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第34話 タマヒュン配信、からの。

「はい、皆さま、こんいお〜!本日はアンケートの結果、スターフィッシュツリー狩り配信を行いたいと思います!本日も素敵なゲストさんがいらっしゃいます!」


「ちょこっとイタズラしちゃうゾ☆?

 獄寺ちょこよ。あ〜も〜、マジでキモイんだけど。見てよ既にこのサブイボ。」

 獄寺ちょこが鳥肌を美織に見せてくる。


:ちょこタンは関西の人間か?

:ありがとうございます

:玉ヒュン配信と聞いて

:触手と美少女が絡む配信にオラワクワクすっぞ!

:狩られるところを想像すると既に痛い


「ちょこさんもスターフィッシュツリー苦手なんですか?あれ近接職にはやり辛い相手ですよね……。私も普段の武器だと倒しにくいので、今日は別の武器も持ってきました。」


 それを聞いたちょこが目を丸くする。

「は?え?武器?苦手って、そういう意味?あたしが言ってるのはそういうことじゃなくて……見た目の話してんのよ?」


「見た目?ちょこさん、ヒトデが苦手なんですか?変わってますね。」

「……マジで言ってる?」

 獄寺ちょこが眉間に皺を寄せる。


:まさか……わかってないのか?

:スターフィッシュツリーを見たことないとか?

:いや、ヒトデだってのはわかってるみたいだ

:ウィキペディア情報しか知らないとか?


 コメント欄もざわつきだす。


「あんた、スターフィッシュツリー、狩ったことないの?」

「いいえ?何度かありますよ?」

 美織がニコニコと答える。


「ねえ……、ひょっとして、ひょっとしてなんだけどさ。あんた彼氏いらないっつってたじゃない?今まで1度もいたことない?」

「はい、そうですね?」


 不思議なことを聞いてくるな?という表情で、美織は首をかしげる。

「……父親と風呂に入ったことある?」


「いいえ?うちのお父さん、探索者だったんですけど、物心ついた時には、常にダンジョンに潜ってて家にいませんでしたし、今はそのまま行方不明になってしまったので。1度もないですね。それがどうかしましたか?」


:まさか、見たことない……だと……

:ガタッ!!

:そんな女の子がこの世に存在すんのか!?

:チ●ポを知ってて嫌がるちょこタンと、チ●ポを知らなくてわかってない、いおりん。どっちも美味しゅうございます。

:見せてあげたい

:↑通報しますた


「なるほどね。嫌がってたぽかったのは、単純に武器との相性の悪さね。確かに刀じゃ、粘液に絡め取られたら、剥がすのムズくて、配信じゃ映えないわ。」


「そうなんです。あんまり見てて盛り上がる配信にはならないと思うんですよね……。」

 美織は人差し指を立てて顎に当てつつ首を傾げた。


「なので!今日はこれを持ってきました!じゃーん!鎖鎌です!これで遠くからバンバン触手を刈り取りたいと思います!粘液を出す触手がなくなれば、後は簡単です!」


:ヒエッ

:刀で幹を攻撃すんのかと思ったら、ダイレクトに触手部分だけを刈り取るだと……?

:スターフィッシュツリー君に同情

:ガチのタマヒュン配信やないか

:誰や美少女と触手が絡む配信っつったの

:全然近寄る気がなくて草

:いや、粘液がつけばワンチャン……


 美織が男性器を見たことがなく、似ていることがわかっていない件については、むしろコメント欄は盛り上がっていたのだが、美織が触手部分だけを刈り取る発言をした後のコメント欄は、絵面の恐ろしさに恐怖するコメントが相次いでいた。


「それでは早速やっていきましょう!」

 美織は鎖鎌をグルグルと回すと、ブン!と放り投げて、スパスパスパッとスターフィッシュツリーの触手を一気に刈り取っていく。


:ウッ……

:いてててててて!!!

:今刈り取られた右上のやつ、俺のに似てる

:俺、右下のやつ……

:やめたげてよぉ!

:スターフィッシュツリー君……(´;ω;`)


 スターフィッシュツリーは、涙を流すかのように、あちこちの触手から、ダラダラと粘液をこぼしていた。

 そしてそれを一気に美織に向けて放った。


「キャッ!!……顔につけられちゃいました。武器じゃなくて良かったです。乾く前に早く取らなくちゃ……。」

 美織は顔を拭いながらそう言った。


:スターフィッシュツリーよくやった!

:イエエエエエエエエエエエエエエエエイ!

:この為の待機

:ねえ、どんな臭い?

:め し が す す む


「ちょっと、早くとらないと、その粘液本体とつながってるじゃない。ひっぱられたらどうすんのよ。ほら、取ってあげるから……。」


 獄寺ちょこが、美織の顔についた粘液を剥がした時だった。それが獄寺ちょこの腕について、そのまま後ろに思い切り引っ張られたかと思うと、ちょこの体がスターフィッシュツリーの触手に絡め取られてしまう。


「きゃあああああああああ!」

「ちょこさん!ああっ!あんなに触手が絡みついて……。どうしましょう、下手に攻撃するとちょこさんまで切ってしまうし……。」


:獄寺ちょこが触手に捕まったぞおおお!

:いけ……そのままいくんや……!

:いおりんも捕まえろ!

:服の中に侵入希望!

:お前はやれる男だと思ってたよ……!


 美織の獄寺ちょこに対する心配をよそに、コメント欄は、疑似男性器型触手✕美少女の絵面に大盛りあがりの様相を呈していた。


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仕事の出来る男、スターフィッシュツリー君


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