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第84話 叔父と愛人の末路①

【確定ドロップアンケート。

 1.代替の生贄(86.7%)

 2.破滅のガントレット(13.3%)

 代替の生贄が選択されました。】


 と表示されるとともに、黒い卵のような球体に、全白眼の人の顔のようなものがついている、気持ちの悪い物がドロップした。


:ベ◯リットやんwww

:キッショwww

:なんだそれw

:代替の生贄は、触媒に使うもの。呪術師とか、錬金術師とか、何かを作る際に、その代わり出来るもの、だな。

:へ〜、いおりんには使えないな

:黄金魚から金塊を作るのに使えるってことか?

:それにも使える。本来代替品にはレベルがあって、素材のランクにあった代替品しか使えないんだけど、代替の生贄はランク無視出来る代物。それこそ何でも代わりに出来る。


 美上翼は代替の生贄をジッと見つめた。

「あの……、それ、ちょっと手に持ってみてもいいですか?」

「どうぞ?」


 美織から代替の生贄を受け取り、スキルを発動させてみる。


 <状態交換>を発動させます。

 下記のいずれかを捧げて下さい。

 ▽寿命

  代替の生贄


 と表示された。

「使える……!」

 美上翼は代替の生贄を見つめて、驚愕したような表情を浮かべた。


「それ、美上さんなら使えるんですか?よろしければ差し上げましょうか?」

「ほんとうですか!?お金なら払います!ぜひ俺に譲って下さい!」


「別にお金はいいですよ?」

「そういうわけにはいきません!ちゃんとギルドを通じて買い取りますので!」


「そうですか?そこまでおっしゃるのなら……。」

「ありがとうございます、助かります!」


 これで寿命を減らさなくとも、スキルを発動させられる条件は揃った。だがまだ誰に移すのかという問題がある。美上翼は叔母に話してみようと思っていた。


 配信終了後、美織たちと別れる間も惜しんでスマホを取り出すと、叔母に連絡しようとして、真からのトークアプリからの通知に気がついた。


「なんだろ?」

 添付されている動画を何の気なしに開いてみて、美上翼は驚愕した。


「なんだ……、叔母さんに話さなくてもいいじゃないか。はは。ちょうどピッタリの相手がいるなんてね……。」

 美上翼はスマホを強く握りしめてそう言った。


 そんな美上翼を、美織が後ろから覗き込んでいた。

「──うわっ!?」

 そのことに気がついて、思わずのけぞる美上翼。


「ごめんなさい、それ、見ちゃいました。」

 そう言って、動画を指差す美織。

「それってひょっとして、この間おっしゃっていた、病気の従兄弟さんからですか?」


「はい、そうですね……。こんな目にあってたなんて、知りませんでした……。ここに映ってる男性、従兄弟の父親なんです。一緒にいる女の人は、たぶん、愛人かな……。」


「その子の実のお父さんが、こんな恐ろしいことを?」

 美織は眉を潜めた。


「正直、これを見なければ、言われても信じなかったと思います。普段は従兄弟の病気の為に、頑張ってお金を稼いでくれてるって、叔母から聞いてましたし……。」


「どうするんですか?」

「とりあえず、叔母に報告します。夫婦の問題に、俺は口出し出来ないので……。」


「そうですね、それがいいですね。」

 美織はうんうんとうなずいた。美織たちと解散し、美上翼はさっそく叔母を呼び出し、次の日喫茶店で会うことにした。


 叔母は、怒りのあまりに取り乱すかと思ったが、叔父が目の前にいないからか、悔しさのあまりボロボロと涙を流すにとどまった。


「……離婚、するわ。あの人と。教えてくれてありがとね、翼くん。」

「お母さんに言わないで、って真からは言われたけど、黙ってられなくて……。」


「いいのよ、翼くんにも気を使わせちゃったわね。あとは大人同士の問題だから、気にしないでちょうだい。」


「せめて、探偵を頼むお金を出させてよ。俺も真の為に何かしたいんだ。真の治療費で、大変でしょう?ギルドを通じて頼めば、安くいい人が見つかると思う。」


「そこまでは……。」

 叔母は一瞬そう言ったが、

「ううん、正直言うと辛いの。よろしくお願いします。」


 そう言って頭を下げた。美上翼はさっそくギルド女神の息吹を通じて、叔父の素行調査を依頼した。彼らがあまりにも堂々としていたことで、証拠はすぐに集まった。


 愛人は叔父の職場の部下だった。叔母は証拠を突きつけて叔父に離婚を迫った。愛人に使い込んでいた共有財産と、養育費の先払いで自宅の権利はすべて叔母のものとなった。


 そのうえで慰謝料まで請求された為、叔父は借金をして慰謝料を支払うこととなった。

 無一文で家を追い出された叔父は、愛人の家に転がり込んだ。


 美上翼は叔父の愛人のマンションの前に立って、マンションを見上げていた。手にはギルド女神の翼を通じて調査を依頼した、探偵の報告書の、叔母に渡した物のコピーを握っていた。


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