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第10話 村の警護

 村の警護を行っていた私達だったが、数日は特に変化がなかった。


「あーあ、退屈だなー」


「ダイ、真面目に警護するんだ」


 ダイがあくびをしながらこぼした言葉に、フランツが真面目に注意する。


 正直ダイの気持ちもわからなくもないのだが、冒険者が警護しているということで抑止力が働いて平和ということもある。


 そんな冒険者があくびをしながら警護を行っていれば、その隙を突かれることもあるだろう。


 そう考えると、フランツの言うように真面目に警護を行うことは大事なことである。




 そういえば、この数日はフランツ達が取っ替え引っ替えで添い寝をしてきた。


 もう身体はなんの問題もないのだが、あの時に添い寝をしたことでみんなの意識が変化し、添い寝することに抵抗がなくなったらしい。


 さらに私とだけではなく、こども達同士での添い寝も行われており、ショタとの添い寝も嬉しいし、ショタ同士の添い寝という別の意味で嬉しいシチュエーションも拝めるようになっていた。


「んな、恥ずかしいことできるか!」


 そう言ってダイだけは頑なに拒否しているが、他の子達は気にせず添い寝を続けていた。


 正直、フランツとレイまで添い寝するようになったのは私も驚きである。




 こうして平和な時間を過ごしていたのだが、その平和は突然破られることになった。


 突然激しい爆発音が響き渡り、村の入り口付近から猛烈な炎が迫ってくる。


「危ない! みんな、村の人達を避難させるんだ!」


 フランツがみんなに声をかけると、私達はすぐに散開し、それぞれ村人の誘導を始める。


「入口は危険だから、村の裏手に回って!」


「みんな〜、おいらが守ってあげるから、怖がらないで大丈夫だよ〜」


「荷物は置いておいて、さっさと避難しやがれ!」


「近所の人が逃げ遅れていないか、確認し合ってくださいね」


 レイは的確に脱出ルートを示し、リカードは怖がるこども達を勇気づけ、ダイは家財道具を取りに行こうとする村人を叱りつける。


 私も逃げ遅れた人が出ないように声をかけながら、村人達を誘導する。


 突然のことにパニックになりつつも、ずっと警護していたので危機感もそれなりにあったらしく、しばらくすると村人同士で声をかけながら移動できるようになった。


 そこで、私は村人達から目を離して村の入口を確認する。


 そちらにはひと足早く、フランツが向かっていた。


 槍と盾を構えたフランツのほうに、巨大な獣が姿を見せる。


 口の端からは炎が漏れ出ており、村を襲ってきたのはその獣だということは明らかだった。

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