巨大な獣はフランツに向かって炎を吹き出した。
「うぐっ……くっ……」
フランツは盾を構えて防御するが熱までは防ぐことができず、高熱が肌を焼いて思わず苦しみの声を上げる。
炎が止んだ瞬間に近づいて攻撃しようとするが、再び獣が口から炎を吹き出す。
「プロテクション!」
だが、その炎は光の壁に防がれた。
「今だ! バッシュ!」
光の壁を身体にまとったまま、フランツは炎を突っ切ると新しくなった大きな槍を獣に向かって突き出す。
「ギャァァァ!」
槍は獣の前脚に刺さり、獣は大きな叫び声を上げる。
「タカヒロさん、助かりました!」
フランツが振り返って礼を言うが、そこに立っていたのはダイだった。
「悪かったな、おれで。でも、役に立っただろ?」
ニヤリと笑うダイに対し、フランツも親指を立てて応答する。
「にしても、でかい敵だな。こんなの、おれ達だけで倒せんのか?」
「なんとかしないと、村が大変なことになる。やるしかないさ」
ダイの戸惑った言葉に、フランツが巨大な獣を見据えながらはっきりと答える。
体勢を立て直した獣は、プロテクションを放ったダイに向かって鉤爪を振り下ろす。
だが、素早く反応したフランツがダイと獣の間に割って入り、ダイは自分をかばっているフランツに再びプロテクションをかける。
これにより巨大な獣の鉤爪であったが、盾で魔法で防ぎきれなかった先端部分が肩を傷つける程度で防ぐことができた。
「今度はこっちの番だぜ!」
ダイが眼の前に迫っている前脚に鋭い拳打を浴びせる。
さらにフランツはその隙にもう片方の前脚に槍を突き立てた。
「ギャァァァ!」
再び叫び声を上げた獣は大きくのけぞりながらも、再び口から炎を吹き出した。
その炎は二人の身体に迫るのだが……。
「プロテクション!」
フランツとダイの身体の前に光の壁ができる。
「お待たせ」
「タカヒロさん!」
私の言葉にフランツが嬉しそうに振り返る。
私の横には同じく駆けつけたレイとリカードの姿もあった。
「みんなも! ここから反撃だ!」
フランツがそう宣言すると、リカードも素早く前に出る。
フランツ、ダイ、リカードが前衛、私とレイが後衛という布陣で巨大な獣と相対する。
「敵が一人だと、おいらあんまり活躍できないけど!」
そう言いながらも、先陣を切ったリカードが傷ついた獣の前脚をさらに両手のナイフで傷つけていく。
「エアリアルスラッシュ!」
レイの放った風魔法は、武器攻撃では届かない獣の顔に命中する。
「ギャァァァ!」
堪らず大きな叫び声を上げる、獣。
続いてダイとフランツの攻撃も前脚に命中し、とうとう巨大な獣は前脚を折って顔を地面に叩きつけるのだった。