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第5話 アンジュドシエルの未来《これから》

――アンジュドシエル

――ノルマ……達成クリア

――支援者ファン……+2469人

――評価……S

――この結果を以ってアンジュドシエルはNノービスランクに昇格する


国が編成した討伐部隊が到着した時にはリザンテラは朽ち果てた後だった。

討伐部隊はアンジュドシエルの4人を抱えて、王都へ帰還した。

戦いの一部始終は見えていなかったが、結果としてリザンテラは倒れていた。

状況的にアンジュドシエルが倒したのだろうとなった。

そして国の危機から救ったことが評価され、国から報奨金を貰うことになった。

新ダンジョンも慎重に再調査が行われたが、あれ以上の隠し通路は見つからなかった。

こうして今回の『仕事ヒロアク』は幕を閉じた。


生中継をしていたヒロアクキャストTVも映像が回復した時には戦いが終わった後だった。

通信を阻害していたのも、リザンテラだったのだろうという結論に落ち着いた。

それでもBベースメントランクに取っては異例の視聴数を叩き出し、アンジュドシエルはある程度知れ渡るようになった。

ファンも大幅に増えて、一躍注目の存在になりつつあった。

それでもまだ《ノービス》ランクに上がったばかり。

まだまだ一部の界隈での話である。





「おはよーございまーす!」


アリサは元気よく笑顔でギルドハウスに入っていった。


「おっす!

 アリサはいつも通りだな!」


ロマリアは、あの『仕事ヒロアク』の後、『物理攻撃フィジカルアタック魔法少女ウイザード』として一部熱狂的な支援者ファンが増えた。

そのことにまんざらでもない様子だった。


「……おはよう……」


サラはいつも通り、アイテム開発に余念がない。

作ったアイテムが全く効かなかったのが気に食わなかったようで、今まで以上にアイテム開発に力を入れていた。


「うぃーっす。

 調子はどうだ?」


リュウはその後のアリサの様子を気にかけていた。

女神が乗っ取って、自分のポテンシャルを最大限使われていたのだから、肉体的疲労は半端ないはずだ。


「あちこち痛いですが、大丈夫です!」


いつも通りの笑顔で返すアリサ。

まだまだ戸惑いがあるようだが、とりあえずは何事もないようだ。

アリサもあの時意識があり、声の主が自分の体をどう使うかは見えていた。

リザンテラを圧倒的に倒す自分の体。

アリサは心からワクワクした。


『この力が使えれば私もきっと真の勇者トップスターになれる』


ただあの後、同じようにやろうとしても、あの声の主ほど上手くは使えなかった。

それでも以前よりかは力が伸びている実感を感じていた。

絶対にあの力を使えるようになるんだ。

そして、絶対に絶対に真の勇者トップスターになるんだ。

アリサの中にしっかりとした決意が湧き上がっていた。


一方、リュウはあの女神の行動はなんだったのかと考えていた。


女神は、俺を何度も何度も真の勇者トップスターに転生させては魔王を倒させていた張本人だ。

今世も本当は真の勇者トップスターにするつもりだったらしいが、俺はそれを拒否した。

俺はもう戦うのはうんざりだった。

それでも女神は助けてくれと言うので、教える立場ならいいとして、今のギルドマネージャーとして転生した。

ただ……俺に今までの全記憶、全スキルは持たせたまま。


女神は


『その方が教えやすいでしょ』


と言っていたが、育てられなかったら、俺に戦えと言わんばかりだった。

それにアリサの存在と女神の出現はなんなのか……

もしかしたら、あれは俺を転生させるために用意された人間、器だったのかもしれない。

俺が戦うのを拒否したから、次はアリサを俺に引き合わせた……

それも全部女神が仕組んだことなのかもしれない。


リュウは頭の中でいろいろと思いを巡らせたが、結論は出なかった。


「あいつは俺に何をさせたいんだ……」


周りに聞こえないようにリュウは呟いた。


「あっ?

 なんか言ったか?」


ロマリアはボソッと聞こえたリュウの独り言に反応した。


「何でもない。

 次の仕事、どうするかなと」


「次こそは魔物討伐で!」


ロマリアは勢いよく答えた。


「……新しいアイテム、試したい……」


いくつか試作が出来たサラはいろいろとアイテムを使いたいようだ。


「私は……

 私はどんな『仕事ヒロアク』でもやります!」


アリサはいつでもどんなことでも前向きに取り組んでいる。

決してあきらめない心を持っている。

そしていつか真の勇者トップスターになることを信じて疑わない。


アリサとアンジュドシエルの未来これからはまだ始まったばかりだ。

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