「フランツもレイも大事な友達だけど、にーちゃんはちょっと違うんだよね」
「ジョルジュさんのほうに歳が近いしね」
「うん。にーちゃんはとーちゃんみたいに、そばにいると安心できる。でも、とーちゃんと違って、ちょっとドキドキもする」
少し顔を赤らめながらそう言うリカードに、私も顔が赤くなっていることを感じる。
「ドキドキしてくれるんだ」
「うん。にーちゃんとこうしていると、幸せだし安心できるけど、ドキドキもする」
そう言いながら、さらに密着してくるリカード。
甘えん坊のショタって感じだけど、恋愛感情を一番表に出してくるのもリカードだ。
「フランツとレイは友達だけど、にーちゃんのことは独り占めしたいような気がする」
「独り占め?」
「うん。今はまだ、みんなのにーちゃんだけど、いつかおいらだけのにーちゃんになってほしいなって思っちゃう」
「そうなんだ。嬉しいよ」
なんというか、ハーレム状態である。
嬉しいという気持ちは本当だけど、今の時点では私も誰って決めきれない。
みんなまだこどもだし、現代日本人の倫理観が邪魔して恋愛感情を抱くことが難しい。
「じゃあ、おいらもこれくらいで。また後でね」
最後にぎゅっと抱きついてきた後、ベッドから抜け出すリカード。
ハーレムタイムもこれで終わりらしい。
少しして、私も起きてベッドから抜け出そうと思うとダイがやってきた。
顔を赤らめながら黙ってベッドに潜り込む。
「おれはその、あいつらより後からパーティーに入ったし、あいつらほどあんたのことが好きなわけじゃないと思う」
「うん」
「だけど、少なくともあんたとこうしてるのは嫌じゃないし……いや、結構安心できて好きかな」
「そっか。嬉しいよ」
ダイとは一番微妙な関係だ。
最初からいたわけじゃないから命の恩人補正が付いていないし、眷属になったのも後からだし。
性格的にも素直なタイプじゃないから、むしろこうして隣で寝ているだけで相当気を許してくれているんだと思う。
「あいつらのことを見ていると、おれの気持ちはあいつらと違うと思う。でも、たまにこうしたい。迷惑か?」
「そんなことないよ。嬉しいよ」
「だけど、あいつらは嫌がるんじゃないか?」
「そうかもしれないけど、ダイの気持ちが大事なんじゃないかな」
今、少しずつフランツ達との関係も進展しようとしているし、そう言う意味では難しい問題かもしれない。
けれど、ダイだけを邪険に扱うというのも違うし、きっとあの子達もそれはわかってくれると信じたい。