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第114話 学校の怪談ダンジョン

「見て!まじで廃校wうはwダンジョンにこんなパターンあるんだw」

「いわゆる特殊エリアってやつだな。ネットの噂も馬鹿に出来ねえな。」


 チャンネル登録者数1万人にむけて、注目を集められる配信ネタを探していた6人組の新人ダンチューバーは、ネットで噂の特殊ダンジョンに来ていた。


 ダンジョンは一般的に自然由来のものか、レンガや石を積み上げたような壁のものが基本だが、このダンジョンは入口をくぐった瞬間、日本の古い平屋造りの、田舎の廃校のような建物が現れるのだ。


 おそらくは小学校程度と思わしき小ささで、戦時中を描いた映画などで見たことがあるような、そんな見た目をしていた。


「ここにですね、なんと動く二宮尊徳像や、トイレの花子さん、テケテケ、赤マント青マント、動くベートーヴェン、動く人体模型なんかの魔物が出るらしいです。マジで学校の怪談だわwww」


「それにしたって日本特有過ぎん?海外にこんな学校ないっしょ。」

「海外だと、廃墟の遊園地とかもあるらしいよね。ちょっと行ってみたいかも。」


「でもそこで出るのアンデッド系っしょ?場所が遊園地なだけで出て来る魔物は普通なわけじゃん?なのにここはトイレの花子さんが出るとか、もうアミューズメントパークじゃん。ただのお化け屋敷よ。」


「俺等の為に撮れ高用意してくれるとか、最高過ぎん?──ちょw待って、二宮尊徳像走ってきたわw」

「それじゃサクッと倒しますかあ!」


:ネットの噂マジなんか

:完全なるネタダンジョン

:トイレの花子さん、可愛いほうのやつか、リアルなほうのやつか、それが問題だ

:新しいダンジョンは危険も多いぞ、油断するなよ

:りぃくん気をつけてね?


 6人中3人がイケメンということもあり、若年層や女性リスナーもそれなりについている。なにかでハネれば確実に一気に人気が出ると彼らは思っていた。


 配信は上限の決まったリスナーの奪い合いだ。新規が食い込む為には、話題にのぼるような配信をして、オススメなどに乗る必要がある。その為、ネットの一部で話題になっていた特殊ダンジョンに来たのだった。


 狙いは当たった。特殊な魔物にコメント欄は盛り上がり、既に同接は開始早々3000人を突破した。チャンネル登録者数もそれに連れてじわじわと伸びてきている。


 このままいけば配信中に1万人を突破するだろう。お祝い枠の企画は何にしようかと、リーダーの探索者は既にそのことを考えていた。


 配信を始める以前に、既に6人で下層も何度かクリアしている。実力的には上澄みに入るが、今どき下層をクリアしたくらいでは、話題にものぼらない。


 6人がやりたいのは、あくまでも配信で人気者になること。

 探索者として稼げるのと、配信で人気者になれるかどうかは、また別の話なのだ。


 出て来る魔物を危なげなく倒しながら、お化け屋敷感覚で、色んな部屋に独自にわく魔物を紹介していく。撮れ高は最高で、新しい部屋に行くたびに同接が増えていった。


「ちょwテケテケきたwテケテケw」

「意外とかわいくね?w」

「はい、倒しま〜す。」


 学生時代の友達のノリで、まったり討伐をしていくさまは、コメント欄に大量の草を生やして盛り上がっていた。


 だがテケテケを倒した直後のことだった。先に進む彼らは、すぐに異変に気が付いた。

「あれ?同じとこ進んでね?」

「廊下は続くよどこまでもだw」


 そんな風に呑気に配信していたのだが、しばらくするとそんな笑える事態ではないことに気がつく。


「ねえ、待って!?出られないんだけど!?」

「どうなってんだよ……。」

「これも魔物の仕業なのか?」


 1時間歩き続けて、自力での脱出は不可能だと悟った彼らは、配信はつながっていた為、リスナーたちに救援要請を依頼したのだった。


「脱出不可能なダンジョン……ですか?」

 ギルド女神の息吹に呼び出されていた美織は、ギルマスの阿平を前に首を傾げた。


「ええ、そうなの。新しく出来たダンジョンでね、そこに潜った探索者たちが、帰って来られなくなってしまったみたいなの。それで各ギルドに救出依頼が来たのよ。」


 有事の際は、有力な探索者を抱えるギルドに救援要請が入ることがある。その依頼が女神の息吹にあったということだ。


 他にも複数のギルドから人が参加し、合同で救出に当たるのだと言う。1度入れば脱出出来ないダンジョンなど、少なくとも公的には聞いたことがない。


 もちろん知らないうちに未発見のダンジョンに入り込んで、そこがそうであった為、入った人間が出てこられず、誰にもそれ以降ダンジョンの存在が知られず、という可能性は否めないが。


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