「こういうのがあるから、隠密持ちが学校選べなくなるのよねえ。私も行きたいとこが修学旅行海外かって、調べてから受けたもの。」
「ちょこさんと一緒の学校通えたら良かったんですけど、うち修学旅行海外の学校なんですよねえ。こんなことになるなら、もっと考えたら良かったです。」
「なんとなくで選んだの?」
「自転車通学OKだったので。満員電車苦手なんですよね⋯⋯。」
「そうなの?美織でも?」
「酸素が薄いのはどうにかなるんですけど、正直臭くて⋯⋯。」
:あー。探索者は五感が鋭敏になるからか
:そういう人多いよな
:感覚過敏てやつか
:化粧とか体臭とか、感じ取れ過ぎるんだってな。
:アンデッド系の魔物は、目にくるレベルの刺激臭だって、新人ダンチューバーがよく涙ボロボロこぼしながら配信してるわ
:探索者は魔物に察知されない為に、そういうのある程度おさえられるらしいけど、一般人には無理だもんな
:モデルが顔には汗かかないみたいに、ダンジョンの中だけは汗止めるってやつな
:まあ臭いや発汗を感知して襲ってくるタイプから身を隠すんでもなきゃ、そこまでしなくてもいいけどな
:てか、いおりん、ちょこタンと一緒の学校通いたいのかw
「え?だってそのほうが一緒に過ごせるじゃないですか。私修学旅行、ちょこさんと一緒に回りたかったですよ?」
「週に3日はダンジョンに一緒に行ってるじゃない。別にいいでしょそれで。」
テレたようにツンとする獄寺ちょこ。
:嬉しいくせにw
:素直じゃないなw
:それならプライベートで旅行したらええやんw
:それええなw配信してくれw
:温泉女子会やってる配信者多いもんなw
「2人っきりで旅行⋯⋯いいですね!」
「お、温泉⋯⋯?」
嬉しそうな美織に、頬を染めるちょこ。
「ちょっと大きな用事があるので、それが終わったらお疲れ様配信ってことで、温泉に行くのもいいかも知れません。」
「べ⋯⋯別にいいけど?」
赤面しながらそっぽを向く獄寺ちょこ。友だちと旅行になど、生まれてこのかた行ったことがないので、正直すでにワクワクしていた。
:温泉配信言質取りましたw
:楽しみw
:それ用の新立ち絵出ないかなあw
:確かにw浴衣でええから
「新衣装ですか!それもいいですね。」
「え?マジ?」
「ドロップするようになって、お母さんが無理して働かなくとも、私たちが大学に行かれるくらい稼げましたし⋯⋯。配信にお金が使えるようになったんですよね。」
「あーね。いおりの絵師さんて、素人さんだっけ?って、うちもだけど。」
「はい、プロとしてはまだあまりお仕事がないみたいで、せっかくなら恩返しでお仕事頼みたいところですね。」
:そうなん?意外
:いおりんの絵師なら有名になってそうなもんだけどな
:いおりんが探索者の実力で有名になっちまったからな⋯⋯。ダンVtuberがおまけみたいなとこあんだよな
:確かに。実力派もいるけど、基本ダンチューバーもダンVtuberも、アイドル要素あるもんだからな
:もっと他の配信者と絡んでったほうがいいよな
「そうですねえ⋯⋯。とは言っても、予定があるから今すぐ出来ないだけで、色々と企画に呼ばれてはいるんですよね。」
「あたし単体で行くことも増えたしね。」
:そうなんよなw
:ちょこタン、迷惑系はどこへやらw
:普通にコラボしてるもんなw今w
:構ってちゃんなツン・デレ子なのがバレてからというもの、むしろお姉さま方に可愛がられてるまであるw
:リリーシェさまとの絡みは最早伝統芸能w
:地震!?
:でかいぞ!?
その時、美織たちも家が揺れたのを感じ、リスナーたちもコメントで地震か!?と騒ぎ出す。
「⋯⋯ねえこの感じ、覚えない?」
「はい、私も思いました。」
「まさか、また!?この間あったばかりじゃない!こんな立て続けに⋯⋯。」
:え?どういうことだ?
:地震だろ?
:違うのか?
:まさか⋯⋯?
「はい、どこかでダンジョンが崩壊したんだと思います。地震とは少し感じ方が違いますね。地震は奥の方からだんだん大きくなってくる感じですけど、これは、プールで子どもが暴れてるみたいな、そんな感じです。」
美織がダンジョン崩壊と、地震の揺れ方の感じ方の違いを説明していた時だった。配信画面に、
【究極アンケート。
1.ダンジョンの崩壊を阻止する
2.犯人を突き止め捕縛する】
という文字が表示された。
「──了解、帰還します。」
柊奈々をダンジョンの中に送り込んだ男は、独り言のようにそう呟くと、ダンジョン庁庁舎を出て、柊奈々を飲み込んだ時と同じ黒い円を出すと、その中に消えていった。
次の瞬間配信画面が乱れたかと思うと、
【究極アンケート。
1.ダンジョンの崩壊を阻止する
2.崩壊を予知するアイテムの入手】
という文字が表示された。
「アンケート内容が変わった⋯⋯?こんなこと、初めてです⋯⋯。」
と美織はただ困惑するのだった。
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犯人に逃げられた。
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