裏を堪能できていた。
「何やってんだ? お前ら」
今度は自分達がする番だと意気揚々なフランツ達に靴を脱がされそうになっているところに、洞窟から戻ってきたらしいダイが声を掛けてくる。
「いや、これは……」
「ダイには関係のないことだよ」
「にーちゃんにマッサージするんだよ〜」
フランツが言い淀み、レイが誤魔化そうとする。
しかし、素直なリカードがあっさりと事実を伝えてしまう。
「マッサージって……あんた、こいつらにそんなことをさせてんの?」
「それは誤解だ。タカヒロさんは僕達をマッサージしてくれているんだ」
「こどもをマッサージしてんの?」
「変なこと考えないでくれる? タカヒロは移動でつかれたオレ達の足裏をマッサージしてくれてるだけだから」
「足裏? そんなとこ触んの?」
「にーちゃんのマッサージは気持ちいいんだぞ〜」
なんというか、話が変な方向に流れているような気がする。
誰も間違ったことは言っていないのだが、ダイくんの視線がどんどん冷たくなっているような……。
「ダイも洞窟から帰ってきたばかりで疲れてるなら、にーちゃんにマッサージしてもらえば?」
「リカード、タカヒロさんも疲れているんだぞ」
「それに、タカヒロにマッサージされるのはオレ達の特権だろ」
リカードの発言から、また話が変な方向に流れていく。
モンクだからか普段から裸足のダイくんの足裏も触ってみたくはあるけれど……。