「まずはノームマーモットの出し方を覚えましょうか!潜られてると面倒ですし!」
美織がそう言ってミームマーモットに近付くと、サッと地面に潜っていった。
「ええと……そういえば、お名前は?」
「わ、私ですか?
:フラグかな?
:新たな霊長類最強女子誕生の悪寒
:何を始めるんだ?
:完全に逃げられてて草
美織はダンジョンの壁をツーッと撫でた。何かを探しているようにも見える。
「なにやってんの?」
獄寺ちょこが首を傾げつつ聞いた。
「アースモライの時と同じです。ノームマーモットを出そうと思って。ただちょっと勘だけだと難しいんですよね、ここ。」
「あんた普段勘でやってたの!?」
「あ、ここですね。ちょっと皆さん耳を塞いでいたほうがいいですよ?」
美織はそう言うと、剣先で壁の一部をグリグリとほじくり始めた。
するともぐらたたきのようにボコッと盛り上がった土の中から、ノームマーモットがピョンピョンと飛び出てきたかと思うと、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!と悲鳴を上げる。
:土の中で踊らされてて草
:無理やり出させられとるw
:飛び出ては悲鳴を上げ、土の中に戻ったかと思えばまた無理やり出されw
:音量最小にせんと耳が死ぬ!
:対処済み、おk
そして最終的に、大合唱になったノームマーモットは、自分たちの悲鳴と、無理やり土の中から出させられたショックで、ピクピクと地面の上で震えていた。
「ノームマーモットはこうすると、とても狩りやすいですよ!うふふっ。」
嬉しそうに微笑む美織。えいっ!とノームマーモットの首を刀で切り落とす。
すると、アンケートの妖精が、
【ドロップ可能なアイテム一覧をお知らせします。
・ランダムスキルスクロール(0.1%)
・ノームマーモットの毛皮(30%)
・ノームマーモットの牙(30%)
・ノームマーモットの堅牙(12.5%)
・ノームマーモットの骨(23.7%)
・ノームマーモットの声帯(3.7%)】
とさえずった。
:スキルスクロール!?
:あの、ごく稀に新たなスキルを手に入れる手段だっていう、あの!?
:ミームマーモットそんなもん出すのか!?
「ランダムスキルスクロールですか?何がつくかわからないっていうやつですよね。別にいらないかな……。」
「何言ってんのよ!すごくいいものがつく可能性だってあんでしょ!アンケートなんて変なユニークスキルしかないんだから、もらっておいたほうが得じゃない!」
「ドロップ以外は正直そこまで困ってませんし……。あ、そうだ!私よりも、沙保里さんにどうでしょうか!いいアイデアです!それじゃあ1体だけ残して、沙保里さん、早速倒してみましょうか!」
美織がパチンと手を叩き、
「え?わ、私ですか?……ほんとにやるんですか?」
沙保里は困惑した表情を浮かべる。
「強くなりたいんでしょう?」
「そ……そうですね、頑張ります!」
そう言って、グッと拳を構えた。
「武器は使わないの?あんた。」
「私、拳闘士なので!」
「あーね。」
:素手ゴロか
:女の子にしちゃなかなかの選択
:強くなりたくば喰らえッ!!
沙保里はピクピクしているノームマーモットに、頭上から拳を打ち付ける。何度も何度も打ち付ける姿に、美織の配信を見慣れたリスナーたちは、のんびりしてるなと感じた。
:こんなに時間がかかるもんけ?
:中学生で中層の魔物相手にすりゃ、こんなもんよ
:いおりんの配信に慣れすぎたんだよな
「──やりました!ドロップが毛皮と牙だったので、毛皮にしました!」
と、毛皮を手に微笑む姿は、さながら血まみれの天使のようだった。
:絵面がひどいw
:かわいいのに……w
:返り血も浴びずに戦えるいおりんが凄いだけだって、頭じゃわかってるんだけどなw
「じゃあ、どんどん狩っていきましょう!」
「はい!」
そうは言いつつも、続けるうちにどんどん倒すスピードが上がってくる沙保里。
:早くなってねえか?
:そりゃ、はじめたての中学生が、中層の魔物をあんだけ倒したら、そらそうよ
:ガンガンレベリング出来とる
「それを全部倒したら、下層にも降りてみましょうね!いけるだけのレベルになってると思います。……今、レベル50ってとこですね。ぜんぶ倒したら70はいくかな?」
:そんなに上がったのか!?
:普通パーティーで狩るところを、独り占めしてるからだな
:中学生なら普通は大人入れて20人くらいのパーティーで挑むからな
:つまり20倍の速度で成長してんのか
:毎日行くわけじゃないし、下手したらそれ以上
:なにげに隠れて倒しにくい上に、戦うと攻撃力ある魔物だから、経験値持ってることは持ってるのよな、ミームマーモットさん
:上層で1年かけて上がるレベルをwww
:てか、今見ただけでレベル判定した?
「はい、見たら普通わかりますよね?」
「わからないわよ!ダンジョン協会の測定機が必要よ、レベル判定には!」
美織の言葉にちょこが突っ込む。
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