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第04話 限界まで

 特訓で疲れ果てたフランツ達をジョルジュさん達ベテラン冒険者がベッドへと運ぶ。


 基本、回復役に徹していた私はまだ少年達よりは疲れの程度が少なく、なんとか自分の足で歩くことができた。


「ちょっとハードにしちまったけど、効果はあっただろ?」


「そうですね。かなり連携が取れるようになってきました」


 ジョルジュさんの言葉に私は肯定の言葉を返す。


 元々連携は取れていたとは思うのだが、ジョルジュさん達のような格上の相手と戦うときに必要な連携の取り方がしっかりと身についたと思う。


「俺達はナーシェンがどう攻めてくるか検討しているから、こいつらのことは頼むぜ」


「もちろんです」


 ベッドで眠る少年達を横目にそう答える。




 かなりボロボロになるまで頑張っていたため、血と汗と土で汚れている。


 私は濡れタオルを用意して、少年達の身体を拭いてやることにする。


 何度も何度もウォーリアさんの攻撃を防ぎ、時には攻撃を受けてボロボロになっているフランツ。


 邪神の呪いで成長しないとのことだが、なんだかたくましくなっているような気がする。


 ボロボロだけど、その傷がたくましさを演出しているのかもしれない。


 いつもはクールだが、今日は限界まで魔法を使って汗だくになっているレイ。


 いつもは余裕のある表情をしているが、今は小さく口を開けて熟睡している。


 ここまで必死に頑張っている姿を見られるのは嬉しいことである。


 素早い動きも先読みされ、何度も何度も吹っ飛ばされて泥だらけのリカード。


 小さな身体で諦めずに立ち向かう姿は、キラキラと輝いて見えた。


 まだまだ小さなこどもだけど、人に勇気を与える才能があるように感じる。


 注意されてもうっかり前に出てしまい、そのたびに手痛いお仕置きを受けていたダイ。


 身体で覚えろということなのだろうけど、悶絶している姿は少しかわいそうだった。


 もっとも、おかげでかなり慎重に動けるようになったのだけど。




 四人とも本当に頑張って特訓に耐えたと思う。


 汗や土、時には血を丁寧に拭き取りながら、思わず四人の頭を撫でてしまう。


 たくましく育っていく四人だが、こうしていると本当にまだまだこどもであどけない。


 こんなショタ達に囲まれたパーティーが組める私は本当に幸せ者だ。


 誰一人として死なせたくないし、強敵を打ち倒して喜びを共有したい。


(我も今の環境は気に入っている。協力してやろう)


 唐突に邪神の声が頭に響く。


 色々気になることもあるが、邪神のおかげでみんなが生きていられることは事実だし、味方になってくれているうちは心強い。


 私よりもナーシェンが自分にふさわしいなんて思われないように、もっと強くならなければ。

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