「ダイ。プレゼント配り、お疲れ様でした」
「まじで疲れたぜ〜」
もこもこした衣装が嫌だと半裸の上からケープのような衣装を来ているダイは、いつもよりすごくかわいい。
ズボンも半ズボンだし、ブーツを脱いで裸足でベッドに座っている姿はこどもっぽさが際立っていた。
しかし、神殿に併設している孤児院のこども達に朝からプレゼントを配ってまわるというサンタクロースのお仕事は、冒険者という過酷な仕事を行っているダイにとっても大変だったらしい。
「大人気だったもんね」
「あいつら、おれのことを木だと思ってなかったか?」
「あはは。ちっちゃい子達はダイの身体に登ろうとする子が多かったね」
ダイがしゃがんで袋に入ったプレゼントを配っていると、ヤンチャな子達がダイに抱きついたりよじ登ったりしていた。
最初は嫌がって下ろそうとしていたダイだったが、あまりに人数が多くて最後はされるがままになっていた。
「お疲れのダイくんをマッサージしてあげよう」
「あんた、ほんとにマッサージするの好きだよな。まあ、気持ち良いから嬉しいけど」
寝転んだままそう言うダイの手に、自分の手の平で温めたオイルを塗ってやる。
「んあ? 今日は足じゃねーの?」
「足もやってあげるけど、手もやってみようかなと思って」
ナックルガードが付いているとはいえ、殴って戦うモンクの手は硬くなりやすい気がする。
私はたっぷりのオイルで優しく包み込むようにダイの手の平をもみほぐす。
パーティーの中では一番大きいダイだけど、それでも私と同じくらいか少し小さい手の平だった。
やはり手の甲辺りは少し硬くなっているようで、柔らかくなるように念じながら優しくマッサージする。
「んー、気持ち良い。重いプレゼントもあったし、手も疲れてたのかもな」
「そうだね、色んなプレゼントがあったからね」
そう言いながら、今度は投げ出した足に目を向ける。
いつも裸足のダイだが今日はサンタブーツを履いていたので、少し蒸れているような気がする。
私はオイルがあまり付いていない手の甲でさり気なくダイの足裏を触ってみる。
少し湿った感じのある感触が物珍しい。
「どうかしたのか?」
「え? ううん、なんでもないよ」
不思議そうな表情で見てくるダイに平静を装って足裏マッサージを始める。
少し蒸れていたからかいつもより柔らかいような気もするが、足全体を包み込むように優しくマッサージしてやる。
足もやはりパーティーの中では一番大きいのだが、ウォーリアであるフランツほどはがっしりとはしていない。
とはいえ、パンチを放つ際に裸足で踏ん張るので足裏が硬くなりがちなので、こちらも柔らかくなるように念じながらしっかりと揉みほぐしてやる。
「うわー、相変わらず気持ち良いな!」
「そう? そう言ってもらえるとマッサージしがいがあるよ」
よほど気持ちが良いのか顔を赤らめて目をとろんとさせるダイは、このまま寝てしまいそうな勢いだ。
疲れているだろうし寝かせてしまおうかと思いながらマッサージを続けていると、やがて小さな寝息が聞こえてくる。
ヤンチャな顔立ちをしているダイだが、眠っている姿は非常にかわいい。
「お疲れ様」
手についたオイルを拭き取ってから優しく頭を撫でてやると、幸せそうに口角を上げるのだった。