【配信アンケート。
1.獄寺ちょこにドッキリ配信。(83.3%)
2.安価で出た配信者とコラボ配信。(16.7%)】
獄寺ちょこにドッキリ配信が選択されました。】
「ちょこさんにドッキリ?面白そうです!なにやるんですか?いおりさん。」
沙保里がキラキラと目を輝かせる。
「ドッキリ……ですか……。今まで考えたこともなかったです。う〜ん……。ちょっと考えますね。」
美織は顎に手を当てて思案した。
獄寺ちょこは、今日は珍しく美織以外のダンVtuberとのコラボを予定していた。
今まで迷惑系として、当然相手からのコラボの打診などなかった為、申込みが来た際は当然驚いた。
美織と日頃コラボをしている様子を見て、もはや迷惑系のイメージは払拭されたのだろうと、嬉しそうに話す美織に、ちょっぴりくすぐったい気持ちになりながら、待ち合わせ場所の配信者事務所へと向かった。
受付で待ち合わせ相手の名前を告げ、自分の名前を伝えると、受付嬢が部屋に通してくれ、お茶を置いて去っていった。
こうして1人で知らない相手とコラボをするのは初めてのことだ。緊張しながら相手の到着を待っていた。すると。
「おっ。いたな。やあ、はじめましてだ。リリーシェ・ベルマインだよ。コラボを引き受けてくれてありがとうな!」
そう名乗った、細身の体に、クセのある黒髪ショートカットのボーイッシュな美人に、獄寺ちょこは「!!!?」となった。
聞き覚えのある声。だがここにいる筈のない人物。これはいったい……。
するとそこに、
「ドッキリ、大〜成〜功!!」
と、スマホを構えながら美織が現れた。
「おい、あの子かたまっちゃってるぞ?ほんとに私が憧れの相手で合ってるのか?」
と、困惑したように美織を振り返るリリーシェ・ベルマイン、らしき人物。
「こ、こ、これはいったい……。」
「コラボ相手が憧れのリリーシェ・ベルマインさまだったら、ちょこさんはどうなるのか?検証してみた!ドッキリです!」
「ド……ドッキリ?じゃ、じゃあ、今日のコラボ相手って……。」
「はい、リリーシェ・ベルマインさんと、ちょこさんの、2人っきりのコラボですね!」
と美織が微笑んだ。リリーシェ・ベルマインは、魔族出身の海賊、がコンセプトの、右目に眼帯、左側だけにコウモリのような羽を付けた、黒髪色黒、赤い海賊服を身に着けた姿が特徴のダンVtuberだ。
闇魔法を使い、ユニークスキル、<反転術式>を使って、5分以内に話したことを嘘に出来る、というていの(実際にはそういう制限はない)、厨二病心をくすぐるキャラクターであり、獄寺ちょこの憧れの人でもある。
「ちょこさん、リリーシェ・ベルマインさん御本人ですよ?コラボを前に、何かいいたいことはないんですか?」
「コ、コラボ!?私がほんとに、リリーシェさんと、コラボ!?」
「ああ、そうだぜ!よろしく頼むな!」
とニッコリ微笑まれる。
「……ピュウ。」
変な異音を発しながら、獄寺ちょこが座っていたソファーに倒れ込んで気絶した。
「ちょ、ちょこさん!?だいじょうぶですか!?」
「おい、しっかりしろ!」
慌てて獄寺ちょこに駆け寄る、リリーシェ・ベルマインと美織。
しっかり5分気絶して、気が付いた時には、リリーシェ・ベルマインの膝の上に頭を乗せられ、介抱されていた獄寺ちょこ。
「えっ?えっ?ふえっ?」
「ああ、急に動かないほうがいい。体調はだいじょうぶか?」
そう言って、獄寺ちょこを心配そうに見つめながら、リリーシェ・ベルマインが頭をそっと撫でてくれる。
この光景は、美織のカメラでしっかりダンVtuberのガワの姿に変換され、配信に流されていた。
:ちょこタン、メスの顔
:さすがコラボした女子をことごとく百合に落とすと噂のリリーシェ・ベルマインネキ。
:獄寺ちょこ、ちょっとそこかわれ
:ネキの囲いが荒ぶっとるwww
:初手気絶とかwww
:こういうの経験ないんだろうなあw
ようやく落ち着いた獄寺ちょこに、
「さて、今日のコラボ内容は聞いてくれているだろうか?」
「え?ダンジョンに行くんじゃ……。」
「──いいや?君とデートだよ!」
「へ?」
呆然としている間に、スタッフが現れて、獄寺ちょこを正装させる。
「へ?」
そして呆然とした顔のまま、グランドピアノの流れる高層階の高級レストランへと、連れてこられたのだった。
この間美織はずっとカメラを担当しており、目線で救いを求める獄寺ちょこに、頑張ってください、ちょこさん!とばかりに、ぐっと親指を立てていい笑顔を向けていた。
「どう?美味しい?」
そう言って微笑むリリーシェ・ベルマインに、味なんてわかるわけないでしょ!と内心叫ぶ獄寺ちょこ。
「ついてる。」
そう言って、指の背で唇の端を拭ってくるリリーシェ・ベルマイン。指についたソースをそのままペロリとなめる姿は、非常に色っぽいものだった。
ドキドキさせられながらも、ひいいいい!私なにさせられてるの!助けてええええ!と、声にならない悲鳴を、豪華で味のしない食事と共に、飲み込む獄寺ちょこだった。
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