「ちょ、キショイキショイキショイキショイ!服の中入って来る!ぶっ!ぺっ!めっちゃかけられて……!いおり!助けて!」
「ちょこさん!今助けます!」
:ぶっかけ……だと……!?
:ガタッ!
:触手が全身にまとわりついて、服の中にまで……。これで配信がBANにならない、健全なスターフィッシュツリーさんに感謝。
:それ割とワロえない状況。スターフィッシュツリーは、獲物を捕食する為に、触手で捕らえたら粘液を大量にぶっかけて、獲物を動けなくしてからゆっくりと捕食する。
美織は近くの巨大な水たまりのような場所に、えいっ!といきなり刀を突き刺した。すると水中から膨らんだ巨大なフグのような魔物が飛び出して来て、地面に落下した。
「ちょこさん!大量に水がいきますよ!息を吸って止めてて下さいね!」
美織はその魔物の口を獄寺ちょこに向け、握り合わせた拳を上から下に振り下ろした。
魔物は背中を叩かれて、口から大量の水を吐き出し、それが勢いよく獄寺ちょこの全身に浴びせかけられた。水量が凄過ぎて呼吸が出来ず、ほっぺを膨らまして耐えるちょこ。
水がひいた頃には、獄寺ちょこをとらえていた粘液は、綺麗さっぱり流されていた。ようやく息が吸えるようになり、何度も大きく深呼吸を繰り返す獄寺ちょこだった。
:アルカリパファーフィッシュか!
:全身ビッショビショwww
:これもまたひとつのプレイwww
:アルカリパファーフィッシュとは?
:アルカリ性の水の中に暮らすフグの魔物。こいつがエサを食べる際に大量の水分を体内に吸収するんだけど、その時にアルカリ性の水と炭酸塩が交じった水が出来る。それをぶっかけると、スターフィッシュツリーの粘液を綺麗に溶かすことが出来る。
:ようするに洗濯してんのか
:●液はタンパク質だもんな、理解
:お湯かけて洗ってたら固まって困ってたんだが、今までやり方が間違ってたのか!
:風呂場で出したら、そら固まって浮くでしょうよ、あーた。
:すね毛について困るやつな
:俺排水溝詰まらせて母ちゃんキレさせた
:お前ら全員何してんねんwww
アルカリパファーフィッシュの水を大量にかけられたことで、攻撃をくらったと思い怯んだのか、スターフィッシュツリーが、ちょこを捕らえていた触手の手を緩めた。
「ちょこさん、今です!移動速度強化で逃げてください!」
「言われなくても!」
ちょこは移動速度強化のスキルを使い、スターフィッシュツリーの群生地から抜け出すことが出来た。
「よくもやってくれたわね。くらえ!」
獄寺ちょこが空中を素早く移動して、スターフィッシュツリーに爆弾の雨を降らせる。
迷惑配信をやらなくなったことで、最近使っていなかった、トドメ横取り用のもので、それなりに威力がある。
ちょこを主に捕らえていたスターフィッシュツリーは、アルカリパファーフィッシュの攻撃もあり、それがトドメとなって、スターフィッシュツリーの幹をドロップした。
:お、幹やな
:そうか、いおりんと違って、獄寺ちょこがトドメをさすと、フツーにドロップすんのか
:いおりんは今回何目当てなん?
「今回は普通に倒す配信ですから、特に狙っているドロップはないですね。皆さん何か出て欲しいものがあるんですか?」
:せっかくだから食べ配信しようや
:せやな、美味いって評判やし
:美味いものは基本食べ配信して欲しい
「わかりました!じゃあ身肉を狙いますね!次回はスターフィッシュツリー食べ配信をします!アンケート出たらお願いします!」
美織は鎖鎌をグルグルと振り回すと、それを放り投げ、大縄跳びを揺らすように、ウネウネと鎖を上下に揺すって動かしつつ、右に引きながら鎖鎌を手繰り寄せた。
すると前側の触手の大半が、鎖鎌に刈り取られて、スターフィッシュツリーが半分ハゲたような状態になった。
「これで触手の心配はありません!」
美織は背中に担いでいた剣を取り出した。
「てやあああああああああああああ!」
回転しながら左から右に移動する。
刃が光を受けて、スターフィッシュツリーの中心に銀色の光が走った。美織が刀を鞘に収め、パチンと音がした瞬間、スターフィッシュツリーがズッとずれて上半分が落っこちていき、地面に叩きつけられた。
すると配信の画面には、美織がまだ内容を打ち込んでいないにも関わらず、
【確定ドロップアンケート。
1.スターフィッシュツリーの卵巣(ドロップ率0.2%)
2.スターフィッシュツリーの身肉(ドロップ率15%)】
と書かれたアンケートが、配信画面に表示されていたのだった。
:卵巣!?卵生なんか!?
:スターフィッシュツリーは、一見木に触手ついてるように見えるけど、立派な動物。卵と精子が含まれたカプセルを放出して増殖する。卵巣は3大珍味と呼ばれる部分だぞ!
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