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第24話 バカ戻り

勇者「ヒャッハー!!おいゴーレムおんでゴーレム!!」


戦士「ほんまやんけ!!いてもうたれいてもうたれ!」


勇者「オラオラオラオラオラ勇者パンチ勇者パンチ!!!死にさらせバケモンがコラああああああ!!」


戦士「はい鎧タックルドーン!!!倒れたところを胸倉つかんで兜で頭突きガーン!!!」


勇者「よっしゃ瀕死や!!こいつ倒したらこの洞窟はワイらのもんやで!!!」


戦士「ホナ最後はこの戦士様の大剣で始末したるでー!おい勇者こいつ羽交い締めにしとけや!!!」


勇者「よし!ワイが抑えといたる!!いてまえ!!!!!」


戦士「うおらあああああああああ!!!!!ワイの経験値となれやあああああ!!!」



『ゴーレムは死んだ』



勇者「っしゃあ!!やったったでー!!!」


戦士「エントリーナンバー5番戦士!!ゴーレム討伐クエスト達成祝いに脱ぎまーす!!!!」


勇者「よっ、待ってました!!」


戦士「ウィーアーザチャーンピオンー♪」


勇者「いよっ!異世界のフレディマーキュリー!!!」



『戦士はLv.86に上がった』



勇者「うおおおおおお!しかもレベル上がっとるやんけワレぇ!!!」


戦士「いえええええええええええ!!!!!踊るでえええええ!!ロッキューン!!!」


『戦士の攻撃力が50上昇した』


戦士「はいもりもりパワーいただきましたー!!」


勇者「ちっからずく!ちっからずく!魔物も女もちっからずく!!」


『戦士の素早さが80上昇した』


戦士「はい音速超えましたー!!!!!」


勇者「金メダル!金メダル!ボルトもビックリフライング!!」


『戦士の知力が932上昇した』


勇者「国立大!国立大!センター試験で一万点!!」


戦士「これが正義か」


勇者「えっ……」


戦士「魔物だって家族がいて生活があって、それを守るために必死に生きているわけで……そんな彼らを正義の名の下に殺めている俺達の存在って」


勇者「待て待て待て………どしたんやお前急に……なんやそのテンション……」


戦士「実はさ……前々から疑問に思ってたんだよね」


勇者「いや待てや、絶対いま知力ガツーン上がったせいやろそれ」


戦士「そんなこと……ないよ……」


勇者「憂いを帯びるな憂いを。ちょっと前まであんなノリノリでゴーレムしばいとったやんけお前」


戦士「常に心に葛藤を持ちながら戦っていた……」ゴソゴソ


勇者「ウソこけや!!正義のあり方に疑問持っとる奴があんなエグい狩り方するかいな!!」


『戦士の魔力が30上昇した』


戦士「俺はこの世界の人々を守るために戦ってきたつもりだった……しかしいつの間にか俺達は……」バサッ


勇者「踊れや!!!!いまステータス上昇したやんけ!!なにシカトしてんねん!!」


戦士「己の愉悦のために魔物を狩ることに夢中になってしまって……」カチャカチャ


勇者「さっきからなにしれっと服着てんねん!!ベルトを締めるな!!脱いどかんかい!!胸毛見せんかいコラ!!!!」


戦士「やはりこんな旅は間違っていると思う」キュッ


勇者「ネクタイどっから出したんやそれ。鎧どこいってん」


戦士「俺……旅をやめて医者になろうと思う」


勇者「…………正気か?」


戦士「ああ、俺が今まで殺めた命以上の数の命を救いたい。それが本当にこの世界を救うことになると思うんだ」


勇者「なんやそれ…………ワイらこっち転生してきてから今までずっと二人でやってきたやんけ……」


戦士「…………すまない……なんか俺一人だけずいぶん上に行ってしまって……」


勇者「しばいたろか」



『ゴーレストがあらわれた!』



勇者「なんやこいつ!!さっきのゴーレムがここのボスちゃうんかい!!」


戦士「なるほど……彼がここの本物の主ってわけか……」


勇者「彼とか言うなや!魔物やぞ!!」


『ゴーレストの攻撃!戦士に123のダメージ!』


戦士「グハッ……」


勇者「おいなにやってんねん!!かわせやそんな攻撃!!!!」


戦士「ゴーレスト!この洞窟を守る神よ!我々に戦う意思はない!どうか怒りを鎮めたまえ!!」


勇者「意思ありありじゃボケええええええ!!!お前ほんまなに言うてんねん!はよ戦わんかい!!」


『ゴーレストの攻撃!戦士に254のダメージ!』


戦士「ゴーレスト……この痛みでそれでそなたの怒りが鎮まるのであれば俺は……」


勇者「お前なんやそのキャラ!!さっきまでと微妙にベクトルちゃうやないか!!!」


『ゴーレストはレイダウンを唱えた!』


戦士「ステータス下降魔法か……よかろう。気のすむまで好きにいたぶるがよい」


『戦士の攻撃力が60下がった』


戦士「我々冒険者が今日まで君たち魔物に対して行ってきた非道な仕打ち……」


『戦士の素早さが80下がった』


戦士「それを思えばこの程度の罰は苦でもなんでもない……」


『戦士の知力が1032下がった』


戦士「ワケあるかいこのボケええええええええ!!!!!」


勇者「あっ、戻りよったわ」


戦士「こっちが下手に出りゃあいい気になりくさりおってこの石畜生がコラああああああ!!」ボコッボカッ


勇者「うわぁ……ほんまえっぐいなあいつ」


戦士「二度と動けんようにして道頓堀に投げ込んだるわボケええええ!!!」ドコッグシャッ


勇者「…………うおおおおワシにもやらせええええええ!!!」


