「お前ら、とんだ災難だったな。よく村を守ってくれた」
ジョルジュさんは村長に借りている部屋に戻ると、巨大な獣との戦いを労ってくれた。
「死ぬかと思ったよ〜」
「実際、死にかけたしね」
「すべてはタカヒロさんのおかげです」
「そのことなんだが……」
各々が感想を述べると、ジョルジュさんが真剣な表情で話し出す。
「さっきのホーリーライトもあんたのレベルで使える威力じゃないはずだ。こいつらも瀕死の重傷だったって話だし」
そう言いながら、リカードの頭をグリグリと撫でる。
「神像が奪われたときも神の奇跡で魔族を撃退したって話だったが、今でもその奇跡は使えるんじゃないのか?」
「そういえば、また神の奇跡を使えるようになったって言ってたよな?」
ジョルジュさんの鋭い指摘に、ダイが思い出したように付け加える。
そういえば、添い寝する理由を説明する時にダイにはそういったのだった。
「そうですね。実はまた神の奇跡は使えるようになっています」
「神の奇跡なんてもんは何の代償もなしに使えるもんじゃない。あんた、身体は大丈夫なのか?」
「今のところ、特に何がということはないのですが……」
ジョルジュさんの言葉に、邪神の声が聞こえるようになったことは伏せて答える。
実際、それを除けば今のところ害はないように思う。
「なら、俺達が調べた結果を伝える。あの神像はこの地方を開放し、神に祭り上げられた英雄のものだ。荒ぶる神ではあるものの、邪神というわけではない」
(そうなの?)
(そもそも神に善も悪もない。我は自らと波長が合う者に力の一端を貸し与えただけで、魔族だとか人間であるだとかも気にしていない)
ジョルジュさんの言葉に関して邪神に確認すると答えが返ってくる。
魔族でも人間でも力を貸すというのは、人間の感覚では邪神かも知れない。
「身体が大丈夫なら良いんだが、それならリカード達のほうが心配だな。二度も神の奇跡で助かったというなら、何か弊害があってもおかしくない」
(前にも言ったが、貴様が死ねば小僧共も死ぬ。後はすでに死んだようなものだから、肉体的な成長が止まっているだろうということか)
「えっ!?」
ジョルジュさんの言葉に対する邪神の返答に思わず声を上げてしまう。
「どうした。何か気になることがあるのか?」
「はい。私とリカード達は神の力で繋がっているので私が死ねばリカード達も死んでしまう。そして、神の力で生きながらえたので肉体的な成長も止まっているようです」
『え!?』
私の言葉に、リカード達三人が驚きの声を上げる。
それはそうだろう。
成長期真っ只中の三人にとって、成長が止まってしまったということは大きな問題だ。