結局、その日はナーシェンが襲撃してくることはなく一日が終わった。
村の様子はすべてモニターしているとしても、移動した初日に攻撃してくる理由もないか。
むしろ、それなら移動中に攻撃するほうが良いだろう。
やはり、しばらくは攻撃を行わずに疲弊するのを待つ形だろうか。
そんなことを考えていると、突然地響きが起こった。
「おいでなすったか。全員、魔物の襲撃に備えろ!」
ジョルジュさんが鋭い声でみんなに注意喚起する。
裏をかいてすぐに攻めてきたということなのだろうか。
素早く装備を整え、隊列を組んで待ち構えていると、2mほどのヘビのような魔物が複数体現れる。
「気をつけるんじゃ。やつは身体に電気をまとっているぞ」
メイジさんがみんなに伝える。
数が多いため、各個撃破する必要がありそうである。
「ここはおいらの出番だね」
両手に大型のダガーを持ったリカードが敵陣に突っ込む。
「ワイドアタック!」
振るう短剣がヘビ達を切り裂いていく。
だが、さすがにそれだけでは片付かない。
「エアリアルスラッシュ!」
「鉄拳!」
「バッシュ!」
三人が追撃して三体のヘビを倒す。
今までの戦いの経験やジョルジュさん達との特訓で、みんなも強くなっているようだ。
しかし数が多いため、ヘビ達の反撃が始まる。
リカードは持ち前の俊敏さで攻撃を避け、フランツは盾でしっかりと防ぐ。
ダイが攻撃を避け残ったものの、そこは私がプロテクションの魔法を使って攻撃を防いだ。
「ワイドアタック!」
リカードが再びヘビ達に向かって範囲攻撃を繰り出すと、先程の攻撃で生命力を失っていたヘビ達は一気に倒れる。
「楽勝だなっ」
ダイがそう言って勝利宣言をした次の瞬間、倒れていたヘビが一箇所に集まり、4m近いヘビに変化する。
「げっ」
近くにいたダイに襲いかかるが、すぐにフランツがカバーに入る。
私もフランツにプロテクションをかけて防御力を高める。
「油断するな!」
巨大なヘビの攻撃をなんとか盾で防ぎながら、フランツの叱責が飛ぶ。
「エアリアルスラッシュ!」
フランツと膠着状態に陥っていた巨大ヘビに対し、レイが風の魔法を叩きつける。
堪らず、後ろへと下がる巨大ヘビ。
複数の魔物との戦いから、一体の巨大な魔物との戦いへと状況が変化する。
ちらりとジョルジュさん達のほうを確認すると、あちらには巨大ヘビが数体現れていた。
こちらの何倍ものヘビを相手に立ち回っていたのだろう。
この一体くらいは自分達でなんとかしなければ……。