「これは色んな魔物や動物の声が出せる道具だね。スキルがなくても魔物をテイム出来ないかなと思って作ってみたものだね。」
出したのは小さな小箱のような物だ。番号をセットすると、特定の声が出せ、翻訳機能もあって魔物と単純会話なら出来るらしい。
これも“異界の門”の中にいる時に作ったものだそうだ。よほど中が暇だったのだろう。娯楽も何もない中で、自ら物を生み出すことで、気が狂いそうになるのを防いでいたのかも知れなかった。
家にいた頃も色々と作ってはいたが、もっと必要に迫られたものばかりで、こういう娯楽用品とも取れるような物を作ることは少なかった。1人孤独に過ごしていた父の時間を思うと、美織は少し胸が痛くなる。
「すご……。」
獄寺ちょこが感心したように小箱の番号をいじくり回している。
そこに向けて話してみると、オークのような鳴き声や、ワイバーンのような鳴き声に変換出来ることがわかった。
「数がいすぎると大変だからね。いくら小物とはいえ、1人でやるとなると厳しいこともあるから、一箇所に複数の魔物がいた時は、これを使って魔物を惹きつけて戦ったりもしたよ。そういう意味では便利だね。」
これは“異界の門”の中にいた時に使っていたらしい。そうやって魔物を分散せて戦い、生き延びていたようだ。
「人間の声は出せないの?」
美織は小箱を獄寺ちょこから受け取って、同じように番号をいじくりながら言う。
「出せるけど誰かそっくりには出来ないよ?50種類くらいのパターンを使い分けることは出来るけどね。」
美織の疑問に依織が応える。変声機として使えるが、誰かになりすますことは出来ないようだ。
:コ●ンみたいには流石に無理か
:声真似出来る奴に頼んだほうが早いな
:蝶ネクタイ型変声機が実現するという夢が
:確かにそれ作れたら熱いけどもw
:つか、魔物や動物の声が出せて、人の声が50種類以上使い分けられるなら、それもうバズーカ●寺だろwww
:それだw
:次世代の山ちゃんになれる機械がここにw
:この小ささでチューニング出来るってなったら、音楽関係の機材の小型化もいけるんじゃないか?
:魔物の声を出すより、現実的に金儲け出来そうだよな
「なるほど、それは考えてもみなかったな。音楽関係の知り合いもいるから、今度話を聞いて作ってみようかな。」
コメント欄の発想に関心しながら、依織がうなずきつつそう言った。
「いおりのお父さんて発明家だったのね。」
獄寺ちょこが感心しながら言う。
「父は魔道具師でもありますから。こういうものを作るのは得意ですね。」
「次はまた面白いものだよ。」
そう言って、依織が指輪のようなものを取り出した。
「これは“変身リング”という魔道具だよ。これを使って、他人になりすますことが出来るんだ。流石に声の変換までは出来ないけど、身長や体格は変えられるし、顔や髪型も変えられる。声を変える魔道具を使えば、まったくの他人になることも可能だけど、小箱を手に持ってるのも変だからなあ。」
美織も獄寺ちょこも、興味深そうに聞いている。
「でもこの“変身リング”は特徴というかクセがあってね。2人以上で同時に使うと、お互いの変身した姿が入れ替わることになる。」
「なにそれ、面白そう!」
依織の説明に、獄寺ちょこが食いついた。
「だろう?」
依織がニヤリとする。
「だからあえて複数人での使用を前提に、入れ替え機能を強化したんだ。お互いに入れ替わって遊ぶんだ!楽しくないか?」
依織も楽しそうに言う。
:2人以上が同時に使えないなら、これを売りだすことがあっても、犯罪の抑止が出来そうだな
:確かに。近くに同じリングを使用している人間がいれば、入れ替わっちまうから、変身してどこかに潜入しようとしても、すぐにバレるってことだな。
:手品に使えそうだな
:ハロウィンとか盛り上がりそう
:サラッと言ってるけど凄い発明だぞ
「あとはこういうのもあるよ。」
そう言って、依織は袋から、アーモンドくらいの大きさの粒を取り出した。
「わ!綺麗!」
「宝石みたい……。」
獄寺ちょこと美織が感嘆する。
「これは“瞬間発芽植物の種”だよ。これをこうやって……。」
土の入った鉢植えを持ってきて、小さなシャベルで穴を開け、種を埋めて土を被せると、ゾウさんのジョウロで水をかけた。
「地面に埋めて水をかけると、その土地に合った植物が生えてくるんだ。実がなることもあるよ?ただし1日で枯れてしまうけどね。これには世話になったなあ。」
実をつける植物などろくに育たないであろう極寒の地にいた依織は、懐かしそうにそう言った。おそらくこれを使って、時々肉以外の栄養を手に入れていたのだろう。
────────────────────
昨日も気づいたら昼から爆睡してました。
変な体勢で寝すぎたからか、めっちゃ左の股関節が痛くて座ってられない汗
何度も更新すっ飛ばしてしまってすみません。今日2回目いけそうなら頑張ります。
この作品は読者参加型です。
アンケートが出たらコメントお願いします!
見てみたい配信内容も募集しています。
X(旧Twitter)始めてみました。
よろしければアカウントフォローお願いします。
@YinYang2145675
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
ランキングには反映しませんが、作者のモチベーションが上がります。