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第146話 壁の中にあったもの

 横の壁ならいざ知らず、人の横幅分ほどしかない、仕切りの壁の中にあっていいようなサイズではない。それから魔物やドロップアイテムと同じ魔力の波長を感じるというのはどういうことなのか。


「ともかく、検証してみましょうか。」

 美織はドローンの検証テストをする前に、この壁の中を調べてみることにした。


 剣で一刀両断する。すると中に異質な空間が広がっているのが配信に映し出される。

 壁の幅とは到底思えない、広々とした部屋の中に、青い◆の物体が回転していた。


「これ、結界ですね。中に別の空間が広がってます。」

 と美織が言う。


:結界!?

:どゆこと?!

:なんで結界が切れるんだよ!?

:あー、廃校舎の時のやつか


 廃校舎での失踪事件は美織の配信ではなかった為、美織の剣が結界を切る一連の流れを見ていない一定の層が騒いでいる。


「結界?」

 獄寺ちょこが興味深げに覗き込んでくる。

「ちょこさんはそこにいて下さい。何があるかわかりませんので。」


「ええ?あたしも見たいんだけど。」

「大切なちょこさんに、何かあったら困りますから。ピョコタン、ちょこさんを守っていてあげて下さいね。」


 美織はそう言うと、ピョコタンを出して獄寺ちょこを守るように指示を出した。

「た、大切って……。」

 思わず赤くなって照れる獄寺ちょこ。


 ピョコタンは獄寺ちょこの足にしがみついて、ニコニコと嬉しそうに見上げている。

「な、なんか懐かれてんだけど……。」

 ピョコタンの反応に困惑する獄寺ちょこ。


「ピョコタンは私の分身みたいなものだからですかね?ピョコタンもちょこさんのことが大好きなんですね。」

 とニコニコしながら言う美織。


「そ、そう。ならいいけど。」

 嬉しいくせに、それを隠そうと、ちょっとしかめっ面でそう言う獄寺ちょこ。


:嬉しいくせに

:てえてえ

:通常運転

:ピョコタンとちょこタンw


 美織は青い◆型の造形物の周囲をぐるりと回った。どういう仕組みで浮いているのかがまったくわからない。


 その時、ふぉん、と小さく音がして、青い◆型の造形物が、一瞬赤く輝いた。すると、

「ブラックシープがリポップしたわ!ちょっと倒しとくから!」


 と、通りすがりに倒した筈の、睡眠攻撃を使ってくる魔物、ブラックシープがリポップしたことを獄寺ちょこが告げる。


 続けて、ふぉん、ふぉん、と赤く光ると、

「もー、リポップ早くない!?」

 と、またも獄寺ちょこの声がする。


 美織が結界の外に顔を出すと、体の一部を変形させて、刀のようにしたピョコタンが、獄寺ちょこの前に出て庇うようにしながら、美織と同じ型でブラックシープを一刀両断するのが見えた。


 さながら姫を守るナイトのように、獄寺ちょこの前に出たまま、警戒を続けるピョコタン。さすがにアンケートまではコピー出来ないかと思われたが、突然ピョコタンが、


 1.氷属性の魔石(30.0%)

 2.ブラックシープの睡眠剣(12.6%)


 という札を出したかと思うと、更に小さなピョコタンたちが10体空中に現れ、各々が1、1、2、1、2と札をかかげ始めた。


 目の前にブラックシープの睡眠剣がドロップする。アイテムは双方がレアというわけではないので、蓼科沙保里の初期スキル、ドロップ選択に近い状態だ。


「凄い!アンケートも使えるんですね!しかもセルフって!ピョコタンが出したからでしょうか?ピョコタンのほうが凄いですね?」

 と美織は興奮しきりだ。


「ゴーレムの幸運がマスターよりも低いので、レア度はそこそこのようですな。」

「そうなんですか?」


「アンケートのスキルは、本人の幸運の影響を受けるのですな!マスターは人よりも幸運値が高いのです!スキルのレベルもアップしてますから、なおのことですな!」


 とビビッドがドヤ顔で言った。

「たくさんアンケートに参加してくれる存在がいればいるほど、スキルのレベルがあがるのですな。それに、その分レアも出やすくなるのです。」


:だから最初はレアじゃないのが選択肢にあったのか

:俺らいおりんのレベルアップに貢献しとったw

:常にこの人数がアンケート参加してたら、いったいどんだけレベルアップしてるんだw


「なるほど……。セルフで出来るというのも良し悪しなんですね。」

 と美織はうなずいた。もう少し調べてみようと、結界の中へと戻る。


 青い◆型の反対側に回った時だった。小さく、ふぉん、と音が聞こえたかと思うと、青い◆型が赤く一瞬光り、◆型ごしに、ブラックシープがリポップする。配信画面を見ていたリスナーも、それが◆型が光る時と同じタイミングだということに気が付いた。


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