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第127話 ピャウリー(ヤマメ)のちゃんちゃん焼き①

 すっかり風邪から回復した俺は、朝から裏手の川でみんなと釣りを楽しんでいた。

 アシュリーさんとララさんとともにした釣りが余程楽しかったのか、川で釣れる魚が気に入ったのか──その両方だろうな──円璃花は釣りにハマッてしまったようだった。

 昔海に堤防釣りに連れて行った時は、そんなこともなかったんだがなあ。


 まあ、あの時はアカルサンばっかり連れたから、楽しくなかったのかも知れんが。

 釣った魚は食べる派なので、その場でそのまま焼いて食べたが、アッサリモッサリした食感で、正直そんなに食べたいものでもないからな。だから捨てる人も多い魚だ。

 ちなみにアカルサンは地方独特の呼び名らしく、正式にはネンブツダイと言うらしい。


 雄が卵を口にくわえて守り、孵化させるという独特の産卵の仕方をする魚で、卵をくわえている様が念仏を唱えているようであることと、水面を群泳しながら、ブツブツつぶやくような音をたてる様子が、仏教徒が集まって念仏講をしている姿に似ている、ということからその名がついたらしい。


 ネンブツダイは生身だと市場には出回らない魚だ。煮干しに加工されることが一般的には多い魚だが、あまり東京では見かけない。

 だからか、生身のままを味噌汁の出汁に使う食べ方が、漁師さんに人気らしい。出汁を取ったあとの身も食べるそうだ。

 だが和歌山県なんかじゃ、独特の料理方法で料理をして食べるそうだ。


 一応刺し身でも食べられる魚なんだが、人体に影響がないとされてはいるが、寄生虫がいるので、刺し身にする時はいちいち手で取り除いて食べなくてはならない。基本は加熱がオススメだな。ネンブツダイの天ぷらを食べられる店があるのを知った時は、ちょっと食べてみたいと思ったのだが、結局食べずじまいだったな。どんな味わいだっただろう。


 ちなみに家の裏手の川で釣れる魚は、ピャウリーという魚が中心だ。

 〈ピャウリー〉

 河川で過ごす河川残留型の個体。下流域に近い上流などの冷水域の川に生息している。

 味わいはヤマメに似ている。

 ──そう。我が家の裏手の川では、別名渓流の女王、ヤマメが釣れるのである。


 ヤマメの釣れるポイントは3つ。隠れ家がある、深さがある、流れがある。これだ。

 川向こうは森で、鳥が狙ってくるのだが、隠れられる岩場もあり、深くも浅くもない程度の川だからか、まさか家の裏手でヤマメが釣れるとは思わなかった。俺は海釣り派なんだが、渓流釣り派の人からしたら、よだれが出るほど羨ましい立地だろうな、我が家は。


 円璃花が楽しそうに、釣れたピャウリーを針から外して、クーラーボックスに入れる。

 ヤマメの餌は、水中か水面にいる昆虫だ。水生昆虫は水に流れて運ばれてくるから、それを捕えるためには、流れの中か近くにいないといけないということになる。また、ヤマメは水温が15度以下のとても冷たい水を好む魚だ。水は溜まると温度が上昇しやすく、流れている方が水温が低い。


 家の裏手の川に、岩がいくつも重なって、泡で白くなっている場所があるのだが、その手前の、白泡が消えかかって半透明になっている場所が、絶好の釣りポイントだ。

 ここの川は流れが強過ぎることもないので、ちょうどいい温度なんだろうな。低い水温を好み、かつ餌も流れてくるという理由から、ヤマメに似たピャウリーもここで暮らしているという訳だ。


 白泡は外敵から魚の身を守るカーテンの効果もあるんだぞ、と、カイアとアエラキとキラプシアに教えてやり、そこを狙って釣り竿を投げると、早朝なんかは面白い程に釣れることが分かった。

 カイアとキラプシアは、割り箸に釣り糸と餌を付けた物で釣っているが、アエラキはなんと、風魔法でロッドを持ち上げて、大人と同じ方法で釣っている。


 餌でも、ルアーや毛バリを使った疑似餌でも狙うことが出来るのがヤマメの特徴だ。

 ヤマメの狙い方は3つ。魚を模したルアーで誘い出すルアーフィッシング、虫を模した毛バリを使うテンカラ釣りとフライフィッシング、普通に餌を使うミャク釣りの3つだ。


 色んな釣り方を楽しめるのが魅力の魚だと思う。釣り方によって選ぶ道具も投げ方も異なる為、スポーツフィッシングと言うとバス釣りを思い浮かべていたが、ヤマメのほうが今はイメージが強い。

 ただ友人からは、すべての釣りがスポーツフィッシングになるのだと教えられた。


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