「最近忙しそうね。」
キャスケットをかぶって腕組みをしながら、ちょっと拗ねたようにそう言う獄寺ちょこ。
今日を楽しみにしていたので、まるでデートにでもくるようなオシャレをしている。ちょこさん可愛いですね、と美織に言われてツンギレしながら照れていた。
今日は“異界の門”の討伐クエスト参加も無事に決まった為、たまには配信外で遊びましょう、と美織がちょこを誘ったのだ。
待ち合わせの場に現れるなり、そう言われた美織は、
「うーん、そうですね、少し……。」
と曖昧に笑った。
“異界の門”については、口外禁止とされている為、ちょこにも話すことが出来ない。
メンバーを集めて準備が整うまで、もう少し時間がかかることと、“異界の門”に入ったら、しばらく会えなくなる可能性もある。
美織は久々のただの休日を目一杯楽しむつもりでいた。明日は親友の市川奈央とも、久しぶりに遊ぶ約束をしている。
毎日学校で顔をあわせるとはいえ、放課後は夕飯作りと配信がある為、友だちと遊ぶ時間が正直少ないのだ。
美織と獄寺ちょこは、ボウリングやビリヤードなどが楽しめる施設に来ていた。
他の客もいる関係上、身バレの問題がある為、自分たちは貸し切りでないと難しいが、配信許可を取って、よくダンチューバーが配信をしている場所でもある。
「ボウリングとかマジ久々なんだけど。」
そう言いながら、ボールを選んでいる獄寺ちょこ。美織は1番重たい16ポンドの玉を選んだ。
「え?そんな重たいやつにすんの?」
「軽いと真っすぐ投げにくいんですよね。スッポ抜ける感じがすると言うか……。」
「ふうん、まあわからなくもないけど。」
獄寺ちょこは10ポンドの玉を選んだ。ボウリングリスタイを装着して、やる気満々である。
ちなみに獄寺ちょこ憧れの、リリーシェ・ベルマインが使っているメーカーの物で、同じデザインの色違いだ。
リリーシェ・ベルマインは赤を使っているが、獄寺ちょこのは青色である。獄寺ちょこの金髪と合っていて、ゴツいボウリングリスタイが、なにやら可愛く見える。
「それ、リリーシェ・ベルマインさんと同じやつですか?」
美織がそう聞くと、獄寺ちょこは「うん。」と照れながら答えた。
「え?なんでわかったの?」
「だって、このデザインのやつ使ってるじゃないですか?SNSに上がってましたよ。」
「あ、これ?これは憧れて買ったんだけどさ。……なんか恥ずかしいな……。」
そう言って顔を赤くする獄寺ちょこ。美織はそんな獄寺ちょこにキュンときた。
「可愛いですね!ちょこさん可愛い!」
「や、やめろし!茶化すな!」
美織の素直な言葉に照れる獄寺ちょこ。
「え~?ホントなのにな~。」
獄寺ちょこはカバンから、リリーシェ・ベルマインのアクリルスタンドを取り出すと、テーブルの上に置いた。
「……いいなあ。私も買おうかな……。」
美織は獄寺ちょこの持っているボウリングリスタイを見て羨ましそうにしている。獄寺ちょこはそんな美織を見て、
「え?アクスタを?」
「いえ、その手につけてるやつです。」
「ああ、リスタイ?一緒に買いに行く?」
と提案してきた。美織は目を輝かせて、
「いいんですか!?」
「うん、もち。」
と次の休日の約束を取り付けていた。
そうこうしてる間に、ゲームが始まる。最初は美織からだ。美織がボールを転がし、ボールをリリースする。
最後まで倒れることなく進み、ストライクとなった。ダンジョンでの戦いぶりもそうだが、美織は勝負事に強いらしい。
次に獄寺ちょこの番だ。しかし緊張しているのか、ボールを構えて投げる時、ちょっとスッポ抜けてしまった。
「あちゃ〜。」
1投目はガーターだったが、続けて9本倒し、それなりの腕前を見せた。
美織の番になり、ちょこの見様見真似で軽くボウリングボールを投げてみた。
ボールは真っ直ぐピンに当たり、再びストライクを取った。ちょこが呆気にとられる。
美織の運動神経の良さは知っていたが、まさか連続でストライクを取るとは思わなかったのだ。獄寺ちょこは1投目でガーターを出したので、2投目は慎重に投げている。
今度はストライクを取ることが出来、やった!と胸の前で小さくガッツポーズをしながらぴょん!と飛び跳ねていた。
2人とも高得点を出し、無事獄寺ちょこお目当てのコラボ商品をゲットすることが出来た。ここの施設は常にありとあらゆる、知らない人はまったく知らないが、コアなファンがついているインフルエンサーとコラボをしている。
常に20グループはコラボ相手がいる中で、当然獄寺ちょこのお目当ては、リリーシェ・ベルマインの所属するダンVtuber事務所とのコラボアイテムだ。
これを知っていた為、美織は今日ちょこをここに誘ったのだった。ダンVtuber1人につき、2種類のアイテムがある為、1人ずつ別々の景品をゲットして、美織は自分の分を獄寺ちょこにプレゼントした。
景品はミニぬいタイプと、プラスチックタイプのキーホルダーだ。さっそくグッズをカバンにぶらさげた獄寺ちょこは嬉しそうだった。それを見た美織も嬉しくなる。
またちょこと遊ぶ為にも、必ず“異界の門”から無事に戻ってこないと、と、美織は心の中で思ったのだった。
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遅くなりました汗
ようやく書き上がりました。
最近返ってくると疲れて何もしたくなくなります。暑くなってきたので冷房使い始めました。季節の変わり目はいつも体調崩しがちです汗
この作品は読者参加型です。
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