「早くこの美味しさがわかるようになるといいですね!んん〜!このポン酢まろやかで美味しいです!やっぱりポン酢はシーズニングバードの血に限りますね!」
「が、がんばりまひゅう……。」
ひと口食べては倒れて水を飲み、ふた口食べては倒れて水を飲み、をしていた沙保里だったが、
「あれ?だんだん美味しいだけになってきました。お水飲まなくても平気かも……?」
「耐性がついたんですね!おめでとうございます!どんどん食べましょう!」
「はい!うう〜……!美味しいれふ!しびれ菜がシャクシャクしていい感じです!ダンジョン食材って、こんなに美味しいものなんだ……。今まで知りませんでした。」
「ダンジョンは、ドロップ出来なくても、食べられるものはたくさんありますからね!」
「確かにそもそも食材の宝庫よね。魔物のドロップ品狙わなくとも。」
:そうか……体液や血はドロップ関係ないもんな
:攻撃すれば出るもんやしな
:苦労したんやな、いおりん……
:そういえば、チャンネル登録者数100万人おめでとう
「え!?そ、そんなにいってたんですか!?来てくださるのが嬉しすぎて、登録者数までは見てませんでした……。」
:常時同接15万人の時点で遅いくらいなのよ
:収益化申請はしたんか?
:それな
「あ、はい!それはお陰様で結果待ちです!ありがとうございます。」
:高校生でもドロップ品売れるようになったのに、いおりんだけはドロップ品がないせいで、収益がなかったからな……
:でも今はもう5億の剣があるだろ
:現金を前にした反応が楽しみ
:早くスパチャで殴りたい
「ふ、不穏なことを言わないでくださいね?お気持ち程度で結構ですから!」
スパチャする気まんまんのリスナーたちに、思わず焦る美織。
:おk
:フラグなのよ
:全力でわからせたるから待っとれ
:リスナーがアップを始めました
スパチャ解禁に向けて、お布施する気満々のリスナーたちであった。
「さ、さて、お腹も膨れたことですし!フロアボス周回にいきますか!リポップが早くて、打撃耐性もありますから、沙保里ちゃんのレベル上げにはちょうどいいですね!」
美織が椅子から立ち上がると、ニッコニコでそう告げた。
「へ……?」
思わずポカンとする沙保里。
:待て、月島ダンジョンだよな、下層のフロアボスって、リポップバルーンか!?
:倒しても倒しても、即わきするから、撤退時に1人は死ぬと言われる、リポップバルーン!?
:剣のいおりんとの相性は最高だけど、打撃耐性あるから、沙保里ちゃんとは相性最悪だろ?
「だからこそですよ!耐性持ちは、倒すと経験値1.5倍は入りますからね!それに、毒耐性をつけるのと同じで、耐性持ちを倒すと耐性打破が手に入るので一石二鳥です!」
「え!?ウソでしょ!?初めて聞いたんだけど!?それってあたしでもなるの!?」
獄寺ちょこが驚愕して尋ねる。
「いえ自分の攻撃に対する耐性だけですね。ちょこさんも打撃で倒せば、経験値1.5倍に加えて、耐性打破が手に入りますよ?」
:なるほど、相手の耐性による攻撃で打破することで、通常よりも経験値の恩恵を受けるのか
:耐性打破がつくつのは確かにお得
:だからと言って倒しにくいこといは変わらんだろ
:どっちが得なんだろうな、倒しやすいのを周回するのと、倒しにくいのを周回するのと
:そら圧倒的前者よ
「皆さんわかってないですねえ。倒しにくいのは最初だけ。どんどんレベルが上がるんですから、相手よりも強くなるんですよ?そうすれば、あとは経験値を吸うのみです!」
:なるほど、そう言われれば……?
:だからって、普通はフロアボスマラソンはせんのよ
:おまけにリポップバルーンだぞ?休む暇なく次がくる
:地獄過ぎんか
:さっきまで初心者なのよ
コメント欄はひたすら困惑していた。
「わ、私やります……そしてあの人たちを見返してやります……!」
沙保里は決意を固めた目で拳を握った。
「その意気です!私も最初は手伝いますから、一緒に頑張りましょうね!──それではレベル200になるまで帰れま10、いってみましょう!」
そう言って微笑む美織と沙保里は、フロアボスのいる部屋の扉を開けた。
:待て、今なんつった?
:レベル200!?
:1日で上げる気か!?
コメント欄は一気に混乱をきたした。リポップバルーンは可愛らしい風船型の魔物で、絵面だけであれば昔は、映える、夢かわいい、などと言われ、ポップな空間が配信したいダンジョンナンバーワンとされた魔物だ。
「沙保里ちゃん!一撃入れて下さいね!」
「は、はい!」
フワフワと漂うリポップバルーンに沙保里が一撃を入れた直後、美織が一撃で倒した。すぐに次がわくと思われたが、
:あれ……わかない?
:まさか倒すのが早すぎて、わくのが間に合わないのか?
:【悲報】リポップバルーンさん、リポップ速度よりも早く倒される
「これで経験値が吸えましたね!それじゃあわくのを待つ間に、ノームマーモットを倒してアンケートを出しましょうか!」
そう言って、マカ●ンでも開けるかのように、手にしていたノームマーモットに美織はトドメをさした。
すると配信の画面には、美織がまだ内容を打ち込んでいないにも関わらず、
【確定ドロップアンケート。
1.ランダムスキルスクロール(0.1%)
2.ノームマーモットの声帯(3.7%)】
と書かれたアンケートが、配信画面に表示されていたのだった。
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