朝、目が覚めるとフランツの寝顔がある。
わりとフランツのほうが先に起きていることがあるから珍しい。
こうして改めて間近で顔を見ると、金髪碧眼の整ったイケメンだなと改めて感心する(目は閉じているけど)。
背は小さいけれど筋肉質で引き締まった身体つきだし、現代日本でもすごくモテそうだ。
将来は私なんかより全然高身長になっちゃいそうなのは残念だけど、眷属になったことで成長できないままなのは申し訳ないとも思う。
そんなことを考えながら見つめていると、目が覚めたフランツと目が合う。
「あ……タカヒロさん、おはようございます。僕の顔の何かついてますか?」
不思議そうに問いかけてくるフランツ。
内心ドキドキしてどう誤魔化そうか悩んだけれど、英雄神の言葉を思い出して勇気を出してみる。
「フランツの顔がすごくきれいだなと思って……」
「え!?」
私の言葉に、フランツの顔が赤くなる。
そんなところもかわいくて、思わず抱きしめてしまう。
「なっ……タカヒロさん!?」
動揺するフランツを無視して、そのまま頭も撫でてみる。
「あの……どうしたんですか?」
「いや、英雄神に言われたし、もう少し自分の気持ちに素直になってみようかと思って。嫌だった?」
「嫌じゃないです! ちょっと、驚きましたけれど……」
私の言葉にフランツは赤くなりながら否定する。
「お二人さん、朝からラブラブだね」
『え?』
声のほうを見ると、レイが私達を見下ろしている。
「いつの間に、そんなに仲良くなったのさ?」
「いや、これは……」
フランツが何か言い訳しようとするが、その前にレイがベッドに潜り込んでくる。
「え!?」
これには私も驚いた。
リカードならともかく、レイがこんな行動をとるなんて。
「オレも……混ぜてよね」
少し顔を赤らめながら、私に抱き着いてくる。
「えっと……」
どうしたらいいのかわからず、思わず固まってしまう私。
「そうだな。今はまだ、タカヒロさんを独り占めしたりはできない。今度はレイの番だ」
「余裕だね、フランツ」
仲が良いのか悪いのか、先にベッドから起きて立ち去るフランツ。
「オレも……抱きしめてくれる?」
「う……うん。もちろんだよ」
レイの言葉に、優しく抱きしめる。
フランツに比べるとすごく華奢で、力を入れすぎると壊れてしまいそうだ。
「今はまだガキだけどさ。オレ達、タカヒロのことを本気で特別に思ってるから」
「特別……」
レイの言葉を思わず反芻してしまう。
そんな風に思われているなんて……すごく光栄だけど、責任重大だなあ。