目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第42話 夢かわ()フロアボスマラソン

「早くこの美味しさがわかるようになるといいですね!んん〜!このポン酢まろやかで美味しいです!やっぱりポン酢はシーズニングバードの血に限りますね!」


「が、がんばりまひゅう……。」

 ひと口食べては倒れて水を飲み、ふた口食べては倒れて水を飲み、をしていた沙保里だったが、


「あれ?だんだん美味しいだけになってきました。お水飲まなくても平気かも……?」

「耐性がついたんですね!おめでとうございます!どんどん食べましょう!」


「はい!うう〜……!美味しいれふ!しびれ菜がシャクシャクしていい感じです!ダンジョン食材って、こんなに美味しいものなんだ……。今まで知りませんでした。」


「ダンジョンは、ドロップ出来なくても、食べられるものはたくさんありますからね!」

「確かにそもそも食材の宝庫よね。魔物のドロップ品狙わなくとも。」


:そうか……体液や血はドロップ関係ないもんな

:攻撃すれば出るもんやしな

:苦労したんやな、いおりん……

:そういえば、チャンネル登録者数100万人おめでとう


「え!?そ、そんなにいってたんですか!?来てくださるのが嬉しすぎて、登録者数までは見てませんでした……。」


:常時同接15万人の時点で遅いくらいなのよ

:収益化申請はしたんか?

:それな


「あ、はい!それはお陰様で結果待ちです!ありがとうございます。」


:高校生でもドロップ品売れるようになったのに、いおりんだけはドロップ品がないせいで、収益がなかったからな……

:でも今はもう5億の剣があるだろ

:現金を前にした反応が楽しみ

:早くスパチャで殴りたい


「ふ、不穏なことを言わないでくださいね?お気持ち程度で結構ですから!」

 スパチャする気まんまんのリスナーたちに、思わず焦る美織。


:おk

:フラグなのよ

:全力でわからせたるから待っとれ

:リスナーがアップを始めました


 スパチャ解禁に向けて、お布施する気満々のリスナーたちであった。


「さ、さて、お腹も膨れたことですし!フロアボス周回にいきますか!リポップが早くて、打撃耐性もありますから、沙保里ちゃんのレベル上げにはちょうどいいですね!」


 美織が椅子から立ち上がると、ニッコニコでそう告げた。

「へ……?」

 思わずポカンとする沙保里。


:待て、月島ダンジョンだよな、下層のフロアボスって、リポップバルーンか!?

:倒しても倒しても、即わきするから、撤退時に1人は死ぬと言われる、リポップバルーン!?

:剣のいおりんとの相性は最高だけど、打撃耐性あるから、沙保里ちゃんとは相性最悪だろ?


「だからこそですよ!耐性持ちは、倒すと経験値1.5倍は入りますからね!それに、毒耐性をつけるのと同じで、耐性持ちを倒すと耐性打破が手に入るので一石二鳥です!」


「え!?ウソでしょ!?初めて聞いたんだけど!?それってあたしでもなるの!?」

 獄寺ちょこが驚愕して尋ねる。


「いえ自分の攻撃に対する耐性だけですね。ちょこさんも打撃で倒せば、経験値1.5倍に加えて、耐性打破が手に入りますよ?」


:なるほど、相手の耐性による攻撃で打破することで、通常よりも経験値の恩恵を受けるのか

:耐性打破がつくつのは確かにお得

:だからと言って倒しにくいこといは変わらんだろ

:どっちが得なんだろうな、倒しやすいのを周回するのと、倒しにくいのを周回するのと

:そら圧倒的前者よ


「皆さんわかってないですねえ。倒しにくいのは最初だけ。どんどんレベルが上がるんですから、相手よりも強くなるんですよ?そうすれば、あとは経験値を吸うのみです!」


:なるほど、そう言われれば……?

:だからって、普通はフロアボスマラソンはせんのよ

:おまけにリポップバルーンだぞ?休む暇なく次がくる

:地獄過ぎんか

:さっきまで初心者なのよ


 コメント欄はひたすら困惑していた。

「わ、私やります……そしてあの人たちを見返してやります……!」

 沙保里は決意を固めた目で拳を握った。


「その意気です!私も最初は手伝いますから、一緒に頑張りましょうね!──それではレベル200になるまで帰れま10、いってみましょう!」


 そう言って微笑む美織と沙保里は、フロアボスのいる部屋の扉を開けた。


:待て、今なんつった?

:レベル200!?

:1日で上げる気か!?


 コメント欄は一気に混乱をきたした。リポップバルーンは可愛らしい風船型の魔物で、絵面だけであれば昔は、映える、夢かわいい、などと言われ、ポップな空間が配信したいダンジョンナンバーワンとされた魔物だ。


「沙保里ちゃん!一撃入れて下さいね!」

「は、はい!」

 フワフワと漂うリポップバルーンに沙保里が一撃を入れた直後、美織が一撃で倒した。すぐに次がわくと思われたが、


:あれ……わかない?

:まさか倒すのが早すぎて、わくのが間に合わないのか?

:【悲報】リポップバルーンさん、リポップ速度よりも早く倒される


「これで経験値が吸えましたね!それじゃあわくのを待つ間に、ノームマーモットを倒してアンケートを出しましょうか!」


 そう言って、マカ●ンでも開けるかのように、手にしていたノームマーモットに美織はトドメをさした。


 すると配信の画面には、美織がまだ内容を打ち込んでいないにも関わらず、


【確定ドロップアンケート。

 1.ランダムスキルスクロール(0.1%)

 2.ノームマーモットの声帯(3.7%)】


 と書かれたアンケートが、配信画面に表示されていたのだった。


────────────────────


この作品は読者参加型です。

アンケート回答よろしくお願いします!


少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。

ランキングには反映しませんが、作者のモチベーションが上がります。



この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?