そのまま、しばらくレイと一緒に過ごした。
ナーシェンが自分の生みの親であることに、複雑な思いがあったらしい。
「レイはレイだよ。ナーシェンがどんなことをしようと関係ない」
「だけど、オレにはあいつの血が流れている。オレがメイジに向いた能力なのもあいつの影響だから」
「確かに、才能はナーシェンの影響もあるのかもしれないね」
落ち込むレイの背中を擦りながら、話を聴く。
「やっぱりオレはあいつのこどもなんだ」
「それはそうかもしれないけれど、こどもだからって親の罪まで被る必要はないよ」
背中を擦り続けていると、少しずつレイの体温が上がってくるような気がする。
「こんなオレに特別な思いを抱かれるのは嫌じゃないか?」
「嫌じゃない、嬉しいよ。レイに好かれることは本当に嬉しい」
私の言葉に少し安心したようにはにかむレイ。
普段はクールなレイだけど、こういう表情は本当にかわいい。
「おいらもレイのこと、好きだよー。もちろん、にーちゃんのことも好きだよー」
そうこうしていると、今度はリカードが現れる。
順番に出てくるなあと思うけれど、むしろ話が一段落するまで待っているのかもしれない。
「相変わらず、ノックもせずに入ってくるよね」
「ごめーん。でも、そろそろおいらと交代してよ」
「まあ……いいよ。また後でね、タカヒロ」
レイは軽く私の肩に触れてから、ベッドから出て部屋を後にする。
続いてリカードがベッドに潜り込んでくる。
「おいらはレイやリカードみたいにナーシェンと因縁があるわけじゃないけど、それでもアイツのことは許せないよ」
「そうだね、私も許せないよ」
リカードの言葉に同意する。
「おいらもとーちゃんに拾われる前、少しだけ神殿の孤児院にいたんだ。フランツはとーちゃんをナーシェンに殺されて、レイはナーシェンがとーちゃんだから、孤児院の先生達は二人を会わせないようにしてたみたい」
「あー。トラブルが起きないように配慮してたってことかな」
「でも、おいらよくわかってなくてフランツを連れてレイのところに行っちゃったんだよね」
「知らないとしょうがないよね。それで、トラブルになっちゃった?」
「ううん。レイが急に泣いちゃって、フランツがレイの頭なでてた」
「そっか。レイは自分を責めていたけど、フランツは許してた。ううん、レイが泣いちゃったから思わずだったのかな。どちらにしても、それから仲良くなったの?」
「うん。それからは三人一緒に遊ぶことが多くなった」
「そうなんだ。リカードがフランツとレイを友達にしたんだね」
リカードの頭を撫でてやると、嬉しそうな笑顔を見せてくれた。