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第158話 理の中にあり、理に縛られぬもの

【確定ドロップアンケート。

 1.ネゴシエーションチェア(38.5%)

 2.クオーラルコミュニケーション(61.5%)

 クオーラルコミュニケーションが選択されました。】


 美織の手元にマイクがドロップする。

「これがクオーラルコミュニケーションですか?なんでしょうか、これ。ビビッドわかりますか?」


「はい!説明するのです!クオーラルコミュニケーションは、口喧嘩に強くなれるアイテムなのですな!」

「口喧嘩に強くなる?」


「歌に乗せても口喧嘩が上手に出来るのですな。これを使えば口喧嘩で天下が取れるのです!ラップバトルなどに使えますな!」

「ラップバトル⋯⋯。」


:つまり、誰でもR●指定になれると?

:確かにラップバトルは音楽にのせた口喧嘩だなw

:ヘッズたち垂涎のアイテムw

:これ使って配信したら、俺も侍たちからメールもらえたりすんのかなw

:ラジオ面白かったよなw

:R●指定のファンだけ侍口調の濃ゆいヲタクのやつかw

:●永のファンのほうだけ痛い女ヲタの再現度の高いやつなwあれ好きだったわwww

:想像出来る痛いファン大集合だった回なw

:いいハガキ職人ついてる感じあったわw


「ネゴシエーションチェアはなんだったんですか?」

「ネゴシエーションチェアは、強制的に相手を交渉の場につかせるアイテムですな。交渉を有利に進められる力がありますな。」


「戦争回避とかに使えそうですね⋯⋯。私にはどちらも役に立たなそうです。」

 美織はそれを聞いて首をかしげた。


:強制的はエグいな

:戦争終わるやん

:この戦争を⋯⋯終わらせに来た!!

:今戦争してる国のトップが欲しいやつ

:戦争に限らず、交渉を有利に進められるって、政治屋からしたらごっつい欲しいやろ

:確かに

:これを手にした国が世界を牛耳れるアイテムなんじゃ⋯⋯?

:首脳会談を有利に進められるってことか

:そんなアイテム今まで聞いたことねえぞ

:歴史が変わる瞬間を見逃したのか


「ドレインミストにやられた人たちを助ける救護班が向かっているらしい。後は彼らに任せて、我々はここを引き上げよう。」

 権藤謙佑が美織に近寄って来て言う。


「良かったです。じゃあ、ダンジョンブレイクが防げた報告に行きましょうか。」

「あー、その前にだな、ひとつおかしな報告があったんだ。」


「おかしな報告?」

「“私たちが犯人です”と、おかしなタスキをかけた人間がちが、ダンジョンの近くの木に捕らえられているらしい。それを確認して来てくれとのことだった。」


「──あ。」

 美織が思い出したようにそう呟く。


:あ

:あ

:そういやアンケートで選んだな

:犯人を突き止め捕縛する、が選ばれたんだっけか

:そいつらがダンジョン崩壊の犯人ってことだよな?


「その人たち、アンケートで捕まえた、ダンジョン崩壊の犯人です!逃げ出す前に警察に引き渡しましょう!」

「え?なんだって?」


 どういうことだ?と尋ねてくる権藤謙佑に、移動しながら事情を説明する美織。

「誰が犯人なのか、そもそも犯人自体いるのかすらわからない状況下で、犯人をスキルで捕まえた⋯⋯?そんなことがあるのか?」


「それを確認する為に、彼らから話を聞かないとですね。」


 崩壊したダンジョンのもとに戻った美織たちは、逃げ出そうともがいたのか、女性1人と男性2人が、逆さまにひっくり返って開脚した状態で木からぶら下がっているのを発見することになった。


 逆さまになってからかなり経過しているのか、頭に血が登っている様子で全員息苦しそうに顔を真赤にしている。


:ちょwww全員ま●ぐり返しとち●ぐり返し状態www

:クッソウケルwwww

:スーツ姿に眼鏡、黒タイツの美女が、股間の部分だけ黒タイツやぶけて、男の体から垂れ下がってるタスキで、モザイク代わりに股間隠されてんの、最早ギャグだろwww

:いおりんのドローンの自動モザイクさんも仕事しないwww

:ごちでーすwww


「こいつ⋯⋯見たことあるぞ、確かダンジョン協会の職員だ。」

 柊奈々を見た畑中慎一郎が言う。


「警察が来るのを待って引き渡そう。本当にこいつらが犯人なら、あのダンジョンコアについても何かを知っている筈だ。」

 権藤謙佑がそう言うと、柊奈々は悔しそうに美織を睨んでいた。


 その頃、柊奈々たちが捕まった報告を受けた人々は、そのことにざわついていた。

「まさか⋯⋯予言は本当だったのか?」


「あのスキルが、“理の中にあり、理に縛られぬもの”であると?」

「誰も知る筈のない、我らが作りしこの世界の新たな理に、干渉しうる存在なのか?」


「スキルがそうであるのかはわからない。スキルの持ち主がそうであるのかも知れない。だがどちらにせよ、我らにとって脅威であるということだ。」


「しばらくスキルの持ち主を監視しろ。我らの計画の妨げにならぬようにな。」

 責任者と思わしき黒い影が、全員にそう通達をし、会議は終了となった。


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ネゴシエーションチェアが選ばれていたら、敵のボスと強制的に会話が可能でした。


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