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第07話 邪神の誘い

(困ることなどなにもない。本人が望んでいるのだからもっと気持ち良くしてやれ)


 突然、頭に邪神の声が響く。


 何を言っているんだ、こいつはと思いつつ、ダイを観察する。


 すると、はだけた服から肩や胸が見えていてひどく扇情的だった。


(旨そうな身体をしているじゃないか。さあ、しゃぶりついてやれ)


 邪神のまさによこしまな声がさらに私を興奮させる。


 服の下に隠れているはずの部分でも濃い褐色の肌は、確かに魅力的だ。


 だからといって、フランツたちと同じこどもだろうダイに゙手を出すことなどできない。


「……あれ? どうしたんだ?」


 邪神の声との葛藤で手が止まってしまっていたのか、ダイが怪訝そうな顔で尋ねてくる。


「ああ、なんでもないよ」


 私は努めて平静を装って答える。


「なんか、顔赤くねーか?」


 身体を寄せて私の顔を触るダイ。


 そのせいで、はだけた胸元が顔の近くまで迫る。


(自分から近づいてきたぞ。そのまま、胸もいじってやれ)


 邪神の声に、思わずダイの胸元に手が伸びる。


 その時……。




「にーちゃん、ただいまー」


 相変わらず、ノックなしに扉を開けたリカードが入ってくる。


 私は慌てて手を引っ込めて、何事もなかったように平静に努める。


 だが、ダイは私が自分の胸に触れようとしていたことに気づいたのか、目を見開いたまま固まっていた。


「どうしたの、ダイ〜。にーちゃんのマッサージが気持ち良すぎちゃった〜?」


「え? ああ、そうだな。気持ち良かったぞ」


 ダイも慌ててそう答える。


「おいらももっとにーちゃんにマッサージしてほしかったのに、ダイだけずるいぞ〜」


 リカードはダイを押しのけるようにベッドの上に座ると、ブーツを脱いで足をこちらに投げ出す。


「にーちゃん、おいらにももっとマッサージして〜」


「おれはもう十分だから、リカードにしてやれば」


 リカードの純真無垢な反応が警戒心を解いたのか、ダイはそう言うとはだけた服を整えて横に座る。


「あれ〜。にーちゃんの手、ヌルヌルだね〜。なんか気持ち良さそ〜」


「うん、気持ち良いと思うよ」


 リカードの言葉に、私は優しく足裏にオイルを塗ってやる。


「ひゃん。なんか、変な気持ちになるよ〜」


 オイルを塗りながらマッサージを始めると、リカードがおかしな声を上げる。


 まあ、オイルなんて塗られた経験がないだろうから、そういう反応になってもおかしくないか。


 その後、邪神が再び声をかけてくることはなく、しばらくリカードの足裏をマッサージする。


 ダイはそのやり取りを横目で見ていたが、リカードの私に対する甘えた反応に安心したようで、途中で部屋を後にするのだった。

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