美織はその頃、獄寺ちょこと雑談配信をしていた。
「ね、びっくりですよね。」
「スキルは防げないもんねえ。魔力は封じられるから魔法スキルを禁じる魔道具はあるけど。」
:ちょこタンも男風呂とか入ったらあかんで
:それよりいおりんの枕元にこっそりいそう
:そんなヘン◯イ・プリズンみたいなことマジであんのかって思ったわwww
「しないわよ!そんなこと!」
獄寺ちょこが腰に手を当てて、不満げに異議を唱えた。
ダンジョンが現れてから、人々に発生した様々なスキル。その中でも魔法スキルは、魔力を封印する魔道具の開発により、政府機関など一部の建物内で魔法スキルの使用不可エリアを生み出すことに成功した。
だが一般的なスキルはその限りではない。今回ダンジョン外でスキルを使用した悪質な犯罪者とされ、逮捕にいたった男のスキルは、獄寺ちょこの持つ隠密だった。
隠密はあくまで人や魔物に存在を気付かれないようにすることの出来るスキル。認識阻害魔法と異なり、監視カメラからも完全に姿を消すという点が、姿を消すという点において絶大な力を発揮する。
隠密を使って女子更衣室に侵入したり、町中で露出を繰り返していたところ、逮捕に至ったのだ。見えないのにどうやって犯罪を特定したのかと言うと、隠密はぶつかった衝撃でとけるという弱点があるからである。
それと、熱感知や超音波や重量センサーなどにも弱い。ヘビタイプの魔物や、コウモリタイプの魔物からは、姿を隠すことが出来なかったことで、その事実が発覚した。
そもそも目で存在を認識しない対象からは姿を隠すことが出来ないのだ。ちなみに臭いはどうかと言うと、目で見えないと認識することにより脳がバグるのか、動物タイプの魔物に認識されることはない。
ただしもともと目が見えず、臭いでだけ対象を判別する魔物からは姿を隠すことが出来ない。万能そうでいてそうでもないのだ。
そして、何かに触れると衝撃で隠密が解けるというのも、認識阻害魔法とは異なる点である。認識阻害魔法は触れても溶けることがないからだ。
女子更衣室で女性にぶつかられてしまい、その姿があらわになったことで、最初の犯罪が発覚した。
必ず2人でしか通過出来ないようになっている施設などの、特殊な場所には行くことがなかった為、気付かれることがなかっただけである。
居場所を特定するGPSを付ける必要のあった国の人間だった為、それまでは追跡されていなかったGPSを追跡されることとなった。
そして彼が無関係な場所に行く際は、行く先々で警戒するよう指示が出され、女子更衣室の前などには、警備員が常駐することになった。
女子更衣室に入れなくなった彼がどうしたか。人前で隠密を利用して全裸になったのである。もともとその為に女子更衣室に入ったと、のちの事情聴取でわかった。
町中で人にぶつかられ──全裸で発見された彼は、悪質で常習性ありとして逮捕され、覗きと公然わいせつという、しょうもない罪で。
正しくはスキルの悪用という罪により、12年の懲役刑をくらい、日本のネット民からは実写版ヘン◯イ・プリズンwwwと爆笑をかっさらうことになったのだった。
ちなみに日本では、当然犯罪利用の可能性の高いスキルなだけに、全国民に鑑定義務がかされており、その結果は国で厳重に管理されることとなっている。
また育児法の改正により、予防接種とともに、両親は子の鑑定の為の育児休暇を取ることが出来るようになっている。
鑑定を持って生まれた子どもは、各国で情報管理がなされており、国によっては最初から居場所を特定する為のGPS保持が必須の場合もあれば、犯罪を犯した場合、脳内にチップを埋め込む手術をしなければ、満期釈放しないという国も存在する。
日本はそこまで厳しくない為、国内で過ごす分には自由だが、そういった法律を定めている国に行く場合は、相手の国の法律に従わない限り入国出来なかったり、そもそも入国を拒否される場合もある。
まるで犯罪者予備軍かのように、いじめを受ける時代もあった為、隠密を持つ子どもの日本の親たちは、修学旅行で海外旅行に行く学校を、子どもに選ばせないようにして、対策したりもしている。
スキルの情報は個人情報にあたり、病歴と同等に、家族以外に開示出来ないことになっている。他人に聞き出す行為そのものも、個人に対する罰則こそないが、企業内では特にモラハラとされて禁じられている。
それでも学校内ではスキルの情報に関するトラブルが耐えない為、あらかじめ対策を取らざるを得ない。
隠密持ちの子どもの選択肢が狭まる為、海外への修学旅行を全面的に禁止すべきとする派閥と、一部の子どもの為に他の子どもたちが海外で学ぶ機会を奪うべきではないとする派閥とがおり、割とセンシティブな問題だったりもするのだ。
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久しぶりの更新です。
最近ずっと体調が思わしくなくて⋯⋯。帰ってきてそのまま寝てしまうことも多いです。
有料連載の依頼もあるのに、全然書き進められていないです汗
発売予定の別作品の書籍の改稿だけはなんとか終えたのですが。
体調と相談しつつの更新になると思います。
申し訳ありません汗
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