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第154話 ダンジョン崩壊

:目指せ50:50……!!

:頼む……!

:どっちも選ばれてくれ……!


 祈るようなコメント欄。だが、


【究極アンケート。

 1.ダンジョンの崩壊を阻止する(43.75%)

 2.犯人を突き止め捕縛する(56.25%

 犯人を突き止め捕縛するが選択されました。】


 と表示された。


:あああああ!惜しい!

:どうなっちまうんだ!?

:みんな、早く逃げてくれ!

:犯人だけは捕まるんだよな!?


「みんな、早く逃げよう!ダンジョンが崩れるかも知れない!」

 権藤謙佑がそう叫ぶ。


「ダンジョン協会に救難信号を送ったわ!探索者たちに逃げるよう、メッセージを送ってくれている筈!」

 皇あかりがそう言った。


「俺たちも外に逃げよう!すぐにダンジョンブレイクに備えて、探索者たちを手配してくれている筈だ。俺たちもダンジョンから溢れてきた魔物が、周辺の人々に被害を及ぼさないように、彼らに手を貸さないと!」

 箱崎保が上に向かって駆け出した。


 途中途中の階層で、縦揺れのせいでまともに逃げられない探索者たちに遭遇する。下層はまだしも、中層や上層にしか潜れない探索者たちからすると、とても立っていられない程の揺れの強さだった。


 震源地が近い地震や、直下型地震の真っ只中にいるようなものだ。建物の倒壊の危険が高いのは横揺れの地震のほうだが、立っていられない程の強い揺れはどちらも危険だ。


 皆で逃げられないでいる探索者たちを小脇に抱えて、地上まで逃げ帰ろうとするも、出口は既に倒壊し、塞がっていて、出られなかった探索者たちが不安げに立ち尽くしている。


「離れて下さい!」

 美織の剣がダンジョンの壁を切り裂いた。

「急いで外に出るんだ!」

 権藤謙佑が探索者たちを誘導する。


 全員が外に出てもなお、ダンジョンは激しく揺れていた。ゴゴゴゴ……という音とともに、まるで蟻地獄のようにダンジョンの入口のあった場所が沈んでいく。


 夕方にも関わらず、夏な為外はまだだいぶ明るかった。とはいえ夕日は落ちつつあり、暗くなってから魔物が出たら、視界の悪さから取り逃がす可能性もある。


 出るなら早めに出てこい……!と、待ち構えている探索者たちは思っていた。


 警察の交通整理が始まり、機動隊が周囲から人を遠ざける為にガードするも、逃げて下さい!と叫ぶ声を人々は無視し、能天気にスマホのカメラを倒壊するダンジョンへと向けている。


 この機に乗じて配信を始める人間も多数現れた。ダンVtuberのドローンでなければ、自身のドローンで配信を乗っ取れない美織は、映り込んでは困るので、警察や機動隊に任せて、その場を一旦離脱する。


 現状魔物はまだ現れていないので、この場を封鎖してもらい、他に配信者がいない状況になるまで待とうと思っていた。だが、ダンジョンの凹みは砂の渦のように、地面の下に向けてどんどんと流れていく。


 ダンジョンの崩壊には遭遇したことがないが、アンケートの内容を見る限り、これがそうなのだろう。


 このままダンジョンと共に魔物が埋もれてくれれば、特に問題はないのだが、過去に起きた時には魔物が溢れたというから、油断は出来ない。


 遅れてTV局の中継ヘリが、何台も上空を旋回し始めた。TVをつけると、どのチャンネルをつけても、ダンジョン倒壊についての緊急ニュースが流れている。


 異常事態であることを伝える為、また視聴者の不安をあおる為、中継ヘリに乗った現場リポーターたちが、自分越しに映る崩壊するダンジョンの危険性を大声で叫んでいる。


 ──いや、テレビ東●だけは、安定して夕方のアニメを流していた。ニュース速報をアニメ番組内に流した程度である。


 その安定っぷりに、SNSでは、さすが俺たちのテレ東、と称賛のポストが並んだ。

 近隣住民でない人間からすれば対岸の火事の為、子どものいる世代や、大きなお友だちたちは、テレ東にチャンネルを合わせた。


 配信を続けている、探索者ではない人々のコメント欄に、空気読め、早く逃げろ、馬鹿なのか、というコメントが殺到したが、どんどん伸びるアクティブに、ハイになってしまった彼らは配信をやめなかった。


 そして、流れ行く流砂とダンジョンの壊れた壁が再び盛り上がったかと思うと、一気に魔物たちが地上へと溢れ出した。

 悲鳴が飛び交い、人々が逃げ惑う。


 こんな状況でもスマホで撮影をしていた々が、溢れ出た魔物に次々と捕まった。

「何やってる!馬鹿野郎!早く逃げろ!」


 まだ捕まってこそいないが、ギリギリまで津波を撮影しようとするかのように、魔物にスマホを向けたままの人々に、三喜屋城介が叫んだ。


 暗くなりつつある空を照らすかのように、白く輝く霧が、魔物たちの後ろから上空へと立ち上っていく。


「──!!最悪だぜ……。」

 汗をたらしながら皮肉げに口元を歪ませる権藤謙佑の目に、深淵のボス、ドレインミストがゆらりとその体を空中に広げていた。


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