門番A「はいどうもー」

門番B「門番コンビ、悶々ずでーす」

門番A「今日も張り切って悶々としていきましょうね」

門番B「嫌な宣言するね」

門番A「今日は特に綺麗な女性のお客さんたくさんきてるんで僕はすでに悶々としてますけども」

門番B「のっけからセクハラしてんじゃないよ」

門番A「左からエルフさんエルフさんトロール挟んでエルフさん」

門番B「失礼だろ。訂正しなさいよ」

門番A「ごめんなさい。左からエルフさんエルフさんトロール挟んでドワーフさん」

門番B「被害者増やしてどうすんのよ」

門番A「ところでお前最近悶々としてることない？」

門番B「ネタ振りが雑すぎない？」

門番A「俺は一つあるんだよね。悶々としてること」

門番B「ほう」

門番A「俺たち二人さ、魔王城の門番として今まで三度あった勇者からの襲撃を全て追い払ってきたわけじゃん」

門番B「実はそうなんですよ」

門番A「逆に言えば魔王様は一度も勇者と戦ったことがないわけ」

門番B「うん。まあそのために俺たちが戦ってるわけだしね」

門番A「これちょっとやばいんじゃないかなって思うんだよね」

門番B「ヤバい？」

門番A「もし仮に勇者が侵入してきた時さ、ぶっつけ本番だと魔王様も段取りとかわかんなくてテンパっちゃうんじゃないかなって」

門番B「お前大丈夫？だいぶ失礼なこと言ってるけど」

門番A「だからさ、ちょっとシミュレーションしてみようと思うんだよ」

門番B「勇者対魔王様の？」

門番A「そうそう。一度しっかりシミュレーションしとけば、いざ勇者がきても魔王様もちゃんと失礼なく応対できるし」

門番B「魔王様、新人バイトみたいな扱いだな」

門番A「じゃあ俺勇者やるから」

門番B「俺が魔王様やればいいのね？」

門番B「フハハハハ！よくきたな勇者よ！」

門番A「おっ、こんなところに魔王城できたんだー」

門番B「あっ、ちゃんと入ってくるところからやんのね」

門番A「ちょっと入ってみるか……ウィン」

門番B「いや、うちの魔王城自動ドアじゃないから」

門番A「あぁそっか」

門番B「嫌だよ俺自動ドアの門番とか」

門番A「よーし魔王城に入ったぞー」

門番B「入るくだりもういいのかよ」

門番A「どこだー魔王ー！」

門番B「…………フハハハハ！よくきたな勇者よ！」

門番A「ガハハハ！出おったな魔王！！！」

門番B「貴様のような人間に風情にこの我輩が倒せるかな！」

門番A「ぐわっはっは！！言いよるわ小童が！魔物の分際でこの勇者に楯突くとはいい度胸じゃ」

門番B「ちょっと剛気すぎるわ」

門番A「えっ、だって勇者だよ？」

門番B「そこまで勇ましくなくていいから。もっとスマートにいって。はいもう一回」

門番A「出たな魔王！」

門番B「フハハハハ！よくきたな勇者よ！」

門番A「今来たばっかり！」

門番B「この世界を恐怖で支配するのが我輩の夢だ！」

門番A「いい夢持ってる！」

門番B「貴様を倒せばついに我輩の理想の世界が完成するのだ！」

門番A「君の努力でもう一歩！」

門番B「合いの手やめて」

門番A「盛り上がるかなって」

門番B「魔王様推しの勇者おかしいでしょ」

門番A「難しいな」

門番B「じゃあ次、戦闘シーンな」

門番A「いくぞ魔王！！」

門番B「フハハハハ！受けて立ってやるわ！！」

門番A「喰らえ魔王！奥義デットエンドメーカー！」

門番B「ぐわああああ」

門番A「ダークエネルギーボール！」

門番B「ごわあああああ」

門番A「トドメだ！ハピネスファミリークラッシュ！！」

門番B「ちょっと技が暗いわ」

門番A「だめ？」

門番B「勇者が闇っぽい技連発しちゃダメでしょ。幸せな家庭ぶっ壊すんじゃないよ」

門番A「まあいいやとりあえず続きやろうぜ。はい魔王様倒れて」

門番B「ぐはああああああ…………やられた‥‥」

門番A「…………トドメは刺さないでおいてやる」

門番B「な……なぜだ勇者」

門番A「お前さ、夢があるんだろ？俺……本気でお前の夢応援したくなったんだ」

門番B「…………応援しちゃだめだろ……立場的に……」

門番A「とにかくそういうわけだから。元気になったらまた会おうぜ。じゃあな」

門番B「………勇者……………」

門番A「…………ウィン」スタスタ

門番B「いやだから魔王城自動ドアじゃねーから」

門番B「どうだった？シミュレーションしてみて」

門番A「俺とんでもないこと気づいちゃったよ」

門番B「なに？」

門番A「これ魔王様負けてない？」

門番B「だめじゃねーか」

門番A&B「「どうもありがとうございましたー」」

門番A「…………」

門番B「…………」

勇者「なにやってんのお前ら」

門番A「えっ……うわっ勇者！？」

門番B「貴様！いつからそこに居たんだ！」

勇者「いや、今来たところだけど……なんか二人でお辞儀してっから」

門番B「貴様……明日の魔王軍合同忘年会用の漫才のネタ合わせをみていたな！！許せん！」

勇者「今来たところって言ってんだろ」

門番A「ほ……ほんとに見てないんだな！」

勇者「見てねえよめんどくせえな。つうか悪いんだけどここ通してくんない？」

門番B「だめに決まってるだろう！貴様この魔王城になんの用だ！」

勇者「攻略しに来たに決まってんだろ」

門番B「だったら通すわけにはいかない！どうしても通りたくば俺たち門番を倒してから行くのだな！」

門番A「まあ今まで三度も俺たちに倒されているお前が勝てるわけないがな！」

勇者「俺今回はマジでレベルアップしてきてるからな。多分勝てるよ」

門番B「ほざけ！！」

門番A「うおおおおおおおお！」

勇者「おらあああああああ！」

………………。

門番B「ハア…………ハア……まさか本当に俺たちが負けるとは……」

門番A「クソ…………」

勇者「はぁ…ようやくこいつらに勝てた……じゃあ俺行くから」

門番B「待て……！貴様なぜトドメを刺さん」

勇者「まあ……もう四度もやり合った仲だしな。明日忘年会なんだろ？漫才頑張れよ。悶々ず」

門番B「クッ…………」

勇者「じゃあ入らせてもらうぜ魔王城」

門番A「……勇者…………」

勇者「…………ウィン」

門番B「お前やっぱり全部見てただろ」