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第37話 推定5億円以上の武器

:ソウカソウスレバヨカッタノカー

:そうすればいいと言われても無理なんよ

:いおりんにしか不可能な件について

:ブラッドメタルラビット、自分の足が取れたことわかってなくて草

:首が取れてもわからんかも知れんぞw


 イレギュラー+バーサク状態のブラッドメタルラビットの間抜けな状態に、コメント欄は一瞬なごんでしまう。


「次、いきます!」

 こちらに向き直り、まだ攻撃体制を取って口から水蒸気を吐いているブラッドメタルラビットに、美織は剣を構えた。


 突進してくるブラッドメタルラビット。地面から飛び跳ねると、壁という壁を使って、反射する黒い光のように、ダンジョン内を飛び跳ねつつ、美織に対して距離を詰めた。


 時折体の赤い光が、残像のように空中をゆっくりと横切っている。バーサク状態によりそのスピードは本来の3倍にまで跳ね上がって、とても人間の目で追える速度ではない。


:なんだあの動き、ヤバ!?

:これがイレギュラー+バーサク状態のスピードか!

:まったく動きが見えんぞ!?

:こんなんどうやってしとめんだよ!?

:いおりん、逃げて……!

:このスピードじゃ逃げらんねえだろ!

:じゃあどうすりゃいいんだよ!?


 美織はその動きをじっと目で追った。

 ツイッ……。美織の剣が静かに走る。今度は右の前足が付け根からボロリと取れた。


 右の前足と左の後ろ足がなくなり、立っているのが不思議な状態になっている。やはり取れたことがわかっていないのか、戦う気満々でいたが、地面をカリカリと引っ掻こうとして、コロン、と転げてしまった。


:どんくさwww

:可愛く見えてきたwww

:言ってやるなw

:わかってないのウケるwww


 通常時よりも強いイレギュラー+バーサク状態を心配していたリスナーたちは、すっかり余裕の面持ちでコメントを打っている。

「今のうちにやっちゃいますね!」


 美織は遠慮なく、左の前足と右の後ろ足も切り落としてしまった。すべての手足がなくなり、体を起こすことができなくなってしまったブラッドメタルラビット。ついに困惑してピギィイイィ!?と鳴いた。


:こんな石鹸ありそうwww

:フィギュアあるくらいだし、どっかの企業が商品化するかもしれんぞw

:いおりん、せっかくだから何かドロップを願おう!


「そうですね!ブラッドメタルラビットは何度も倒してますけど、アンケートでドロップを願うのは初ですし!」


 美織が首を落とそうと、ブラッドメタルラビットに近付くと、助けを求めるような眼差しで、キュウ……と鳴いた。メタル状の体なことを除けば、見た目は巨大なウサギだ。


「か、かわいそうかも知れません……。」

 美織も思わずその可愛さにやられて、首を切り落とす手を止め、ブラッドメタルラビットをじっと見つめてしまう。


:媚び打ってて草

:けど手足が全部ない状態で見逃されても、生き延びらんねえだろ

:それな

:確かに。エサも食えなきゃ、敵からも逃げられんわ


「確かにそれもそうですね……。かわいそうですけど、トドメをさします!」

「ピギィイイィッ!?」


 美織は容赦なく、ブラッドメタルラビットの首筋に入った赤い線に剣をはわせた。

 ブラッドメタルラビットの首がゴロリと落ちる。


 すると配信の画面には、美織がまだ内容を打ち込んでいないにも関わらず、


【確定ドロップアンケート。

 1.ブラッドメタルラビットの灼熱の長剣(ドロップ率0.07%)

 2.ブラッドメタルラビットの加速の双剣(ドロップ率0.07%)】


 と書かれたアンケートが、配信画面に表示されていたのだった。


:灼熱の長剣と加速の双剣!?ファ!?

:ブラッドメタルラビットの灼熱の長剣。

 攻撃に火属性を加味し、その硬さから切れないものはないと言われる凄い剣。

 ブラッドメタルラビットの加速の双剣。

 攻撃速度がはねあがり、1度の攻撃で2回確定で攻撃を入れられるスグレモノ。

:どっちも激レアだよ

:王者皇あかりのメイン武器じゃん!

:ちな、購入するとすれば、どちらも5億はくだらない

:5億!?


「へ?ご、5億ですか!?これってそんなにするんですか!?」

 あまりの値段に美織も混乱している。


:さすが深層のレアドロップ武器だな

:おまけにイレギュラー+バーサク状態のやつからドロップしたんだぞ。ヘタすりゃ皇あかりのやつより、性能いい可能性あんだろ

皇あかり:剣呑寺さん、それ売って!双剣!双剣でお願いします!

:本人来た!

:配信見とったw

:軽くて硬いから、1度ブラッドメタルラビットの武器に慣れると、他が使いづらくなるっていうからな

:どうするんだ?自分で使うなら長剣、皇あかりに売るなら双剣を選ぶ必要があるが


「ええ、ど、どうしましょう……。」

 急に2択を迫られて困惑する美織。

「み、皆さんにおまかせします!」

 とリスナーにぶん投げたのだった。


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ついに10回目になったアンケート。

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