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第13章: サブキャラクターの力

巨大で漆黒の悪魔がエミ、アリア、そしてアレックスに向かって進んでくる。地面を揺るがすその一歩一歩と、響き渡る不気味な笑い声が、まるでその存在そのものが脅威であるかのように空気を支配していた。


エミとアリアは必死に踏ん張っていたが、その魔力は怪物を覆う闇の前で無力に思えた。


「もう無理……!」

エミがアリアを振り返りながら叫ぶ。


二人は既に限界に近かった。それでも諦めることはできない。彼女たちにとって、皆を救う希望はまだ消えていない。しかし、アレックスは地面に倒れ込んでいた。魔力を使い果たし、意識を保つのがやっとだった。


「アレックス……」

エミが心配そうに呟きながら彼を見つめる。


その時、彼の中で何かが目覚めた。エミの声が彼の心に火を灯す。なぜ彼が戦い続けてきたのか、その理由を思い出す。エミを助けるためだけではなく、大切な人たちを守るための戦い。英雄としての使命感が、彼の内に新たな力を湧き上がらせた。


「いやだ……ここで終わるわけにはいかない……!」

アレックスは小さく呟きながら、空へ手を伸ばした。


彼の魔力が再び流れ出し、先ほどよりも強大な光となって彼の体を包み込む。その眩い輝きが闇を切り裂くように放たれ、アレックスの力が戻ってくるのが明らかだった。

その変化に気付いた悪魔が、驚きと警戒を滲ませながらアレックスに目を向ける。


「待って!」

エミが事態を察し叫ぶが、アレックスはその声にも動じず、決意に満ちた目で天を仰ぐ。


彼は目を閉じ、一瞬の静寂の後、両手を天へと高く掲げた。その瞬間、黄金の光が強烈に輝き出し、力が渦を巻くように広がっていく。


「エミ!アリア!準備しろ!」

アレックスが声を張り上げる。


彼の魔力がエミとアリアを包み込み、二人の体に新たな力が注ぎ込まれる。エミはその温かく力強い感覚に驚き、同時に自信を取り戻した。アリアもまた、その力に驚きながら微笑む。


「これ……すごい……」

アリアはその力に圧倒されながら呟く。


悪魔は、二人が今まで以上に強力な魔力を手に入れたことに気付き、後ずさる。その威圧感が消え、恐怖の色が濃くなる。しかし、アレックスは逃げ場を与えるつもりはなかった。彼はまだ息を切らしながらも立ち上がり、悪魔に向けて両手を構えた。


「今だ!」

アレックスが叫ぶ。


エミとアリアは彼の言葉を受けて、全力で再び攻撃を仕掛けた。エミは眩い光の爆発を、アリアは風の魔法を最大限に駆使して、嵐のようなエネルギーを生み出す。二人の攻撃が融合し、アレックスの魔力と結びつくことで、さらに強大な力となった。


悪魔はその圧倒的な力に立ち向かおうとするが、光と風の渦がそれを包み込み、抜け出す術を失わせる。


「これで終わりよ!」

エミが叫ぶ。


最後の爆発的な魔力が悪魔を貫き、その存在を完全に消滅させた。大地は再び震えたが、次第に静寂が戻る。悪魔の残した影は瞬く間に消え去り、平穏が戻ってきた。


風が止み、戦場に静けさが訪れる。アレックスは息を切らしながらも弱々しく笑みを浮かべ、膝をついた。エミとアリアも同様に地面に倒れ込み、激しい戦闘の疲労に体を預ける。


「やった……私たち……やったよ……」

エミが疲れ切った笑顔で呟く。


アリアもまた、肩で息をしながら地面に座り込んだ。


「まさか……こんなこと言うなんて思わなかったけど……ありがとう、エミ。そして……アレックスも。」


アレックスは微笑みながら、息を整えつつ二人を見つめた。


「俺は……やるべきことをしただけさ……それに……君たちも最高だったよ。」


しかし、彼が少しの安堵を得る間もなく、不穏な影が彼らを覆う。足

元の地面が再びきしみ始め、さらなる悪魔の存在を予感させる。


――新たな脅威が現れた。それは悪魔たちのリーダーだった。


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