目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第157話 待ち構えていた人々

「奴に近接武器は通らないんだぞ!?」

 権藤謙佑が叫ぶ。

「普通の攻撃なら、ですよね?オーラを纏えば可能だと聞いています。」


「確かにそれはそうだが……。」

「あ、噂をすれば来ましたね。」

 美織が振り返った先を、権藤謙佑も振り返る。そこには援軍の先行部隊が到着していた。


「御主人さま!お役に立てる機会をくれてありがとうございます!御主人さまの下僕として、しっかり勤めをはたさせていただきます!」


 そう言って喜色満面な表情でこちらに近付いてくるのは、もと日本の高校生NO.1であった、オーラナイトこと、堂珍和也であった。


「人間性はともかく、実力だけは保証出来ますから、来てもらえないか、ダンジョン協会にお願いしていたんです。」


「直接お呼びいただければ、いつでも馳せ参じます!御主人様!」

「それはちょっと……。」


 堂珍和也との直接の連絡先の交換を渋る美織であった


:堂珍和也www

:確かにオーラナイトではあるなw

:まだ日本にいたんかw

:雄豚ごときが、いおりんと直接連絡先交換出来るとか、勘違いしてんじゃねえぞ?

:いおりんにしたこと忘れてねえからな!

:お前は能力だけ役にたっとけ!


 コメント欄でも散々な言われようであったが、当の堂珍和也はどこ吹く風で、美織からのご指名を、全力で喜んでいるのであった。


「能力に最適な環境にいることで、強くなってしまって、普通の魔法使いじゃ撃ち抜けなくなっています。気を抜くとやられますよ。とは言え私1人もなかなかしんどいので、サポートよろしくお願いしますね?」


「お任せ下さい!」

 堂珍和也は棍棒にオーラをまとうと、美織と共に空中に飛び出した。


 日本では年齢制限から、高い冒険者ランクを得られなかったが、アメリカでは実力に応じて年齢関係なく高いランクを取得出来る。


 ソロで深層をクリア出来るだけあって、ネット民の扱いは醜い雄豚であっても、堂珍和也の能力値は高い。


 まっすぐに核に向かって突き進む美織を邪魔しようと、ドレインミストが毒霧をくりだすが、堂珍和也がそれを一撃に切り捨てる。


:腐ってももと高校生NO.1か……

:アメリカ行ってさらに実力が磨かれたって聞いているぞ

:実力の伴った人気だったからな、いおりんにやられるまではw

:そんな堂珍和也を一周したいおりんはどんだけなんや

:間違いなく実質Sランク以上だろ、これ


 国内の探索者たちが苦しめられた、ドレインミストの毒霧をものともしない堂珍和也に、うっかり感心してしまうリスナーたち。


 堂珍和也に削らたことで、まとわりついていた船の中の人質たちから、HPを吸収し、回復しようとするドレインミスト。そこへ、


「──させないわよ!」

 どこから現れたのか、獄寺ちょこが小さい爆弾を上空から降り注いだ。


 その爆弾はドレインミストの体と、当て損ねて海に落ちた分だけが爆発し、船を少し揺らした。甲板に落ちたものもあったが、なぜかそれは爆発しない。


「水にだけ反応する爆弾よ!あんたみたいのにうってつけなんだから!」

 とニヤリとする獄寺ちょこ。


 獄寺ちょこの爆弾に触れた部分が、シューッと蒸発するように燃え上がっている。もだえるように空中でぐるぐると回転するドレインミスト。


:水にだけ反応する爆弾?

:だから甲板に落ちた分は無事なのか

:アルカリ金属系ってことか?

:なんにせよちょこタンがきたあああ!


「ちょこさん!ありがとうございます!おかげで核が剥き出しになりました!」

 今まで霧に守られていた魔核が、獄寺ちょこの爆弾で剥き出しになっている。


 毒霧すらも切り裂く堂珍和也も、攻撃を繰り返して気を引いているので、体を治すことに集中出来ないでいる。


「うまく人のいるところに逃げられたと思いましたか?残念でしたね。あなたは始めからここに追い詰められていたんですよ!」


「人が大勢乗ってる船がいたのだけは、ちょーっと誤算だったけどね。」

 と獄寺ちょこが言う。


 本来この時間帯にこの船が停泊している筈はなかったのだが、ダンジョン崩壊により、出向するか否かの判断を会社に委ねていた関係で、モタモタしてしまい、結果大勢の被害者を出すことになったのだ。


 出向させるとも、客を避難誘導させるとも判断を下すことの出来なかった船の運営会社は、あとで責任を問われることになるだろう。


 ドレインミストがダンジョンから現れた時点で、美織はダンジョン協会を通じて、堂珍和也と獄寺ちょこに、ここで待機してくれるよう、依頼をかけていたのだ。


 ダンジョンブレイクを防ぎつつ、ドレインミストを人気のない場所に誘導する。誰よりも素早く、美織は崩壊したダンジョンへの対策を考えていたのだった。


「これで終わりです!」

 剥き出しになった魔核を切り裂いた。すると配信画面には、


【確定ドロップアンケート。

 1.ネゴシエーションチェア(0.7%)

 2.クオーラルコミュニケーション(0.7%)】


 と表示された。


────────────────────


めちゃくちゃ忙しいです……。

眠い……。


この作品は読者参加型です。

コメント欄にてアンケート回答お願いします!

見てみたい配信内容も募集しています。


X(旧Twitter)始めてみました。

よろしければアカウントフォローお願いします。

@YinYang2145675


少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。

ランキングには反映しませんが、作者のモチベーションが上がります。





この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?