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第40話 成長速度は20倍

「まずはノームマーモットの出し方を覚えましょうか!潜られてると面倒ですし!」

 美織がそう言ってミームマーモットに近付くと、サッと地面に潜っていった。


「ええと……そういえば、お名前は?」

「わ、私ですか?蓼科沙保里たてしなさおりです!霊長類最強女子って人と同じ字を書きます!」


:フラグかな?

:新たな霊長類最強女子誕生の悪寒

:何を始めるんだ?

:完全に逃げられてて草


 美織はダンジョンの壁をツーッと撫でた。何かを探しているようにも見える。

「なにやってんの?」

 獄寺ちょこが首を傾げつつ聞いた。


「アースモライの時と同じです。ノームマーモットを出そうと思って。ただちょっと勘だけだと難しいんですよね、ここ。」

「あんた普段勘でやってたの!?」


「あ、ここですね。ちょっと皆さん耳を塞いでいたほうがいいですよ?」

 美織はそう言うと、剣先で壁の一部をグリグリとほじくり始めた。


 するともぐらたたきのようにボコッと盛り上がった土の中から、ノームマーモットがピョンピョンと飛び出てきたかと思うと、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!と悲鳴を上げる。


:土の中で踊らされてて草

:無理やり出させられとるw

:飛び出ては悲鳴を上げ、土の中に戻ったかと思えばまた無理やり出されw

:音量最小にせんと耳が死ぬ!

:対処済み、おk


 そして最終的に、大合唱になったノームマーモットは、自分たちの悲鳴と、無理やり土の中から出させられたショックで、ピクピクと地面の上で震えていた。


「ノームマーモットはこうすると、とても狩りやすいですよ!うふふっ。」

 嬉しそうに微笑む美織。えいっ!とノームマーモットの首を刀で切り落とす。


 すると、アンケートの妖精が、

【ドロップ可能なアイテム一覧をお知らせします。

 ・ランダムスキルスクロール(0.1%)

 ・ノームマーモットの毛皮(30%)

 ・ノームマーモットの牙(30%)

 ・ノームマーモットの堅牙(12.5%)

 ・ノームマーモットの骨(23.7%)

 ・ノームマーモットの声帯(3.7%)】

 とさえずった。


:スキルスクロール!?

:あの、ごく稀に新たなスキルを手に入れる手段だっていう、あの!?

:ミームマーモットそんなもん出すのか!?


「ランダムスキルスクロールですか?何がつくかわからないっていうやつですよね。別にいらないかな……。」


「何言ってんのよ!すごくいいものがつく可能性だってあんでしょ!アンケートなんて変なユニークスキルしかないんだから、もらっておいたほうが得じゃない!」


「ドロップ以外は正直そこまで困ってませんし……。あ、そうだ!私よりも、沙保里さんにどうでしょうか!いいアイデアです!それじゃあ1体だけ残して、沙保里さん、早速倒してみましょうか!」


 美織がパチンと手を叩き、

「え?わ、私ですか?……ほんとにやるんですか?」

 沙保里は困惑した表情を浮かべる。


「強くなりたいんでしょう?」

「そ……そうですね、頑張ります!」

 そう言って、グッと拳を構えた。


「武器は使わないの?あんた。」

「私、拳闘士なので!」

「あーね。」


:素手ゴロか

:女の子にしちゃなかなかの選択

:強くなりたくば喰らえッ!!


 沙保里はピクピクしているノームマーモットに、頭上から拳を打ち付ける。何度も何度も打ち付ける姿に、美織の配信を見慣れたリスナーたちは、のんびりしてるなと感じた。


:こんなに時間がかかるもんけ?

:中学生で中層の魔物相手にすりゃ、こんなもんよ

:いおりんの配信に慣れすぎたんだよな


「──やりました!ドロップが毛皮と牙だったので、毛皮にしました!」

 と、毛皮を手に微笑む姿は、さながら血まみれの天使のようだった。


:絵面がひどいw

:かわいいのに……w

:返り血も浴びずに戦えるいおりんが凄いだけだって、頭じゃわかってるんだけどなw


「じゃあ、どんどん狩っていきましょう!」

「はい!」

 そうは言いつつも、続けるうちにどんどん倒すスピードが上がってくる沙保里。


:早くなってねえか?

:そりゃ、はじめたての中学生が、中層の魔物をあんだけ倒したら、そらそうよ

:ガンガンレベリング出来とる


「それを全部倒したら、下層にも降りてみましょうね!いけるだけのレベルになってると思います。……今、レベル50ってとこですね。ぜんぶ倒したら70はいくかな?」


:そんなに上がったのか!?

:普通パーティーで狩るところを、独り占めしてるからだな

:中学生なら普通は大人入れて20人くらいのパーティーで挑むからな

:つまり20倍の速度で成長してんのか

:毎日行くわけじゃないし、下手したらそれ以上

:なにげに隠れて倒しにくい上に、戦うと攻撃力ある魔物だから、経験値持ってることは持ってるのよな、ミームマーモットさん

:上層で1年かけて上がるレベルをwww

:てか、今見ただけでレベル判定した?


「はい、見たら普通わかりますよね?」

「わからないわよ!ダンジョン協会の測定機が必要よ、レベル判定には!」

 美織の言葉にちょこが突っ込む。


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