「タカヒロさん、ダイ……リカードもいたのか、少し話があるんだが」
フランツとレイを伴ったジョルジュさんが私達の元にやってきてそう切り出す。
「まずはすまなかった。ナーシェンが陽動作戦を行うだろうことは予期していたんだが、それでも間に合わなかった」
「いえ、すぐに助けに来てくれましたし、おかげで私達は生き残れたんです」
「俺の命を助けてくれたのはタカヒロさんだけど、タカヒロさんの命を助けてくれたのはジョルジュさん達だぜ?」
「お前の命が助かったのは、タカヒロさんの神の奇跡があったからだけどな」
私達のお礼に対しても、あまり嬉しそうじゃないジョルジュさん。
確かに神の奇跡がなければダイは死んでいたし、私が殺されてしまえば邪神の力はナーシェンのものになっていたかもしれない。
「神像と私、どちらもナーシェンのターゲットなんですね」
「そういうことだな。今回は神像を中心に守っていたから、あんたへのフォローが遅れた。そこで、むしろあんた達に神像を守ってもらいたい」
「私達が神像を守り、神像を守っている私達をジョルジュさん達が守ってくれるというわけですね」
「ビンゴだ。敵の狙いである神像の近くにいるのは危険も大きいが、今回のことを考えれば護衛対象はまとまっているほうがいい」
今回、私達は自分達の身を守ることを最優先に神像から離れていたのだが、逆にそこを突かれた。
そうならない為には私達が神像のすぐ近くにいるほうが良いというわけだ。
「ただ、どちらにしてもこちら側が不利だから応援要請をしている。タカヒロさん達も街に戻るのが一番安全だが、今の状況だと移動中に狙われるからな」
「そうですね。戦力が増えても持久戦になると厳しいことに変わりはないですし、足手まといの私達を安全圏に逃げしてもらったほうが有利そうです」
「情けねえけど、実際殺されかけたんだから文句は言えねえな」
「でも、おいら達ってタカヒロさんがいたら死なないんだよ?」
「それは確かにそうだが、俺もタカヒロさんもお前らを不死身の兵隊扱いしたくねえし、ぶっちゃけ弱くてあんまり意味がない」
「悔しいですが……」
「現実的にオレ達は足手まといだよね」
今まで黙っていたフランツ達も思い思いに自分の意見を述べる。
「そうは言っても、ナーシェンもお前らが安全圏に逃げるまで時間を与えないだろう。ただ、それでもいつ襲ってくるかわからない状況が変わるから、短期決戦に持ち込める」
「次でケリをつける、もし無理でもタカヒロのことは全力で守る」
レイの言葉に、一同は黙って頷くのだった。