戦士「よっしゃ勇者こいつの首すっ飛ばしたれや!!!!!」


勇者「任せんかい!!うおらあああああああああ!!!」



『ゴーレストは死んだ』



勇者「よっしゃあああああ!やったったでええええ!今度こそほんまにワイらの勝ちや!!!」


戦士「真の勝利を祝ってー!!!戦士!!全裸になります!!!」


勇者「よっ!待ってました!!!」


戦士「勇者!!どうせならお前も脱げや!!二人で裸になってこの勝利を祝おうや!!!」


勇者「おっ、ええやんけ!ほなワイのこの鍛えられた肉体美見せたるわ!!!」カチャカチャ


戦士「おらおら脱げ脱げ脱がんかーい!!!」


『レイダウンの効力が切れた』


勇者「おらあああああああ!どやああああああ!!!!」ズバァッ


戦士「しまえ」


勇者「えっ……」


戦士「なんてことしてんだお前こんなところで……TPOを弁えろよ。仮にも勇者だろ何考えてんだ」


勇者「こいつまた……知力戻りやがってこいつ………!」


戦士「魔物とはいえ仏前だぞ。不謹慎だろ」


勇者「お前がコイツを仏にしたんちゃうんかコラ」


戦士「トドメ刺したのはお前だったろ」


勇者「クッソこいつほんまめんどくさい………あとなんで知力上がると標準語なんねん…………」


戦士「すまない……言葉使いにまで知性を感じさせてしまって…………」


勇者「ほんましばくぞ」


戦士「やっぱりこの旅はここまでにしよう。俺は医者としてこの世界を救う。お前はどうする?」


勇者「なあ……お前ほんまに言うてんのか?せっかく二人でここまできたんやんけ……レベルだってこんなにあげたのに転職したらまた一から全部やり直しやぞ……?」


戦士「仕方がないことだ。俺が今まで殺めた命の重さに比べればこんなレベル上げの時間なんぞ……」


勇者「お……お前本気で言うてんのか!!!」



『勇者はLv.86に上がった』



勇者「!?そうかさっきの戦闘でワイも……」


戦士「そうか……じゃあお前にもすぐにわかるさ……俺の気持ちが」


勇者「んなわけあるかい!!ワシは変わらへんぞ!!全裸のまま喜びを表現したるわ!!!」


『勇者の攻撃力が50上昇した』


勇者「はいパワーいただきましたあああああ!!!ムッキムキ!!はいムッキムキ!!!!」


『勇者の素早さが80上昇した』


勇者「はい光速超えましたああああああ!!!アインシュタインを覆すでええええ!!!」


『勇者の知力が932上昇した』


勇者「あっ……」


戦士「………………どうだ?」


勇者「…………お前にはこんな風に世界が見えていたのか……」


戦士「ようやく気づいたか」


勇者「俺は……俺達は今まで…………」ゴソゴソ


戦士「罪を悔いても仕方がない……正しさなんてのはひとつじゃないからな」


勇者「俺はこれから…………」カチャカチャ


戦士「これから………どうするんだ?」


勇者「政治家になってこの世界を変えようと思う」キュッ


戦士「そうか」


勇者「あぁ……魔物と人間が共存する世界を実現してみせる」スチャッ


戦士「ふ……メガネよく似合ってるじゃないか」



次の日、教会にて。



神官「本当によろしいんですね?」


戦士「ええ大丈夫です。俺は医者になると誓いました」


勇者「そして俺は政治家になりこの国を、世界を変えます」


戦士「これから俺達は別々の道を行きます」


勇者「あぁ……もし俺達の力で世界が平和になったらもう一度二人で旅でもしよう…………」


神官「わかりました……神よ……この者達に新たなる道と祝福を…………!!」


『勇者は政治家へ転職した』


『戦士は医者へ転職した』




数日後…………。




政治家(Lv.1)「ヒャッハー!!!おいゴブリンおんでゴブリン!!!」


医者(Lv.1)「よっしゃ!!いてもうたれいてもうたれ!!!」


政治家(Lv.1)「オラオラオラオラオラ政治家キック!政治家キックバック!!」


医者(Lv.1)「はいメスでバーン!!!!んで傷口にヤバい薬ドーン!!!!」


政治家(Lv.1)「どけどけどけえええええ!!選挙カーで轢いたんでえええええ!!!」


医者(Lv.1)「うおっしゃあああああ!!やったれえええええ!!!!」



『ゴブリンは死んだ』



医者(Lv.1)「はい10時23分ご臨終うううううううう!!!」


政治家(Lv.1)「ご通行中の皆様!高いところから失礼致します!政治家です!政治家のワイがこの魔物を仕留めました!!」


医者(Lv.1)「誰も通ってへんぞー!!」


政治家(Lv.1)「元勇者で政治家のワイに清き清き一票をお願いします!!!」


医者(Lv.1)「誰も入れへんぞーー!!!」


政治家(Lv.1)「やかましいんじゃヤブ医者がコラ!」


医者(Lv.1)「有権者に逆らうなーー!!!」


政治家(Lv.1)「いやーしかし、なんかちょっと前はうだうだ言いよった気もするけど、なんや知らんが転職したらどうでもようなったな!!」


医者(Lv.1)「ほんまやで!!ちまちま治療費なんか稼いでられへんわ!!!」


政治家(Lv.1)「やっぱワイら戦闘してなんぼや!!力でこの世界を救ったるわ!!!」


医者(Lv.1)「ではゴブリン討伐を祝して!!医者脱ぎまーす!!」


政治家(Lv.1)「よっ!待ってました!!!」

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