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第88話 何させられてるの!?

【配信アンケート。

 1.獄寺ちょこにドッキリ配信。(83.3%)

 2.安価で出た配信者とコラボ配信。(16.7%)】

 獄寺ちょこにドッキリ配信が選択されました。】


「ちょこさんにドッキリ?面白そうです!なにやるんですか?いおりさん。」

 沙保里がキラキラと目を輝かせる。


「ドッキリ……ですか……。今まで考えたこともなかったです。う〜ん……。ちょっと考えますね。」

 美織は顎に手を当てて思案した。


 獄寺ちょこは、今日は珍しく美織以外のダンVtuberとのコラボを予定していた。

 今まで迷惑系として、当然相手からのコラボの打診などなかった為、申込みが来た際は当然驚いた。


 美織と日頃コラボをしている様子を見て、もはや迷惑系のイメージは払拭されたのだろうと、嬉しそうに話す美織に、ちょっぴりくすぐったい気持ちになりながら、待ち合わせ場所の配信者事務所へと向かった。


 受付で待ち合わせ相手の名前を告げ、自分の名前を伝えると、受付嬢が部屋に通してくれ、お茶を置いて去っていった。


 こうして1人で知らない相手とコラボをするのは初めてのことだ。緊張しながら相手の到着を待っていた。すると。


「おっ。いたな。やあ、はじめましてだ。リリーシェ・ベルマインだよ。コラボを引き受けてくれてありがとうな!」


 そう名乗った、細身の体に、クセのある黒髪ショートカットのボーイッシュな美人に、獄寺ちょこは「!!!?」となった。


 聞き覚えのある声。だがここにいる筈のない人物。これはいったい……。

 するとそこに、


「ドッキリ、大〜成〜功!!」

 と、スマホを構えながら美織が現れた。

「おい、あの子かたまっちゃってるぞ?ほんとに私が憧れの相手で合ってるのか?」


 と、困惑したように美織を振り返るリリーシェ・ベルマイン、らしき人物。

「こ、こ、これはいったい……。」


「コラボ相手が憧れのリリーシェ・ベルマインさまだったら、ちょこさんはどうなるのか?検証してみた!ドッキリです!」


「ド……ドッキリ?じゃ、じゃあ、今日のコラボ相手って……。」

「はい、リリーシェ・ベルマインさんと、ちょこさんの、2人っきりのコラボですね!」


 と美織が微笑んだ。リリーシェ・ベルマインは、魔族出身の海賊、がコンセプトの、右目に眼帯、左側だけにコウモリのような羽を付けた、黒髪色黒、赤い海賊服を身に着けた姿が特徴のダンVtuberだ。


 闇魔法を使い、ユニークスキル、<反転術式>を使って、5分以内に話したことを嘘に出来る、というていの(実際にはそういう制限はない)、厨二病心をくすぐるキャラクターであり、獄寺ちょこの憧れの人でもある。


「ちょこさん、リリーシェ・ベルマインさん御本人ですよ?コラボを前に、何かいいたいことはないんですか?」


「コ、コラボ!?私がほんとに、リリーシェさんと、コラボ!?」

「ああ、そうだぜ!よろしく頼むな!」

 とニッコリ微笑まれる。


「……ピュウ。」

 変な異音を発しながら、獄寺ちょこが座っていたソファーに倒れ込んで気絶した。


「ちょ、ちょこさん!?だいじょうぶですか!?」

「おい、しっかりしろ!」


 慌てて獄寺ちょこに駆け寄る、リリーシェ・ベルマインと美織。

 しっかり5分気絶して、気が付いた時には、リリーシェ・ベルマインの膝の上に頭を乗せられ、介抱されていた獄寺ちょこ。


「えっ?えっ?ふえっ?」

「ああ、急に動かないほうがいい。体調はだいじょうぶか?」


 そう言って、獄寺ちょこを心配そうに見つめながら、リリーシェ・ベルマインが頭をそっと撫でてくれる。


 この光景は、美織のカメラでしっかりダンVtuberのガワの姿に変換され、配信に流されていた。


:ちょこタン、メスの顔

:さすがコラボした女子をことごとく百合に落とすと噂のリリーシェ・ベルマインネキ。

:獄寺ちょこ、ちょっとそこかわれ

:ネキの囲いが荒ぶっとるwww

:初手気絶とかwww

:こういうの経験ないんだろうなあw


 ようやく落ち着いた獄寺ちょこに、

「さて、今日のコラボ内容は聞いてくれているだろうか?」

「え?ダンジョンに行くんじゃ……。」


「──いいや?君とデートだよ!」

「へ?」

 呆然としている間に、スタッフが現れて、獄寺ちょこを正装させる。


「へ?」

 そして呆然とした顔のまま、グランドピアノの流れる高層階の高級レストランへと、連れてこられたのだった。


 この間美織はずっとカメラを担当しており、目線で救いを求める獄寺ちょこに、頑張ってください、ちょこさん!とばかりに、ぐっと親指を立てていい笑顔を向けていた。


「どう?美味しい?」

 そう言って微笑むリリーシェ・ベルマインに、味なんてわかるわけないでしょ!と内心叫ぶ獄寺ちょこ。


「ついてる。」

 そう言って、指の背で唇の端を拭ってくるリリーシェ・ベルマイン。指についたソースをそのままペロリとなめる姿は、非常に色っぽいものだった。


 ドキドキさせられながらも、ひいいいい!私なにさせられてるの!助けてええええ!と、声にならない悲鳴を、豪華で味のしない食事と共に、飲み込む獄寺ちょこだった。


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