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第33話 対策が必要な相手

【配信アンケート。

 1.深淵で麒麟狩り配信。(33.4%)

 2.深層でスターフィッシュツリー狩り配信。(66.6%)

 深層でスターフィッシュツリー狩り配信が選択されました。】


 アンケートの結果が出て、ようやく美織はハッとアンケートが終わったことに気が付いた。そしてその内容を見て……。


「スターフィッシュツリーですか……。わかりました。が……頑張りますね。ちょこさん、ついて来ていただけますか……?」


 スターフィッシュツリーと聞いて嫌そうにしていた獄寺ちょこに、心配そうに眉を下げて確認する美織。


「あれホンット気持ち悪いのよねえ……。

 あ〜も〜!わかったわよ!そんな顔しないの!ついていってあげるから!」


「ちょこさん……。ありがとうございます!一緒に頑張りましょうね!」

 美織はそれを聞いて、安心したように微笑んだ。


:変態紳士のほうが多かった模様

:だって美少女2人に触手だもんよ……w

:しかもカワテブクロの見た目のw

:素直に男性器と言わない変態紳士の鏡

:まあ実際味は気になる

:【朗報】スターフィッシュツリー、攻撃時に白い糸のような粘液を吐く模様

:ファーwwwガチモンでやべえ絵面w

:基本植物だから、それでエサを取る食虫植物のようなものらしい

:雑食性だから人間も食うけどな

:そういう植物か虫が確かにいたな

:あの見た目でさえなければ、やってることは普通なんだが……w

:しかも触手も動いて絡め取ってくるわけだろ?

:育ったら美少女取る触手とか、もはやニッチな層向けのエロゲなんよ

:切り抜きが捗りそう

:全裸待機


 コメント欄は、スターフィッシュツリーの見た目や攻撃方法について大盛りあがりである。なにせその見た目もあって、配信で狩ろうとする女性配信者のいない魔物なのだ。


 ネタ枠として男性配信者に人気の魔物だったりする。もちろん深層の魔物である為当然強い。だがどうしても、やられている絵面が見ていて笑えてきてしまって、今イチ深刻さに欠ける。万が一捕まったとしても、同行している仲間までが笑いだしてしまう始末だ。


 だがそれを若い女性配信者が狩るとなれば話は別だ。今まで美織の配信の配信通知設定をしていなかった層まで、配信通知設定を行い、当日を楽しみにしていた。


 美織は配信終了後、自宅に戻り、早速USHCの公式HPから連絡を入れた。すべて英語で打つのだが、意思疎通解放の能力を使用しても、書くほうには影響を与えない為、翻訳ソフトを使用して、翻訳しなおしておかしくないかを確認しつつ、送信した。


 待ち構えていたのか、早速美織のアドレス当てに返信があった。明後日午前11時に、USHCの日本支社まで来て欲しいとのことだった。明後日は日曜日だ。


 夜遅く帰って来る探索者に合わせて、夜も交代で誰か人のいるギルドと違って、企業が呼び出す日程は基本平日の昼間だ。


 学生の美織としては、企業がやっている平日の昼間に行くことは出来ない。だから土曜か日曜なら、ということで、明日か明後日、という希望だったのだった。


 あちらにとっては休日出勤になってしまうのだろうが、こちらの都合に合わせてくれるということなので、学校を休んでまで行かなくて済んでほっと一安心だ。


 招待メールには、ご丁寧に住所の他にマップ機能を使った地図が添えられていた。それをスマホのメールアドレスに転送し、カレンダー機能にも予定を入れた。


 果たしていくつ必要なのかわからないが、世界的大企業が優先的に譲って欲しいというのだから、さすがに1つ2つということはないだろう。相場でまとめて買ってくれたら、母親に夜勤ありきの仕事をやめてもらえるかも知れない、と密かな望みを抱いた。


 日曜にUSHCに行く為、獄寺ちょことのスターフィッシュツリー狩りは明日行くこととなった。スターフィッシュツリーの出す粘液は、近接職にとってやり辛い攻撃だ。


 攻撃範囲がそこまで広くない為、魔法使いや弓使いなどの、遠距離職向けの魔物とされている。人間のような大型の生き物も捕らえて引きずる力と粘力があるだけあって、刀などに引っ付けられると、剥がし辛いのだ。


 美織にとっては強くはないが、数が集まって粘液を飛ばされると、倒すのには少し厄介な相手ではあった。メインで狩るとなると、普段と違う対策が必要だと感じた。


 美織は庭の倉庫から、父親が使っていた武器の1つを探し出す為、あれでもない、これでもない、と段ボール箱を開けてはどかし、開けてはどかし、を繰り返していた。


「──あった!これだ!うん、これがあればだいじょうぶね!」

 美織はお目当ての武器を手にして、ニッコリと嬉しそうに微笑んだ。


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