次の日、美織は獄寺ちょことともに、木更津ダンジョンの深層に来ていた。
一面緑に覆われたそのエリアには、たくさんの植物がはえている。
その一角にマンドラゴラの生息エリアはあった。マンドラゴラは抜く際の悲鳴で人がよくて気絶、または死ぬとされ、そのものの攻撃力は低いが、採取が大変な植物の魔物だ。
魔物の為、当然倒さなくては可食部がドロップしない。おまけに地面から出ている部分が似たような葉っぱの植物と一緒にはえている為、抜いてみて実は目的のマンドラゴラではない、という徒労を味わわされる、力押しの探索者からすると、地味に面倒な魔物だ。
「うわあぁ、すっごいわね……。」
そんなマンドラゴラが隠れている、畑のように植物が並んだ場所の前で、獄寺ちょこが面倒くさそうにそう声を漏らした。
「この中から探すのよね?マンドラゴラ。めんどくさぁ……。」
ひとつひとつ抜いていくことを考えて、既に嫌になっているようだった。
「いいえ?そうでもないですよ。めくっちゃえば簡単ですから。」
と事も無げに美織が言う。
「──めくっちゃう?」
獄寺ちょこは不思議そうに首を傾げた。
「はい、ここの土って、硬いので。めくれるポイントがあるんですよね。」
そう言うと、美織は木々の間に囲まれて、並んではえている植物の列の端っこを、手でなにやら探っている。
「あ、ここですね。」
そう言うと、突然土を持って、えいっとそれを持ち上げた。そして立ち上がり、まるで布団を引っ剥がすかのように、土を一気にめくっていく美織。
すると土にうまっていた部分が丸見えになり、マンドラゴラに葉っぱの部分だけが似た植物と、目を閉じた状態のマンドラゴラたちの姿が、半分丸見えになった。
「うえええっ!?」
「あとはマンドラゴラだけを攻撃すればいいだけですね!」
驚く獄寺ちょこを尻目に、美織はニコニコとそう説明した。
:待って、どういうことだってばよ
:ごっそり土がめくれたwww
:マンドラゴラさん丸見え
:恥ずかちい////////
:なるほど、こうすればヨカッタノカー
「じゃあちょこさん、新しい爆弾で一気にマンドラゴラを抜かずに倒しましょう!」
「オッケー。」
獄寺ちょこはそう言うと、
「ちょっと離れててちょうだい。」
と美織に言い、近くの木を駆け上がるように登って、木の枝から飛び出し、空中にボール爆弾を放り投げた。
中に約300個の小鉄球を埋め込んだ子爆弾を、約600個詰めた爆弾で、空中で破裂し子爆弾を撒き散らす。
子爆弾は着地することで爆発して、鉄球や矢型のかけらを撒き散らすという爆弾だ。
今まで素材で作成することが出来なかったタイプの爆弾だが、このたびスキルを使って作ることが可能になった物のひとつだ。
:アメリカがベトナム戦争用に開発したやつやんけ!
:なお、射程範囲は約1キロ。対戦車および対人用。
:おお、さすがにマンドラゴラは形は保ってるな、死んでるみたいだけど。
:疑似マンドラゴラ植物だけ、キレーに潰されとるwww
:確かにこれは楽だな
:ひとつひとつ抜かなくていいもんな
しばらくすると、ボール爆弾で倒されたマンドラゴラが、素材をドロップして消えた。
「さ!回収しましょう、ちょこさん!」
「おっけー。」
美織と獄寺ちょこは、ドロップしたマンドラゴラの素材を回収し、マジックバッグにつめていく。そうしてあっという間にマンドラゴラ集めは終わったのだった。
「それではアンカ鍋パーティー会場に移動しますね!本日はゲストさんがいらっしゃいますので、皆さまお楽しみに!」
いったん配信が終了し、美織と獄寺ちょこは、目的の場所へと移動し、改めて配信を開始した。
「みなさま、改めまして、こんいお〜!今日はギルド閃光の剣さんとのコラボ配信です!豪華ですねえ!」
とニコニコしている。
「アンカ闇鍋ということで……ドキドキしてます。ルカルカです!よろしくお願いします!」
「あたしミリーさん。今あなたの後ろにいるの。瀬戸内ミリーです……。」
「高いところから失礼!キラッと参上!満天星きらりだよ!」
「はじめまして、結婚してください!アーリー・ダブクロスです!」
「貧乳じゃないから!鳩胸だから!鳩胸みかりでっす!」
「いちかばちか、のるかそるかの大勝負!灰崎イチカで〜す!」
「もっともっと、お勉強させてください!似鳥ゆえです!」
ダンチューバー組とダンVtuber組がいる閃光の剣所属の探索者たちが、こぞって挨拶をするさまは、非常にカオスであった。
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